メランコリア

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世界の名作推理全集 6 ジュニア版 死を呼ぶ犬 ジョルジュ・シムノン 秋田書店

2023-02-27 16:30:03 | 
昭和58年初版 昭和62年再版 藤原宰太郎/訳 中島河太郎/監修
表紙デザイン/岩尾収蔵 表紙・口絵・挿絵/杉尾輝

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください



今回、活躍するのはメグレ警部
45歳くらいのがっしりした体格
いつもパイプを吸っている
愛想はないけれども人情味の篤い警官という設定で
とても地道な捜査と人柄に好感が持てた








世界の推理小説で有名な名探偵を全員知りたいなあ










■はじめに
原題「黄色い犬」1931年発表 メグレ警部シリーズの最高傑作








【内容抜粋メモ】

登場人物
メグレ警部:パリ警視庁のベテラン警部
ルロワ刑事:メグレと一緒に捜査する若い刑事

モスタガン:酒問屋の主人
エルネスト・ミシュー:医師の博士号を持つが体が弱いため開業せず
セルビエール:燈台新聞の記者
ボンムレ:貴族のプレーボーイ
エンマ:ラミラル・ホテルの女中



■港町コンカルノーのラミラル・ホテル
常連客のモスタガンはホテルから出て
空き家のドアの前でタバコに火をつけようとしていたところ
お腹を撃たれて死ぬのを近くの税関吏が目撃
そばには謎の大きな黄色い犬がウロウロしていた


■メグレ警部
メグレ警部と一緒に捜査する若いルロワ刑事は警察学校を卒業したばかり

事件の夜、ホテルにいたのは、常連客と女中のエンマ







エルネスト・ミシューは元代議士の息子
医師の博士号を持つが体が弱いため開業せず
不動産屋をしているが売れていない
母がパリに出ているため、ホテルで寝泊まりしている

