1968年初版 1984年第13刷
装幀/塩埼英一 カバー・表紙/依光隆 挿画/赤星亮衛
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
和訳ものだと思って借りたら、日本人SF作家だった

【内容抜粋メモ】
<登場人物>
宇宙工学者 三田村博士
息子 タツオ
杉マコト
開拓隊長・下田理一郎
娘リエ14歳
弟ヒロ11歳
青年行動班の班長 大石青年
■事件は、やみの中へ
宇宙工学者の三田村博士の息子タツオは
親友の杉マコトに秘密を打ち明ける
自分も家族も間もなく死ぬが、それはウソで
別の場所、別の姿で生きていると信じてくれという
その後、三田村一家がエアカーの衝突で亡くなったが
遺体は白骨同然で判別不可能というニュースが流れる

手術が失敗して、両親は亡くなったと告げられるが
情緒コントロールされたタツオは
なにかの計画に乗って連れていかれる
マコトの父もヘリコプターが墜落して死亡
母は交通事故で急死
マコトは父の書斎からノートを持ち出して姿を消す
■開拓隊、チタン到着
軍事撤廃が実現し、世界が平和になり、宇宙開発が急速に進んだ1980年代末(!
水からエネルギー、酸素がいくらでも作れる
イオンロケットのクロノス号はチタンに到着
開拓隊長・下田理一郎の娘リエ14歳、弟ヒロは11歳

先に住んでいた中央基地との連絡が突然途絶えた
みんなは宇宙標準語のエスペラント(国際語)で話す
船は電子頭脳とロボットで管理できる
■霧の中のゆうれい
メタンガスの雪が降り、酷寒の地チタン
1日は地球の16日だから昼夜がそれぞれ8日間続く
青年行動班の班長・大石青年らがみな降りて
船にはリエとヒロだけになる
妙な音がして、チタン専用の特殊防寒気密服を着て見に行くと
ヒトではない足跡を見つけ、ヒロはチタン人ではないかと言う
■爆発事件のなぞ
中央基地に行くと爆発した跡があり、隊員は消えている
酸素が漏れると、わずかな静電気でも大爆発を起こす
ロケットと貨物機2機が爆発
ヒロが見た幽霊は、上半身裸と聞いて信じない下田隊長
対策会議を開く
仮宿舎を建設し終わった時、また事件が起きる

■建設ロボット失踪
チタン到着を祝って大祝賀会が開かれるが
建設用ロボットと建設用資材が盗まれる
地球から追加の資材を送るにしても到着は1年先
エアカーに金属探知機をつけて周囲を調べると
下田隊長らもヒロの見た幽霊を目撃する
それは「ハハハハ」と機械のように笑う

■ゆうれいにさらわれた!
子どもたちの学習時間は1日平均2~3時間(いいね
家にいながら総合学習機で学べる
食べ物は自動調理機から出てくる合成食品や栄養ジュース
中央ドームは狭いため、退屈した子どもたちは
気密服を着て外に出て遊んでいると
例の幽霊の一団がやって来てさらわれる
■追跡
ヒロを含めて9人がいなくなり、大石青年らは追跡
幽霊のものと思われる楕円形の足跡を見つける
高い崖に突き当たり、足跡は消えている

■倒れた下田隊長
捜索隊が編成される
イオノクラフトはヘリコプターより上昇高度、機動性に優れる乗り物
宇宙生物学者ラマン博士はチタン人はあり得ないと否定
下等生物が誕生して、高等生物に進化するには地球で2、30億年かかった
チタンではさらにかかる
宇宙人説も否定される
科学記者の永井氏は改造人間、サイボーグ説を唱える
サイバネティックス・オーガニズムは
ある大国が開発していて、それに関わった科学者は事故死し
遺体が見つからないという話もある
下田隊長はいきなり倒れる
■氷の石牢
石英のような岩に閉じ込められた子どもたち
見張りと食事を持ってくるのは怪人の子ども
髪の毛はなく、てかてか光る皮膚、黒いベルトをしている
口を閉じたままベルトから声が出て日本語なので驚く
9人中、日本人はヒロだけ
サイバネティックスオーガニズムを略してCOだと明かす
「君は大事な人質さ」
ヒロだけがかつぎ出されてしまう
■坊主頭の男
ワイル博士は下田隊長に診断装置をつけて調べると
心身の過労で、心配ないとリエに話す
幽霊から旧式テレビとテレビカメラが送られて来る
日本のサニー電機のマークがついていて
中央基地を爆破する前に盗んだものと思われる
坊主頭の男が映り、下田隊長と話したいという

■サイボーグの脅迫
ヒロが変な帽子をかぶせられて、透明な筒に閉じ込められている映像が届く
サイボーグは呼吸、食事は必要ないが
子どもたちは必要だから差し入れが必要

