1987年 第32刷 内田庶/訳 松下勲/絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
人工頭脳ってAIのことかと思ったら、脳だけを生かしておく研究の話だった
シオドマクは初見だが、ハイラインはよく聞く名前なので
ジュブナイルで読めるのは嬉しい
【内容抜粋メモ】
■はじめに 内田庶
ここには、科学小説の中でも、推理小説の面白さもいっぱいもった作品を2編入れてみました
■人工頭脳の怪 シオドマク
●悪魔の研究
アリゾナ州の砂漠の真ん中の小さな村で怪しい研究をしている兄パトリック
その研究に反対している妹ジャニース
パトリックは死にかけたサルの脳をカラダから引き離して保存し
人工呼吸器で酸素、血液を送って生かし
脳波計で周波数を計っている
いつかヒトでも試してみたいと思っている
この屋敷を訪ねるのはただ1人
不時着用の飛行場の老医師シュトラット博士
博士もパトリックの研究は悪魔だと説得するが聞かない
●飛行機事故
旅客機が墜落し、シュトラットの代わりに行くパトリック
瀕死だったのは、有名な富豪W.H.ドノバン
どうにも助かりそうにないと判断すると
これこそ絶好のチャンスだという誘惑に勝てず
シュトラットに協力するよう頼む
もうすぐ救急車が死体の収容に来るため仕方なく協力し
死亡診断書も書くが、責任を放棄したことでクビになる
ドノバンは会社を息子に譲り
弁護士2人を乗せて自家用機に乗り事故に遭った
そして、大金が行方不明になった
パトリックはドノバンの脳とコミュニケーションをとるため
モールス信号を教えるがうまくいかないため
シュトラットに助言を求めると
ドノバンから来た脳波をパトリックの脳で受信すればいいと答える
●左利きの字
まず、ドノバンの脳を元気にするため
アミノ酸、脂肪、タンパク質を多く与えるとよく眠るようになる
(! やっぱり、この栄養が睡眠の質を改善して脳に良いんだな/驚
ミスで感電させてヒヤっとするが、その後、疲労でうたた寝していると
「W.H.ドノバン」と左利きでサインした文字が書いてある
ドノバンは左利きだった
クルマで離れた距離からも受信できると確認
だが、脳が起きている間、パトリックはぼんやりすることが増える
●殺人未遂
「カルフォルニア商業銀行」
「ロジャー・ハインズ」
「アントン・スターンリ」
という自動手記について調べてみる必要を感じるパトリック
シュトラットはパトリックきょうだいを救うため
電気を切って脳を死なせようとして
逆にドノバンに乗っ取られたパトリックから首を絞められる
ジャニースは、ロスの病院に看護婦として働くといって家を出る
その日から、シュトラットはなぜか脳の世話を黙ってするようになる
カリフォルニア商業銀行で5万ドルを引き出そうとして
支配人から」12年ほど前、ハインズから
大金を預かったままになっていたことを知る
スターンリを訪ね、500ドルを渡す
彼は長年ドノバンの秘書をしていたが
目を悪くしてから給料は半分にされ、クビにされた
ハインズについて聞くと、シリル・ハインズが母親殺しで逮捕された
彼のために弁護士を連れて行こうとして事故に遭った
パトリックもクルマに轢かれて、ジャニースの勤める病院で入院する
頭を打って、激痛がするのに、脳が痛みを引き受けている間は普通に戻る
「ナサニエル・フラー」
名前を調べて訪ねると腕利きの弁護士
ハインズを無罪にしたら5万ドル支払うと交渉
パトリック:
もうすぐ僕はドノバンの操り人形になってしまう
未来世界では、選ばれたスーパー脳により
人造人間のように動かされるのではないだろうか
●殺人鬼
州刑務所にハインズに会いに行く
ロジャーはシリルの叔父で首を吊って自死した
シリルはお金を無心した母親に断られてクルマで轢き殺した
そこれも二度轢いたため、顔が潰れたという
パルス:
陪審員は300人ほどから12人選びだす
断る人もいるから、100人の秘密を探り、無実にする
スターンリ:
ロジャーはドノバンの唯一の友人だが
婚約者と結婚したい一心で大金を借りて返さなかった
親友に裏切られたロジャーは自死
その後、結婚したが、妻は早くに亡くなり、とても後悔した
ロジャーの唯一の親戚シリルを助けて罪を償おうとした
●目撃者
13歳の少女が殺人場面を見ていたと聞いて
パルスのクルマで轢き殺そうとして失敗
シュトラット:
研究室に泥棒が入った
電気を切ろうとして、脳に殺されたんだ!
