メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

新編少女世界名作選 14 長くつ下のピッピ リンドグレーン/原作 偕成社

2024-05-05 11:19:06 | 
1973年初版 1988年18刷 1990年改装1刷 塩谷太郎/訳
新井苑子/カバー絵 中山正美/口絵・挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


タイトルは何度も聞いたことがあるけれども、読むのは初めて
リンドグレーンは素晴らしい作品をたくさん産んだ作家なんだな

かなり荒唐無稽で言葉をあそぶ物語
アドリブでどんどん創作話を語れる才能は、ほら吹き男爵を超えてる!
9歳で自炊できてるだけでもすごいし

続編とその他の作品もいつかまとめて読んでみたい



【内容抜粋メモ】

登場人物
ピッピ 9歳
トミー 隣りに住むセッテルグレン家の少年
アンニカ トミーの妹




小さな町の外れに古い家「きままやしき」があり、9歳のピッピが1人で住んでいた
母は赤ちゃんの頃に亡くなり、父は船長で
ピッピも船に乗り、外国を周っていたが海に消えてしまった







ピッピはママは天使、パパは黒人の王さまで、いつか迎えに来てくれると信じている
スーツケースいっぱいに金貨をいっぱい持ってきたからお金には困らない







ニルソンくんというサルとウマと暮らしている
ピッピは怪力で、ウマを持ち上げることもできる







隣りの家にはトミーとアンニカが住んでいる
2人とも親に言われて行儀よく素直な子だが、いつも退屈している









長くつ下を履いたピッピが朝の散歩に出て来て
後ろ向きに歩きだしてビックリした兄妹はワケを聞く

ピッピ:
あたしたち自由の国で暮らしてるんじゃないかしら?
どうして好きなように歩いちゃいけないの?
エジプトでは、みんなこうして歩いているのよ
コンゴじゃ、みんな1日中ずっとウソをついてるわ

ピッピは2人にとても美味しいパンケーキを焼いてくれる







居間には家具が1つしかない
新しい友だちの記念にトミーには真珠貝の柄のついたナイフ
アンニカには緑色の石のついた指輪が入った貝殻をはめた箱をプレゼントする



兄妹はいつもより早く朝食を終えて、ピッピの家に行く
ピッピはショウガいりのクッキーをたくさん焼いている

ピッピ:
あたし、さがしやなんだから、遊んでるわけにはいかないのよ
ものをさがす人にきまってるじゃないの

家の周りのガラクタを見つけては、いろんな使い道があると教える

いじめっ子のベングトたちが、臆病者のビッレをいじめているのを見て
ピッピは1人ずつ投げ飛ばしていく







眠る時は、枕に足を乗せる

ピッピ:
グアテマラじゃ、みんなこうして寝るのよ
眠ってる間も足の指を運動させられるから









少女が1人で住んでいる噂はすぐに広がり
「子どもの家」に入れて、学校に通わせなきゃいけないと噂する

ピッピ:ねえ、生きてるって、ほんとうに素晴らしいことだわ!

2人の警官が来て、子どもの家に入れて、学校に通わせることになったと話す

警官:学問がないと困るぞ 大きくなって、ポルトガルの首都を聞かれても答えられんのだぞ

ピッピ:
そんなに知りたいなら、ポルトガルに手紙を出して聞くといいわって教えてやるわ
あたしパパとリスボン(ポルトガルの首都)に行ったことがあるのよ

警官がつかまえようとすると屋根に上がり、追いついたらはしごを外してしまう
つまみ出された警官2人は「子どもの家向きじゃない」と町の人に話す










兄妹はピッピと学校に行けたら面白いのにと思い
クリスマスのお休みがあるなどと言って誘うと

ピッピ:あたしにはクリスマスのお休みがないのは不公平だわ! 明日から学校へ行くわ

ウマをベランダからおろして、ウマに乗って登校する
噂を聞いていた先生はなんとかピッピを学校に慣らそうと思い
学力を試すために足し算の問題を出しても、国語の問題を出しても言い負かされてしまう







絵を描かせると、床に大きなウマの絵を描く






ピッピ:とても面白かったけど、もう来る気はしないわ
先生:あなたがお行儀よくしてくれなかったのが一番悲しかったわ

ピッピ:
ずっと海の上で暮らしてきたからちっともわかんないの
アルゼンチンじゃ勉強なんかしちゃいけないことになってるの
学校ではキャラメルを食べるのよ

子どもたちはうらやましいと思う





庭には登るのにちょうどいい木が何本もあって
カシワの木の上でコーヒーを飲もうと兄妹を誘う
家では日曜やお客に呼ばれた時しか飲めないから喜ぶ兄妹








木の幹に大きな穴があいていて、はしごをかけて兄妹を誘う
トミー:ここを僕たちの隠れ家にしようよ









学校は大そうじでお休みのため、ピッピの家に行くと
ピッピも床にお湯をぶちまけて掃除を始める

お弁当をつくって、ピクニックに誘い
途中の道をとおせんぼうしている雌牛を持ち上げてどかす







日当たりのいい岩だなでごちそうを広げて、お腹いっぱい食べる






ピッピ:空を飛ぶってむずかしいかしら?
すぐに岩から飛んで、地面に落ちるがなんともない







ニルソンくんが行方不明になって、みんなで探す

池に入ったついでに髪を洗い、服はピチャピチャ、靴はガボガボ
今度は雄牛が襲ってきて、ピッピは角をポキンと折ってしまう








ニルソンくんは1人で森に残されたため、マツの木に隠れていた

トミーが学校でならった歌をうたうと、ピッピはその替え歌を歌う

♪すてきな夏の日
あたしはいくよ 野をこえ山こえ
あたしがいけば チャップチャップ ガッポガッポ




小さな町にサーカスが来て、兄妹はピッピを連れて行く
黒い燕尾服を着た団長がムチを打つと、ウマは駆けて、前足を柵にのせる







真っ黒なウマにカルメンシータ嬢が乗って走ると
ピッピもウマの背に乗ってしまい、お客はゲラゲラ笑って喜ぶ
2人の団員がつまみだそうとしても、ビクともしないピッピに諦める