ロケット全部、クロノス号を渡し
基地もたちのき、指定した移転場所に移るよう言う
サイボーグには悲しみ、苦しみ、不安などのネガティブな感情はない
子どもたちを殺しはしないが、後継ぎとして利用する
メモリレーサーという記憶消去機を使って
中央基地の隊員の記憶を消して見せる
ヒロも同じくされたくなかったら指示に従うようにと脅迫する
返事は1時間後
■診断機の疑問
ワイル博士は下田隊長の診断に疑問を持ち、リエに聞くと
父は中学生の時に交通事故に遭って記憶を失くしたと話す
■サイボーグのからだのひみつ
無人エアカーに差し入れを積み
超小型発信機つきのトレーサーを忍ばせるがバレる
ヒロは子どものサイボーグと話すうちに親しくなる
胃腸を取り除いた空洞に装置が入っていて
酸素も栄養素も合成できるから完全な自給自足の体
超小型原子力電源から熱を得ているからチタンの酷寒も大丈夫

■脳地図分析機
開拓隊の精神分析医・成沢博士は下田隊長を寝椅子に横たわらせる
成沢:
人間は誰でも、心の中に意識と無意識の世界があり
無意識のほうがずっと大きな部分を占めている
忘れたつもりでも無意識に残っていて行動を支配している場合が多い
それを意識の世界まで引っ張り出せばイタズラをしなくなる
昔は夢や催眠で引き出したが、今は脳地図分析機を使う
磁気テープに記録され、分析するには数日かかる
下田隊長は脳地図分析機の分析を受ける
■総攻撃
移転が終わっても、テレビからなにも応答がなく
下田隊長は子どもたちを奪い返す指示を出す
リエはどうしてもとムリを言ってゲリラ隊に入れてもらう
■石牢脱出
サイボーグの子どもは、子どもたちに
一斉に飛びかかれば倒せるかもしれないと示唆する
勇気を出して脱出して、大石青年らと再会するも
サイボーグの一団に襲われ、今度はヒロとリエだけが連れ去られる
■サイボーグの根城へ
洞穴にはサイボーグの姿はなく
代わりに冷凍睡眠中の中央基地の隊員が見つかる
サイボーグたちは隠れ家を爆破し、ロケットで逃亡
追跡するロケットの推進剤が抜かれていて、補給に1日はかかる

■質量爆弾
質量をエネルギーにかえる悪魔の質量爆弾は
無限のエネルギーが得られる反面、水爆の千倍の威力がある
大国が製作し、実験するために秘密の人工惑星を打ち上げ
そこで働かせるためにサイボーグをつくった
材料となったのは各国からひそかに集められた学者で
表向きは事故死
完全軍縮の成立で無用の長物となり
サイボーグを人工惑星からチタンに流した
この情報を下田隊長の脳から得たと話すと驚く下田隊長
■やみの中の記憶
下田隊長:
両親は私が生まれてすぐ離婚
母が亡くなり孤児となった
父の友人の下田家の養子となった
父は原子核物理学者の谷崎 父も事故死した
下田は中学時代に記憶退行して、自分が杉マコトだと思い出す
父のノートには質量爆弾、サイボーグのことが書かれていた
谷崎:お前の過去の記憶は消す

■土星の輪と心中?
ロケットに乗っているのは、サイボーグのボスと子どものサイボーグ
最終目標は地球を征服し、サイボーグに改造して復讐すること
(ネガティブな感情は持たないんじゃないの?
質量爆弾の1つは地球、1つは月、1つは土星用
衛星ヤヌスにリエとヒロは下ろされる
子どものサイボーグも降りて、安全装置のついた爆弾とすりかえたと話す
サイボーグのボスはロケットとともに爆発する
■事件は終わった
3人は下田隊長らに救出されてチタンに戻る
サイボーグのボスに監視されていたと話す
子どものサイボーグだと思っていたら、成長を止められているが
年齢は下田隊長と同じ
彼は三田村タツオと分かり、自分は杉マコトだと話す

人工内臓での再改造でふつうの体になって
チタンに戻ると約束するタツオ
■用語注解
ACTH
ヒトの心が寒さ、暑さ、怪我、怖れ、不安などのストレスにさらされた時
副腎皮質から出るホルモンの一種
体に防衛の姿勢をとらせるための警戒信号の役割を果たす
(パニ障はこれが異常に出るのかなあ?
■解説 瀬川昌男
本書は『チタンの夜あけ』と『宇宙は呼んでいる』を合わせた物語
どちらもサイボーグをテーマとしている
科学小説を書く時はできるかぎり科学考証を正確にしている
チタンは、タイタンともいう、土星の衛星




