メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少年少女世界推理文学全集 No.16 非常階段 あかね書房

2023-06-20 17:01:09 | 
1985年 第30刷 常盤新平/訳 木村輝年/絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください



『大人は分かってくれない』、にもほどがある

空想はさまざまな創造の源なのに
「嘘つき」呼ばわりした上に
暴力という“しつけ”をするなんて虐待そのもの/哀

なのに、子どもたちは親を愛して止まないんだ
こうした連鎖も貧しいゆえなのか?

まだ12歳なのに、全然諦めず行動する姿もスゴイ
私ならとっくに諦めて、犯罪者の手にかかってるところだ

にしてもカミソリ1枚でどうやって大男の骨まで切れるわけ???
ぱっと見普通の夫婦なのに、恐るべき殺人鬼って設定も生々しくてコワイ

推理小説の中にも、こうしたスリラー要素が強いジャンルもあって幅広いんだな


『シンデレラとギャング』のほうは三谷幸喜さんが書くような
すり替えもののドタバタコメディみたい

相手はプロのワルだと思いこんでいても
ほんとは普通の女子高生

だいぶ偶然が重なって、ラッキーハプニングも多め
とはいえ、時代のせいで今のコより古風な感じ


はじめに 常盤新平
推理小説の1つのタイプに「サスペンス小説」がある
読者をハラハラさせるもの
本書の作者はサスペンスの名人


非常階段 ウールリッチ

●残酷な殺人
チャーリーは12歳の空想好きな少年

チャーリーが秘密の世界について親に話すと
父は「今度そんなウソをつたら、口がきけなくなるくらい懲らしめてやる!」と怒鳴る
母は「映画のせいなんですよ」と言い訳してかばうわけでもなく

今年の夏はどこも暑いが、貧しい人たちが住むホルト・ストリートはまるで地獄
チャーリーは涼しさを求めて非常階段を上がり7階に行く

いきなり明るい光に驚いて、窓を見ると、男女がいる
女は酔った男性のポケットから札束を取り出して数える

男が気づいて女を縛りあげると、隣りで隠れていた夫ジョーが出てきて殴り倒し
ナイフで背中を刺して殺してしまう

チャーリーは干してあった掛布団をかぶって隠れる

夫婦は死体を2つのスーツケースに入れる際
ジョーがカミソリで死体を切り刻むと言う






●つくり話
チャーリーは父に話すと顔を殴られる/汗
上の階のケラーマン夫婦はいい人だと話す母メアリー

「もう二度とつくり話はしない」と約束させるためにムチを使おうとして
チャーリーは「ウソはつかない」と言うしかない

父はチャーリーを部屋に閉じ込めて仕事に出る
母:パパの命令ですからね


●警察署
チャーリーは窓から抜け出し、警察に通報しようと考える
受付の警官も信じないまま警部の部屋を教えてくれる






警部は信じないながらも、ロス刑事に一応調べに行かせる
ロスはミセス・ケラーマンの妻に聞くと
毎晩放送している「お宅のまえで犯罪が」というラジオ番組の音だったと話す