ドノバンと化したパトリックはジャニースを殺そうと部屋を訪ねる
兄の日記を読んだジャニースは乗っ取られていることを知りつつ説得する
ジャニース:
はじめにあなたが人を憎むから
その人もあなたを憎む
それより、互いに理解することが一番大事なことよ
妹の首を絞めると、ふと自由になる
シュトラットが研究室で電気コードを抜いて死んでいる
自らを犠牲にしてきょうだいを救ったと分かる
シュトラット:パトリックの優れた能力がもっと人々の役に立つほうに向けてもらえれば嬉しい
パトリックは不時着用空港の医師を継ぎ
インディアンのために力を尽くすと誓う
シリルは死刑となり、悪魔の力が消えたことを祈る兄妹
■ノバ爆発の恐怖 ハイライン
月基地からのロケットで地球に着いたギリアド少尉
トイレで服などを引き裂いて捨て、探検家に扮する
小男が新時代ホテルに泊まらないかとしつこく客引きする
エレベーターに乗ると、急に混雑して怪しい
小男に財布をスラれて、本名が書かれた秘密機関のカードだけ盗まれる
空気管郵送チューブを3つ買い
重要なマイクロフィルムを3本ずつ入れる
郵便局ではシカゴの私書箱行きの2本と
別に用意したラベルを貼って送る
風呂に入って出ると服がない
残りのマイクロフィルムは別モノと入れ替わっている
上司に連絡しようとすると繋がらない
ホテルから脱出しようとして、2人の警官に捕まり
マルクハイム銃で撃たれて失神
気づくと牢にいる
一緒に入れられているのは、理論物理学者ハートレイ・ボールドウィン博士だと思うが
そのいとこのグレゴリイ・ボールドウィンだと名乗る
トランプで賭けをして遊ぼうと誘われ、暗号でやりとりすると
ここは新時代ホテルで、脱出を手伝うという
本物のマイクロフィルムは秘密機関FBSの私書箱だと教える
●老婦人の正体
世界一の富豪で、貧しい人を助ける親切な女性として知られるケイスリー夫人は
ギリアドがFBSの優秀な一員と知っていて
地球通貨1千万クレジットでマイクロフィルムを買うと交渉
自分の部下にならないかと誘う
断ると、途中で寄ったドラッグストアで会った給仕の少女を
目の前で拷問して殺すと脅す
財布から身分証明書をすって、身代わりがロケットに乗ったから
助けは来ないと明かす
牢に戻り、グレゴリイはギリアドとケンカするフリをして
警備の男を倒し、ヘリコプターを呼んで窓から脱出
●FBS
大陸横断ロケットでFBS(地球連邦保安局)に行き
上司のボン局長に会うと、私書箱にマイクロフィルムはなかったと怒られる
マイクロフィルムには、惑星ごと爆発させることができる
“ノバ爆発”の設計図が書いてある
月にある関係書類はすべて燃やし
実験の関係者は記憶を忘れる注射を打たれた
これまでのことを話すと作り話だと笑われる
局長に麻酔を打って、秘密捜査官を辞めると言って出る
FBSの追跡を逃れるため、マイクロフィルムを持ってると思われるグレゴリイを探すと
牧場に連れていかれる
そこでゲイルという少女と出会い仲良くなる
グレゴリイらはギリアドを月基地から見張っていた
ケイスリー夫人が金の力でマイクロフィルムを手に入れて
地球支配をもくろんでいるため
グレゴリイはマイクロフィルムを燃やしてしまう
グレゴリイ:
小惑星アンチ・アース(いつも太陽の反対側にあって見えない惑星)が
ノバになって爆発して消えた
今の人類にはそんなもの要らないんだ
彼こそがやはりボールドウィン博士だと分かる
一緒に働かないかと誘われ、そのためにはスーパーマンになるテストが必要
ボールドウィン博士:
今の人間に欠けているのは何だろう?