装幀/塩埼英一 カバー・表紙/依光隆 挿画/赤星亮衛
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
和訳ものだと思って借りたら、日本人SF作家だった

【内容抜粋メモ】
<登場人物>
宇宙工学者 三田村博士
息子 タツオ
杉マコト
開拓隊長・下田理一郎
娘リエ14歳
弟ヒロ11歳
青年行動班の班長 大石青年
■事件は、やみの中へ
宇宙工学者の三田村博士の息子タツオは
親友の杉マコトに秘密を打ち明ける
自分も家族も間もなく死ぬが、それはウソで
別の場所、別の姿で生きていると信じてくれという
その後、三田村一家がエアカーの衝突で亡くなったが
遺体は白骨同然で判別不可能というニュースが流れる

手術が失敗して、両親は亡くなったと告げられるが
情緒コントロールされたタツオは
なにかの計画に乗って連れていかれる
マコトの父もヘリコプターが墜落して死亡
母は交通事故で急死
マコトは父の書斎からノートを持ち出して姿を消す
■開拓隊、チタン到着
軍事撤廃が実現し、世界が平和になり、宇宙開発が急速に進んだ1980年代末(!
水からエネルギー、酸素がいくらでも作れる
イオンロケットのクロノス号はチタンに到着
開拓隊長・下田理一郎の娘リエ14歳、弟ヒロは11歳

先に住んでいた中央基地との連絡が突然途絶えた
みんなは宇宙標準語のエスペラント(国際語)で話す
船は電子頭脳とロボットで管理できる
■霧の中のゆうれい
メタンガスの雪が降り、酷寒の地チタン
1日は地球の16日だから昼夜がそれぞれ8日間続く
青年行動班の班長・大石青年らがみな降りて
船にはリエとヒロだけになる
妙な音がして、チタン専用の特殊防寒気密服を着て見に行くと
ヒトではない足跡を見つけ、ヒロはチタン人ではないかと言う
■爆発事件のなぞ
中央基地に行くと爆発した跡があり、隊員は消えている
酸素が漏れると、わずかな静電気でも大爆発を起こす
ロケットと貨物機2機が爆発
ヒロが見た幽霊は、上半身裸と聞いて信じない下田隊長
対策会議を開く
仮宿舎を建設し終わった時、また事件が起きる

■建設ロボット失踪
チタン到着を祝って大祝賀会が開かれるが
建設用ロボットと建設用資材が盗まれる
地球から追加の資材を送るにしても到着は1年先
エアカーに金属探知機をつけて周囲を調べると
下田隊長らもヒロの見た幽霊を目撃する
それは「ハハハハ」と機械のように笑う

■ゆうれいにさらわれた!
子どもたちの学習時間は1日平均2~3時間(いいね
家にいながら総合学習機で学べる
食べ物は自動調理機から出てくる合成食品や栄養ジュース
中央ドームは狭いため、退屈した子どもたちは
気密服を着て外に出て遊んでいると
例の幽霊の一団がやって来てさらわれる
■追跡
ヒロを含めて9人がいなくなり、大石青年らは追跡
幽霊のものと思われる楕円形の足跡を見つける
高い崖に突き当たり、足跡は消えている

■倒れた下田隊長
捜索隊が編成される
イオノクラフトはヘリコプターより上昇高度、機動性に優れる乗り物
宇宙生物学者ラマン博士はチタン人はあり得ないと否定
下等生物が誕生して、高等生物に進化するには地球で2、30億年かかった
チタンではさらにかかる
宇宙人説も否定される
科学記者の永井氏は改造人間、サイボーグ説を唱える
サイバネティックス・オーガニズムは
ある大国が開発していて、それに関わった科学者は事故死し
遺体が見つからないという話もある
下田隊長はいきなり倒れる
■氷の石牢
石英のような岩に閉じ込められた子どもたち
見張りと食事を持ってくるのは怪人の子ども
髪の毛はなく、てかてか光る皮膚、黒いベルトをしている
口を閉じたままベルトから声が出て日本語なので驚く
9人中、日本人はヒロだけ
サイバネティックスオーガニズムを略してCOだと明かす
「君は大事な人質さ」
ヒロだけがかつぎ出されてしまう
■坊主頭の男
ワイル博士は下田隊長に診断装置をつけて調べると
心身の過労で、心配ないとリエに話す
幽霊から旧式テレビとテレビカメラが送られて来る
日本のサニー電機のマークがついていて
中央基地を爆破する前に盗んだものと思われる
坊主頭の男が映り、下田隊長と話したいという

■サイボーグの脅迫
ヒロが変な帽子をかぶせられて、透明な筒に閉じ込められている映像が届く
サイボーグは呼吸、食事は必要ないが
子どもたちは必要だから差し入れが必要