警官が家にチャーリーを送ると、母はまた叱って怒る
その声を聞いて、ミセス・ケラーマンが聴き耳をたてている

母は彼女に謝らせようとするが、チャーリーは顔を覚えられたら仕返しされるため怯える
母はチャーリーを部屋に閉じ込めてカギを閉める

両親は共働きで父は夜勤、昼間は母が仕事に出かけるため
チャーリーが二度と逃げ出さないように窓をクギで打ち付ける父


●謎の電報
母宛てに姉から電報が来て、すぐに来てくれとあり、理由は書いていない
チャーリーを1人きりにする罠だと気づくが
それも信じずに母は急いで出かける

父:明日、お前を医者に連れていくからな!
父も仕事に出て、とうとう1人になるチャーリー


●足音
上の階で足音がして、部屋を懐中電灯が照らす
夫婦は窓から忍び込もうとするが、クギを打ってあって手間どる

家に侵入して、カギを回す音がしたため
チャーリーはイスを投げて窓を割り、非常階段を夢中で駆け降りる

外で夫婦に挟まれ、灰で目くらましを食らわす
市内電車に飛び乗るが、それも追いつかれる

通りを歩いている男性2人に助けを求めるが
夫婦はチャーリーの親のフリをして叱る


●空き家
世界中みんなが敵になったような気がするチャーリー

パトロールカーが停まった時も助けを求めると、昨日、受付にいた警官だが
親のフリをした夫婦に同情するばかり

おとなは分かってくれない、と涙を流すチャーリー

夫婦は死体を隠した空き家に行き、チャーリーの首を絞めて殺そうとする
ヒトの急所が胃であることを思い出して、思いきり蹴る

震動でボロの家が崩壊 下にいた女の悲鳴が聞こえる


●救出
チャーリーは5階の板の上にいて奇跡的に助かる
警官が来て、下に張った網に落ちて救助される

助けてくれたのはロス刑事
空き家からバラバラ死体の入ったスーツケースが見つかる

ロス刑事はラジオ放送を聞いてみたら、昨日は選挙放送で休みだったと知り
ミセス・ケラーマンのウソに気づき
家宅捜査するとカミソリを研ぐ皮のベルトが出てきた

チャーリーを家に送ると、また母が叱ろうとするのを止める
ロス刑事:坊やは警察もかなわないほどの大活躍をしたのです 褒めてあげてください



シンデレラとギャング
ペニーは16歳 ジェファーソン高校1年生






両親と姉はペニーをいつまでも子ども扱いして
映画に行く時も家に1人で置いて、宿題をするよう言いつける

退屈していると、間違い電話があり、シカゴ・ローズという女だと思われる

ブリッツ:
あんたのことはエドから聞いた
引き受けてもらいたい仕事がある
あんたも“カット”をもらえる
(カットには“分け前”の意味もあるがペニーには分からない
センター通りの角で黄色の帽子を回しているからすぐわかる


●センター通り
ペニーは遊びに行く気持ちで、姉のイブニングドレスを着て
真っ白に化粧して、家族が帰るまでに戻ろうと思って出かける

運転手に声をかけられてタクシーと気づかずに乗り
お金を持っていないと話すと脅される

ブリッツは黒い自動車にトリガー、ジョニーという仲間と一緒に乗せる
タクシーのタダ乗りもローズの得意技だと笑う

ホテルにはさらにもう2人仲間がいて、仕事の話を始める







シカゴで盗んだ大金を1人が持ち逃げしたため殺す計画
“ドロップ”は絶交の意味だと思うが、実は“殺す”の意味

その男は信用できる女の子にはなんでも話す性格
ローズがおとりになり、金のありかを聞き出したら、仲間が殺す

“カーテン”にも“死ぬ”、“アイス”はダイヤモンドという意味がある

『ジングル・クラブ』に連れて来いという指示

退屈な授業のように聞いていたペニーは分け前を渡されて意味が分からず
部屋に置いていくとバレて疑われるが
大金を持っていたら怪しまれるからだと思われる

別のホテルについて、当たり屋でも有名なローズの出番
いきなり突き飛ばされて、運よく?ブレナンの前に飛び出る

謝罪のお金を小切手で渡されて、断ると、少女だとバレる

ブレナン:
自分にも小さな娘がいて、一緒に歩けたらと常々考えていた
どこか行きたい所はないか?

ペニーは思わず『ジングル・クラブ』と言う
ダンスと音楽を見て目を輝かせるペニーを見て信用するブレナン







ペニーが「アイスが欲しい」と言うと顔色を変えるが
単にノドが乾いて、氷を食べると、再び安心していろんな話を始め
本物のアイスは自動車のタイヤに隠してあると明かす

“カーテン”が殺すという意味と知って驚き
これまでのことをすっかり話すペニー

ペニー:自分のしていることが何か知らなかった!