新人類が持つ能力で世界を平和に保たなければならない
いつも冷静に正しい判断ができるように
スーパーマンが地球を支配することになりかねないと反対するギリアドだが
ケイスリー夫人を倒すために、ゲイルから高速語を学ぶ
普通より21倍速いため、考える時間も短縮できる
パっと見ただけで、その場にあるものをすべて目に焼き付ける能力は
第二次世界大戦中、ある大学教師が考えついた
ヒトがもともと持つ五感能力
テレパシー、テレキネス(精神感動移動)には個人差がある
●月の別荘
月世界にあったマイクロフィルムをケイスリー夫人が手に入れて
信管を新時代ホテルにしかけ、ひきがねを肌身離さず持っている
地球連邦の女王にしないと、地球をノバすると脅している
ギリアドとゲイルは兄妹の使用人として潜入し
ゲイルが夫人を殺し、ギリアドが自動信号装置を壊す命令を受ける
マッサージが得意なゲイルは夫人に呼ばれて
機会を見て、絞殺すると警報が鳴る
2人は自らの命を投げて地球を守ると決意する
ギリアド:僕たちは本当のきょうだいになろう
ギリアドも装置とともに爆発する
■作者と作品について 内田庶
カート・シオドマク
1902年 ドイツ生まれのSF作家
ヒトラーの政治を嫌い、スイスに亡命
ロンドンからハリウッドに移住
自由を愛し、人間性を尊ぶ
20冊ほどの小説を書き、何本もの映画の脚本を書いた
『空飛ぶ円盤、地球を襲来』は日本でも上映された
本作『ドノバンの脳』も映画化された
ストーリーが映画的
ロバート・A.ハイライン
世界のSF界を代表するSF作家
1907年 アメリカ ミズーリ州生まれ
夜空の星を眺め空想する少年だった
海軍に入り、航空母艦、駆逐艦に乗った
体を壊して、空想をSFに活かした
■読書の手びき 滑川道夫
怪奇な面白さの中に、人道主義の精神を読み落とさないようにしてほしい
スーパーマンたちは、冷たさを持った人間の一面も語られている
空想科学小説は、宇宙時代と呼ばれる開発が進むにつれて増えた
ヴェルヌが『月世界旅行』を書いて以来、多くの宇宙小説が書かれた
未来を描いても、現在の世界とつながりがある
地球政府が統一していることも作者の未来図
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
人工頭脳ってAIのことかと思ったら、脳だけを生かしておく研究の話だった
シオドマクは初見だが、ハイラインはよく聞く名前なので
ジュブナイルで読めるのは嬉しい
【内容抜粋メモ】
■はじめに 内田庶
ここには、科学小説の中でも、推理小説の面白さもいっぱいもった作品を2編入れてみました
■人工頭脳の怪 シオドマク
●悪魔の研究
アリゾナ州の砂漠の真ん中の小さな村で怪しい研究をしている兄パトリック
その研究に反対している妹ジャニース
パトリックは死にかけたサルの脳をカラダから引き離して保存し
人工呼吸器で酸素、血液を送って生かし
脳波計で周波数を計っている
いつかヒトでも試してみたいと思っている
この屋敷を訪ねるのはただ1人
不時着用の飛行場の老医師シュトラット博士
博士もパトリックの研究は悪魔だと説得するが聞かない
●飛行機事故
旅客機が墜落し、シュトラットの代わりに行くパトリック
瀕死だったのは、有名な富豪W.H.ドノバン
どうにも助かりそうにないと判断すると
これこそ絶好のチャンスだという誘惑に勝てず
シュトラットに協力するよう頼む
もうすぐ救急車が死体の収容に来るため仕方なく協力し
死亡診断書も書くが、責任を放棄したことでクビになる
ドノバンは会社を息子に譲り
弁護士2人を乗せて自家用機に乗り事故に遭った
そして、大金が行方不明になった
パトリックはドノバンの脳とコミュニケーションをとるため
モールス信号を教えるがうまくいかないため
シュトラットに助言を求めると
ドノバンから来た脳波をパトリックの脳で受信すればいいと答える
●左利きの字
まず、ドノバンの脳を元気にするため
アミノ酸、脂肪、タンパク質を多く与えるとよく眠るようになる
(! やっぱり、この栄養が睡眠の質を改善して脳に良いんだな/驚