ロケット全部、クロノス号を渡し
基地もたちのき、指定した移転場所に移るよう言う
サイボーグには悲しみ、苦しみ、不安などのネガティブな感情はない
子どもたちを殺しはしないが、後継ぎとして利用する
メモリレーサーという記憶消去機を使って
中央基地の隊員の記憶を消して見せる
ヒロも同じくされたくなかったら指示に従うようにと脅迫する
返事は1時間後
■診断機の疑問
ワイル博士は下田隊長の診断に疑問を持ち、リエに聞くと
父は中学生の時に交通事故に遭って記憶を失くしたと話す
■サイボーグのからだのひみつ
無人エアカーに差し入れを積み
超小型発信機つきのトレーサーを忍ばせるがバレる
ヒロは子どものサイボーグと話すうちに親しくなる
胃腸を取り除いた空洞に装置が入っていて
酸素も栄養素も合成できるから完全な自給自足の体
超小型原子力電源から熱を得ているからチタンの酷寒も大丈夫

■脳地図分析機
開拓隊の精神分析医・成沢博士は下田隊長を寝椅子に横たわらせる
成沢:
人間は誰でも、心の中に意識と無意識の世界があり
無意識のほうがずっと大きな部分を占めている
忘れたつもりでも無意識に残っていて行動を支配している場合が多い
それを意識の世界まで引っ張り出せばイタズラをしなくなる
昔は夢や催眠で引き出したが、今は脳地図分析機を使う
磁気テープに記録され、分析するには数日かかる
下田隊長は脳地図分析機の分析を受ける
■総攻撃
移転が終わっても、テレビからなにも応答がなく
下田隊長は子どもたちを奪い返す指示を出す
リエはどうしてもとムリを言ってゲリラ隊に入れてもらう
■石牢脱出
サイボーグの子どもは、子どもたちに
一斉に飛びかかれば倒せるかもしれないと示唆する
勇気を出して脱出して、大石青年らと再会するも
サイボーグの一団に襲われ、今度はヒロとリエだけが連れ去られる
■サイボーグの根城へ
洞穴にはサイボーグの姿はなく
代わりに冷凍睡眠中の中央基地の隊員が見つかる
サイボーグたちは隠れ家を爆破し、ロケットで逃亡
追跡するロケットの推進剤が抜かれていて、補給に1日はかかる

■質量爆弾
質量をエネルギーにかえる悪魔の質量爆弾は
無限のエネルギーが得られる反面、水爆の千倍の威力がある
大国が製作し、実験するために秘密の人工惑星を打ち上げ
そこで働かせるためにサイボーグをつくった
材料となったのは各国からひそかに集められた学者で
表向きは事故死
完全軍縮の成立で無用の長物となり
サイボーグを人工惑星からチタンに流した
この情報を下田隊長の脳から得たと話すと驚く下田隊長
■やみの中の記憶
下田隊長:
両親は私が生まれてすぐ離婚
母が亡くなり孤児となった
父の友人の下田家の養子となった
父は原子核物理学者の谷崎 父も事故死した
下田は中学時代に記憶退行して、自分が杉マコトだと思い出す
父のノートには質量爆弾、サイボーグのことが書かれていた
谷崎:お前の過去の記憶は消す

■土星の輪と心中?
ロケットに乗っているのは、サイボーグのボスと子どものサイボーグ
最終目標は地球を征服し、サイボーグに改造して復讐すること
(ネガティブな感情は持たないんじゃないの?
質量爆弾の1つは地球、1つは月、1つは土星用
衛星ヤヌスにリエとヒロは下ろされる
子どものサイボーグも降りて、安全装置のついた爆弾とすりかえたと話す
サイボーグのボスはロケットとともに爆発する
■事件は終わった
3人は下田隊長らに救出されてチタンに戻る
サイボーグのボスに監視されていたと話す
子どものサイボーグだと思っていたら、成長を止められているが
年齢は下田隊長と同じ
彼は三田村タツオと分かり、自分は杉マコトだと話す

人工内臓での再改造でふつうの体になって
チタンに戻ると約束するタツオ
■用語注解
ACTH
ヒトの心が寒さ、暑さ、怪我、怖れ、不安などのストレスにさらされた時
副腎皮質から出るホルモンの一種
体に防衛の姿勢をとらせるための警戒信号の役割を果たす
(パニ障はこれが異常に出るのかなあ?
■解説 瀬川昌男
本書は『チタンの夜あけ』と『宇宙は呼んでいる』を合わせた物語
どちらもサイボーグをテーマとしている
科学小説を書く時はできるかぎり科学考証を正確にしている
チタンは、タイタンともいう、土星の衛星