セルビエールは『燈台新聞』の記者
ボンムレは貴族のプレーボーイ

空き家の玄関ドアの内側から撃った模様
犬はエンマの横に寝るが誰の犬か分からない


■毒薬
メグレ警部らはベルノ酒を飲もうとして、ミシューが慌てて止める
毒薬ストリキニーネが入っていた
いつも食前に飲むことを知っている人物が怪しい







■大きな足跡
ミシューの庭に黄色い犬がいた目撃情報が入り
ものすごく大きな足跡も見つかる


■セルビエールの失踪
セルビエールの車に血痕が見つかったが本人は行方不明

『燈台新聞』にいち早く記事が載り、調べると
筆跡が分からないように左手で書かれた原稿が届いたのをそのまま使ったという

市長が来て、早く犯人を逮捕しろとメグレらにうるさくつきまとう

ルロワの手帳には、モスタガンが空き家に寄るのは予測できなかったはずだから
誰か別の人物を狙っていたのではないか、と推理していて
メグレはなかなかいいぞと褒める

新聞がたきつけたお蔭で黄色い犬が靴屋に撃たれて重傷を負う
メグレはホテルの物置小屋に連れて行き、獣医に手当させる






パリの新聞社がこぞってホテルに来て、拠点とし騒然となる


■ボンムレの死
ボンムレは自宅でストリキニーネで毒殺された

捜査から帰ると、物置小屋から犬が消えていた


■大男の逮捕




大きな足跡の主と思われる大男が逮捕されるが
手錠の鎖を切って(!)逃走

怒った市長が誰でもいいから逮捕しろと怒鳴ったため
メグレはミシューを逮捕し、憲兵隊本部に入れて丁重に扱うよう指示する

ミシューはずっと怯えていたが
そのほうが身の安全を守れると思いホッとする

昔、占い師から黄色い犬に殺されるから気をつけろ
と言われたことを思い出したと話す


■岬の灯台
以前、山男が暮らしていた岬を訪ねると、街から盗んだ食べ物が散乱していて
大男がここで暮らしていたことが分かる
男の左手にはSSという刺青がある






ブレスト市でセルビエールが発見された
モスタガンは弾は摘出出来なかったが命は助かった


■メグレ警部が消えた
ホテルの2階に行ったきりメグレが消えて
セルビエールを逮捕しにブレストに向かったのではと推測する記者ら

モールス信号で書かれた手紙に屋根の上に来るよう言われたルロワ
屋根から空き家が見えて、大男がエンマと言い争うのが見える

なにかあれば撃つ用意をしていたが、2人は仲直りして笑い合う
その後、夜の闇にまぎれて町を出るようなのでルロワに尾行させる


■税関吏が撃たれる
モスタガンの死を目撃した税関吏は脚を撃たれて治療を受けながら証言
ホテルを出た後に撃たれたが、時間的にエンマらが犯人ではないと分かる

セルビエールは逮捕され、メグレ警部は市長の古城のような大邸宅に呼ばれる
そこでこれまでの捜査の推理を話す

モスタガンを撃ったのはホテルの常連客、エンマ、仮にXとする第三者か
セルビエールは自分が狙われるのを察して、自分で事件を偽造して逃げた

メグレ警部:私は他人から余計な口出しはしてもらいたくない

部屋を去る時、窓から明かりが見え
ミシューの母がパリから戻り、息子の面会に行ったと言う市長

メグレ警部:
今夜中にたぶん片が付くでしょう
明日にはすべて解決してお目にかけます


■美しいエンマ号
翌日、メグレ警部らはエンマの部屋を調べて
キャンベル市の祭りで撮った大男レオンと仲良く映る写真と手紙を見つける







レオンの手紙には、美しいエンマ号と名付けた船を買い
野菜などを運べば借金を返して、すぐ結婚できるだろうと書いてある

ミシューの部屋からはエンマの筆跡でレオンが空き家に来るよう
約束させる手紙を書いたことが分かる

メグレ警部:
君が早く出世しようと思ったら、わしの捜査方法を見習っちゃいかん
型破りで、その時、その時で自由にやるからね

関係者を全員、憲兵隊本部に集めるよう指示する


■麻薬の密売
レオンとエンマも逮捕され
メグレ警部にうながされて美しいエンマ号について話す

金に困っていた時、セルビエール、ミシュー、ボンムレに声をかけられ
密輸をすれば儲かる話に乗る

禁酒法時代のため、酒を運ぶと思っていたが、中身は麻薬で
レオンは逮捕され、シンシン刑務所に入れられる

船は没収、懲役2年、罰金10万ドル
払えなければそれだけ刑期が延びる

麻薬はミシューらが山分けするはずが、アメリカの買い手がしり込みして
逆に密輸品を取り押さえるのに協力したら賞金がもらえる話になり
臆病者のミシューはアメリカ警察に密告したほうがいいと提案

レオンのSSという刺青はシンシン刑務所の頭文字
黄色い犬は船に乗る際連れていったレオンの犬

レオンは生き地獄のような刑務所暮らしの後、急に出所を命じられ
同じような思いをさせてやると復讐を誓った

ミシューの家に足跡をつけたり、姿を見せて怯えさせたのは効果があった
自分を撃たせれば、刑務所行きになるだろうという算段


■メグレ警部の推理
ミシューはエンマにレオンをおびき寄せる手紙を書かせた
空き家から誤ってモスタガンを撃ってしまったのはミシュー

ストリキニーネを酒瓶に入れたのはメグレ警部?!
ホテルに着いた時、常連客の3人がやけに怯えていたため確かめようとした

セルビエールは自分が死んだと思わせて逃亡
新聞社に原稿を書いたのもセルビエール
怯えた街の連中にレオンや犬を撃たせる計画だった

ボンムレは軽い罰金で済むが、自首されたら
モスタガンの殺人未遂で逮捕されると思ったミシューはボンムレを毒殺

憲兵隊本部に入れられた時、メグレ警部に感づかれたのでは?と思い
面会に来た母に頼んで税関吏の脚を撃たせた(荒っぽい母親だな!

レオンはエンマと再会し、復讐を忘れて
2人でやり直そうと街を出た所を逮捕された

ミシューは殺害未遂と、ボンムレ毒殺の罪
ミシュー夫人は税関吏を撃った傷害罪
セルビエールは警官侮辱罪
レオンとエンマは無実


■人情家メグレ
レオンとエンマを市長の車で送り、本当はミシューに手紙を書かされたことで
事実を知ったエンマが冷静を欠いて毒薬を酒瓶に入れたことを告白

2人が文無しと知り、百フラン紙幣を2枚渡して汽車に乗せるメグレ









解説 藤原宰太郎
本格推理小説が盛んなのはイギリスとアメリカ、次は日本(!
メグレは世界の名探偵ベストテンに入る有名な探偵

ジョルジュ・シムノン
1903年生 小説家を目指して、17歳で「たいこ橋」を書いた
30歳までの10年間に短編1000、長編180冊を書く大量生産の作家
1日で書き上げることもあった(驚

奥さんが書斎のテーブルにコーヒー、パイプ、鉛筆80本用意し
その後は書きあがるまで面会謝絶

「ふんいき小説」と言われて、パリの描写がうまい

メグレ警部シリーズ
1931年 28歳の時「ロアール館」が最初
20冊目で中止し、文学作品を書いた

推理小説は文学作品を書くための習作だったが
活躍を読みたいと投書が殺到し、7年後に再び登場

1973年、70歳で引退声明を発表

メグレ警部は指紋、凶器などの科学捜査に見向きもしないことが多い
その代わり、関係者の心を読む

批評家:メグレ警部は優れた心理学者だ

岩のように無口で、ぶっきらぼうなのも
人情もろさを人に知られるのが照れ臭いから

のちに警視まで昇進するが、最初は医者になるつもりだった
8歳の時、母が医者の誤診で死んだため

医学校に在学中、父が死んで中退
パリに来て、アパートの隣りにパリ警視庁の刑事がいたため警官になった

はじめは平巡査で、警察署長の秘書になり
あるパーティーで知り合った女性と結婚

30歳で花形の特別捜査班の刑事に選ばれた時は
嬉しくてアパートの階段から転げ落ちたこともある(w



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