ミスで感電させてヒヤっとするが、その後、疲労でうたた寝していると
「W.H.ドノバン」と左利きでサインした文字が書いてある
ドノバンは左利きだった
クルマで離れた距離からも受信できると確認
だが、脳が起きている間、パトリックはぼんやりすることが増える
●殺人未遂
「カルフォルニア商業銀行」
「ロジャー・ハインズ」
「アントン・スターンリ」
という自動手記について調べてみる必要を感じるパトリック
シュトラットはパトリックきょうだいを救うため
電気を切って脳を死なせようとして
逆にドノバンに乗っ取られたパトリックから首を絞められる
ジャニースは、ロスの病院に看護婦として働くといって家を出る
その日から、シュトラットはなぜか脳の世話を黙ってするようになる
カリフォルニア商業銀行で5万ドルを引き出そうとして
支配人から」12年ほど前、ハインズから
大金を預かったままになっていたことを知る
スターンリを訪ね、500ドルを渡す
彼は長年ドノバンの秘書をしていたが
目を悪くしてから給料は半分にされ、クビにされた
ハインズについて聞くと、シリル・ハインズが母親殺しで逮捕された
彼のために弁護士を連れて行こうとして事故に遭った
パトリックもクルマに轢かれて、ジャニースの勤める病院で入院する
頭を打って、激痛がするのに、脳が痛みを引き受けている間は普通に戻る
「ナサニエル・フラー」
名前を調べて訪ねると腕利きの弁護士
ハインズを無罪にしたら5万ドル支払うと交渉
パトリック:
もうすぐ僕はドノバンの操り人形になってしまう
未来世界では、選ばれたスーパー脳により
人造人間のように動かされるのではないだろうか
●殺人鬼
州刑務所にハインズに会いに行く
ロジャーはシリルの叔父で首を吊って自死した
シリルはお金を無心した母親に断られてクルマで轢き殺した
そこれも二度轢いたため、顔が潰れたという
パルス:
陪審員は300人ほどから12人選びだす
断る人もいるから、100人の秘密を探り、無実にする
スターンリ:
ロジャーはドノバンの唯一の友人だが
婚約者と結婚したい一心で大金を借りて返さなかった
親友に裏切られたロジャーは自死
その後、結婚したが、妻は早くに亡くなり、とても後悔した
ロジャーの唯一の親戚シリルを助けて罪を償おうとした
●目撃者
13歳の少女が殺人場面を見ていたと聞いて
パルスのクルマで轢き殺そうとして失敗
シュトラット:
研究室に泥棒が入った
電気を切ろうとして、脳に殺されたんだ!
ドノバンと化したパトリックはジャニースを殺そうと部屋を訪ねる
兄の日記を読んだジャニースは乗っ取られていることを知りつつ説得する
ジャニース:
はじめにあなたが人を憎むから
その人もあなたを憎む
それより、互いに理解することが一番大事なことよ
妹の首を絞めると、ふと自由になる
シュトラットが研究室で電気コードを抜いて死んでいる
自らを犠牲にしてきょうだいを救ったと分かる
シュトラット:パトリックの優れた能力がもっと人々の役に立つほうに向けてもらえれば嬉しい
パトリックは不時着用空港の医師を継ぎ
インディアンのために力を尽くすと誓う
シリルは死刑となり、悪魔の力が消えたことを祈る兄妹
■ノバ爆発の恐怖 ハイライン
月基地からのロケットで地球に着いたギリアド少尉
トイレで服などを引き裂いて捨て、探検家に扮する
小男が新時代ホテルに泊まらないかとしつこく客引きする
エレベーターに乗ると、急に混雑して怪しい
小男に財布をスラれて、本名が書かれた秘密機関のカードだけ盗まれる
空気管郵送チューブを3つ買い
重要なマイクロフィルムを3本ずつ入れる
郵便局ではシカゴの私書箱行きの2本と
別に用意したラベルを貼って送る
風呂に入って出ると服がない
残りのマイクロフィルムは別モノと入れ替わっている
上司に連絡しようとすると繋がらない
ホテルから脱出しようとして、2人の警官に捕まり
マルクハイム銃で撃たれて失神
気づくと牢にいる
一緒に入れられているのは、理論物理学者ハートレイ・ボールドウィン博士だと思うが
そのいとこのグレゴリイ・ボールドウィンだと名乗る
トランプで賭けをして遊ぼうと誘われ、暗号でやりとりすると