団長:世界一の力持ち、大力アドルフとレスリングして勝ったら100クローネの懸賞金をあげる
ピッピ:あたしは世界一力持ちの女の子よ

ピッピはアドルフを何度も投げ倒す
団長は怖い顔で100クローネ札を渡すが
ピッピ:いらないわ 自分で持っていて、ニシンでも包むといいわ









小さな町ではピッピの怪力が知れ渡る
2人の浮浪者ブルムとカールソンが通りかかり
ピッピが床に金貨を並べて数えているのを見て驚く







ニルソンくんはこの家の主人だと思い、寝るのを待って泥棒に入ろうと計画する
ピッピはダンスの練習をしてから寝る

ドアにはカギがかかっておらず、ニルソンくんは小さなサルと分かり、ピッピを脅すが
2人を戸棚の上に乗せて、綱で手足を縛ってしまう

ピッピ:あんた、ポルカ踊れる? ちょっと踊ってみない? あたし、今覚えたばかりなの
ブルムにハモニカを吹かせて、カールソンと踊り、すっかり疲れてしまう







2人にパンとチーズなどをお腹いっぱい食べさせて
帰りに金貨を1枚ずつあげる
ピッピ:あんたたちが働いて稼いだお金よ



兄妹の母はコーヒーパーティーを催し、ピッピも招待する
ピッピ:あんたたちが恥をかかないよう、できるだけやってみるわ

セッテルグレン家には3人の立派な婦人が客に呼ばれている
ピッピは号令をかけてやって来る
ピッピ:あたしとても気が弱いから、玄関で足が震えて入れなかったと思うの







一番いいイスに座り、お皿のお菓子を残らずたいらげて
デコレーションケーキに顔ごと食いついて全部食べてしまう
ピッピ:いちばん大事なことは健康よ コーヒーパーティーの時は楽しむものよ







3人の婦人はいつも通り、お手伝いさんが使えない愚痴話をすると
ピッピも祖母の家にマーリンというお手伝いがいて
足に噛みついたりするけれども、祖母はとても好いていた話をする

婦人たちは聞こえなかったフリをして
兄妹の母親:こんなにお行儀が悪い子はもう呼んであげられないわ

ピッピ:
お行儀よくできなくてごめんなさい さよなら
マーリンが出て行った時、おばあちゃんがどんなに悲しんだか分かるでしょ








10
とても寒い日 兄妹は父とお茶会に行っていない
ピッピはウマに乗って広場に行くと、摩天楼と呼ばれる高いビルから火事が出る

てっぺんの屋根裏部屋から2人の小さな男の子が逃げ遅れて助けを求めている
消防車のはしごは届かない

ピッピは火事を見て喜んでいたが、少年たちが喜んでいないことをフシギに思う








長いロープの先をニルソンくんのしっぽに結び、近くの木に登らせて
枝にかけて戻ってくる
ピッピ:あんたは本当にお利巧ね いつでも大学の先生になれるよ

長い板を渡して屋根裏部屋に行って、少年を抱えて木に戻り
1人ずつロープでおろしてあげて、歌って踊りはじめる
ピッピ:たのしい火事だわ!
消防隊長はばんざいを4回叫ぶ







11
秋のある日、兄妹あてにピッピから誕生日の招待状が来る
オルゴールのプレゼントを渡すと躍り上がって喜び
兄妹にもプレゼントをあげる







テーブルにはごちそうが並び、ウマとニルソンくんもごちそうになる
ピッピ:屋根裏部屋に行って、お化けに会ってこない?

真っ暗な屋根裏部屋に上がると
ピッピ:あの連中、今夜はオバケ・幽霊協会の役員会に出かけたんだわ(w

古い船員箱を見つけて調べると、望遠鏡やピストルが出てくる
引き金をひくと天井に穴があく!







兄妹の父が迎えに来て、ピッピはささげつつの敬礼をして見送る
ピッピ:あたし大きくなったら海賊になるの! あんたたちは?




解説

アストリッド・リンドグレーン
1907年 スウェーデン生まれ
国際的な童話作家で本作はデビュー作

当時は型破りな内容が一般常識から外れていたため
児童の読み物としてふさわしくないと出版社に断られた
ある出版社がひき受けて、子どもたちの間でピッピは人気者になる

好きな時に寝て、誰からも干渉されず、自由にのびのびと暮らし
大金持ちで、力持ち、大人に対しても言いなりにならないピッピは
子どもたちにとってスーパーマン的存在

その他
『ピッピ、船にのる』
『ピッピ、南の島へ』

『さすらいの孤児ラスムス』国際アンデルセン大賞受賞









コメント