ペニーらの座るテーブルの天井や周りは全員ブリッツの仲間だと教えると
コンセントを撃って電気を消したら、頭を下げて裏の非常階段に向かえと指示







●脱出
弾が飛ぶ中を逃亡するブレナンとペニー
屋上から隣りのビルに移り、助けを求めるが
皆、面倒に巻き込まれたくないためドアを開けずに警察に通報する

空き部屋に入りカギを閉め、非常階段を見つけるが
ブリッツがドアの外から撃った弾に当たったブレナンは
ペニーだけ逃がそうとして断る

ブリッツに金のありかを聞かれても喋らなければ
命が助かるとアドバイスするブレナン
その間に警官が来て、ギャングを一掃する

ブレナン:いつも君みたいな可愛らしい娘を持ちたかった

と最期の言葉を告げて死ぬ


●警察署
ペニーが事情を話すと、警部の娘と同じクラスだと分かる

警部:
事件でこの子の名前を出さないようにしよう
私の子どもならそうしてもらいたいからね

自宅に送ってもらうと、ペニーが寝ている工夫をしたためか
家族は誰も気づかず寝ている

逃亡中に片方の靴をなくしたことに気づき
警官からまるで本物のシンデレラだなと冗談を言われる

ペニー:シンデレラともお別れね



作者と作品について 常盤新平




『恐怖の黒いカーテン』を書いたウィリアム・アイリッシュの本名は
本書のコーネル・ウールリッチ

NY生まれのせいか、NYの貧しい人たちを題材にすることが多い








読書の手びき 滑川道夫
すでに分かっていることを土台に
分からないことを考えて判断する心のはたらきを「推理」という
推理小説のほんとうの面白さは推理にある

作品内の少年少女は読者の代表として描かれている
共感したり、感動したりすることを
作者は前もって計算している


コメント

因縁のホテルを売却?【The Suicide of Rachel Foster】@ゲーム実況 レトルトさん、𝐋𝐚𝐦𝐍𝐨𝐭 𝐇𝐚𝐫𝐝𝐜𝐨𝐫𝐞 𝐆𝐚𝐦𝐞𝐬さん

2023-06-20 16:43:34 | ゲーム
心霊現象が起きる廃ホテルを点検して売却するホラーゲーム@実況 レトルトさん
ホラー展開になったらすぐ止めようと思いつつ見始めたら
推理小説みたいで先が気になった

結局、ポルターガイスト現象ぽい音だけで
お化け屋敷要素はなかったんだけど
後味の悪い結末だったな


【内容抜粋メモ】

「雨の日の母の葬儀」
自分が死んだら娘ニコールに届くように用意していた母からの手紙

9年前、父が若い女性レイチェルと浮気をしていたことを明かし
遺産のホテルはイヤな過去を消すために売り払うようすすめている
レイチェルは自殺している

「ホテル」






ホテルに入って、留守電を聞く




アーヴィングと名乗る男性と四六時中電話でやりとりする
大雪でシャッターも開かなくなり、ホテルから出られなくなる
あるあるパターン



【完結】映画『シャイニング』【The Suicide of Rachel Foster】過去の遺産相続『父の浮気と自殺した少女』@𝐋𝐚𝐦𝐍𝐨𝐭 𝐇𝐚𝐫𝐝𝐜𝐨𝐫𝐞 𝐆𝐚𝐦𝐞𝐬
雪に閉ざされた古いホテルって設定は、たしかに『シャイニング』ぽい

冷凍室に缶詰があるから入ると、一瞬ドアが閉まる

弁護士ジェンキンスは湖に落ちた?とかで遅れるから
自分でホテルの状態を確かめるハメになる

ホテル内に自分が育った部屋があるってスゴイ環境だな









電話線が切れているはずなのに
「ホテルは売るな」という男からの電話がある

アーヴィングがホテルやプライベートの隅々まで知り尽くしているのも怪しい








子どもが閉じ込められていたような部屋が見つかる
この伏線の回収あった?





ニコールのホッケーのスティックを持っているマネキン
殴られて倒れているマネキンのお腹の上には子どもの人形が乗っている







アーヴィングがずっと電話していた部屋が見つかる
レイチェルはアーヴィングの姉だった






ニコールの父が撮った家族の思い出映像
“私は元気だ これからもずっと・・・大丈夫だ”
(意味が分からない・・・






母のクルマの中にシャツがあり、それを洗うと血がにじむ





それを見て、母が嫉妬からレイチェルを殺した現場を
ニコールは目の前で見たのに
ショックで記憶を喪失していたことを思い出す

ニコールが思い出したことで区切りがついたのか
アーヴィングは大雪の中、外に出てそれきり

ジェンキンスが向かっていると電話をかけるが
ホテルは売らないと言って切る

クルマのドアをふさいで、エンジンをかけ、煙が充満してくる

ニコール:私、死にたくない・・・







これで終わり
そして誰もいなくなったオチ?

なんだかスッキリしないストーリーだった


コメント