ここは新時代ホテルで、脱出を手伝うという
本物のマイクロフィルムは秘密機関FBSの私書箱だと教える
●老婦人の正体
世界一の富豪で、貧しい人を助ける親切な女性として知られるケイスリー夫人は
ギリアドがFBSの優秀な一員と知っていて
地球通貨1千万クレジットでマイクロフィルムを買うと交渉
自分の部下にならないかと誘う
断ると、途中で寄ったドラッグストアで会った給仕の少女を
目の前で拷問して殺すと脅す
財布から身分証明書をすって、身代わりがロケットに乗ったから
助けは来ないと明かす
牢に戻り、グレゴリイはギリアドとケンカするフリをして
警備の男を倒し、ヘリコプターを呼んで窓から脱出
●FBS
大陸横断ロケットでFBS(地球連邦保安局)に行き
上司のボン局長に会うと、私書箱にマイクロフィルムはなかったと怒られる
マイクロフィルムには、惑星ごと爆発させることができる
“ノバ爆発”の設計図が書いてある
月にある関係書類はすべて燃やし
実験の関係者は記憶を忘れる注射を打たれた
これまでのことを話すと作り話だと笑われる
局長に麻酔を打って、秘密捜査官を辞めると言って出る
FBSの追跡を逃れるため、マイクロフィルムを持ってると思われるグレゴリイを探すと
牧場に連れていかれる
そこでゲイルという少女と出会い仲良くなる
グレゴリイらはギリアドを月基地から見張っていた
ケイスリー夫人が金の力でマイクロフィルムを手に入れて
地球支配をもくろんでいるため
グレゴリイはマイクロフィルムを燃やしてしまう
グレゴリイ:
小惑星アンチ・アース(いつも太陽の反対側にあって見えない惑星)が
ノバになって爆発して消えた
今の人類にはそんなもの要らないんだ
彼こそがやはりボールドウィン博士だと分かる
一緒に働かないかと誘われ、そのためにはスーパーマンになるテストが必要
ボールドウィン博士:
今の人間に欠けているのは何だろう?
新人類が持つ能力で世界を平和に保たなければならない
いつも冷静に正しい判断ができるように
スーパーマンが地球を支配することになりかねないと反対するギリアドだが
ケイスリー夫人を倒すために、ゲイルから高速語を学ぶ
普通より21倍速いため、考える時間も短縮できる
パっと見ただけで、その場にあるものをすべて目に焼き付ける能力は
第二次世界大戦中、ある大学教師が考えついた
ヒトがもともと持つ五感能力
テレパシー、テレキネス(精神感動移動)には個人差がある
●月の別荘
月世界にあったマイクロフィルムをケイスリー夫人が手に入れて
信管を新時代ホテルにしかけ、ひきがねを肌身離さず持っている
地球連邦の女王にしないと、地球をノバすると脅している
ギリアドとゲイルは兄妹の使用人として潜入し
ゲイルが夫人を殺し、ギリアドが自動信号装置を壊す命令を受ける
マッサージが得意なゲイルは夫人に呼ばれて
機会を見て、絞殺すると警報が鳴る
2人は自らの命を投げて地球を守ると決意する
ギリアド:僕たちは本当のきょうだいになろう
ギリアドも装置とともに爆発する
■作者と作品について 内田庶
カート・シオドマク
1902年 ドイツ生まれのSF作家
ヒトラーの政治を嫌い、スイスに亡命
ロンドンからハリウッドに移住
自由を愛し、人間性を尊ぶ
20冊ほどの小説を書き、何本もの映画の脚本を書いた
『空飛ぶ円盤、地球を襲来』は日本でも上映された
本作『ドノバンの脳』も映画化された
ストーリーが映画的
ロバート・A.ハイライン
世界のSF界を代表するSF作家
1907年 アメリカ ミズーリ州生まれ
夜空の星を眺め空想する少年だった
海軍に入り、航空母艦、駆逐艦に乗った
体を壊して、空想をSFに活かした
■読書の手びき 滑川道夫
怪奇な面白さの中に、人道主義の精神を読み落とさないようにしてほしい
スーパーマンたちは、冷たさを持った人間の一面も語られている
空想科学小説は、宇宙時代と呼ばれる開発が進むにつれて増えた
ヴェルヌが『月世界旅行』を書いて以来、多くの宇宙小説が書かれた
未来を描いても、現在の世界とつながりがある
地球政府が統一していることも作者の未来図