1974年初版 1982年 第10刷 富沢有為男/編著
山下一徳/カバー図案 武部本一郎/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
『ハイジ』の作者と知って納得
『北風と太陽』のように、厳しいばかりでは子どもを萎縮させ
褒めて自由に伸ばすことで、本来の性質と美しさが現れることが分かる
それにしても、少女向け小説はとくに美しいことが美徳みたいに強調されてるのが気になる
出てくるヒロインはみんな美少女でなくてもいいと思うけど
父がお金持ちだったり、貴族だったりする設定も同様
【内容抜粋メモ】
登場人物
コルネリ 3年前に母を亡くした
フリードリッヒ 父 鉄工場の主人
マルタおばあさん コルネリの母の乳母
ハルム夫人 ジノの母 夫は亡い
ニカ 姉 絵描きを目指す
アグネス 妹 音楽家を目指す
ジノ 体が弱い少年 12歳
ムク 末っ子 5歳
●あかるい少女
スイスのイレルバハ村
大きな鉄工場の主人の一人娘コルネリは、毎日、勉強が終わると
亡き母の乳母だったマルタおばあさんを訪ねて、お喋りするのが日課


マルタおばあさんは2階の部屋を下宿人に貸そうと思い
コルネリは新聞に広告を出すのを手伝う

●ジノ少年
ハルム夫人の家に後見人が訪ねてくる
長女ニカは絵が上手、妹アグネスは音楽が得意だと話すが
生活に実際役立つ裁縫の勉強をさせたほうがいいと忠告する
後見人:もっと手堅い仕事を志すよう仕向けなければいけません

ジノの体が弱っているのを心配して、1か月ほど転地させようと思ったハルム夫人は
マルタおばあさんの広告の場所をすすめる

●町からきたお客さま
父はコルネリの教育としつけのため、いとこのドルナーさんを呼ぶと
友だちのグリデーレンさんとともに来る
父:私が忙しすぎて、育て方まで手が回らない

父は翌日から仕事で旅行に出る
ドルナーらは、コルネリが食事時間に遅れたり、髪や服が乱れているのを指摘し
大好きな子ヤギと遊ぶことを禁止する

●角がはえる
ソファに靴の泥あとがついているのもコルネリのしわざと怒るが
実は女中がしたこと
自分のせいじゃないと言い張るコルネリに強情だと叱り
ドルナー:そんなに額にシワを寄せていると、角が生えてきますよ と脅す

コルネリはそれを信じ込み、頭にハンカチを巻いたり、髪を垂らして隠すようになり
次第に元気がなく、歌もうたわなくなる
●やさしい少年
ジノはマルタおばあさんからコルネリのことを聞いて
母が亡いことに同情し、早速友だちになろうとして
髪をあげたほうがいいと言うが、角が生えてると思い込んでいるコルネリ


●マルタのしんぱい
家に来なくなったコルネリを心配したマルタおばあさんはコルネリを訪ねる
コルネリ:
私、あの男の子が嫌い あの人も私のこと、どうせ嫌いに違いないもの
私はいっそ死んじまいたいのよ
ジノ:
君はなにかもっと別なことを考えるといいと思う
同じことばかり考えるから、ますますそういう気がしてくるんだよ

古い鍋が冷蔵庫に、古い洗濯釜はキレイな茶釜になろうとして後悔して
結局は壊れてしまったお話を聞かせると
コルネリはまたマルタおばあさんの家に来るようになる
ジノは学校が始まれば、家に帰らなければならないと聞くと、また落ち込んでしまう
毎年、夏に来ると約束して、ジノは帰ってしまう

父が旅行から帰り、すっかり変わってしまったコルネリを見てガッカリする
ドルナーらは、恐ろしく強情でどうにもならないと匙を投げる
父:あんな小さな子どもを罰するなんて、私にはとても考えられない

ドルナーは町の学校に入れる提案をして、グリデーレンとともに引き上げた
コルネリ:きっといい子になるから、私を家に置いてちょうだい!
どうにもならず、マルタおばあさんに相談し、コルネリはマルタおばあさんを訪ねる
マルタおばあさん:
私は昔、たった1人の子どもを亡くしたことがある
今日のあなたよりもっと泣きましたよ
私は神さまにお祈りしました
どうぞ、私をお救いくださいって
コルネリは額から角が消えるよう祈る

●ジノをたずねて
ジノはまた体調を崩して、コルネリに見舞いに来てほしいと手紙を書いてきた
ジノの家庭は立派だから、コルネリにもいい影響があるだろうと思い
父はコルネリを置いて、自分はホテルで泊まる
末っ子のムクがコルネリに夢中になり、姉がたまに泣いていることを教える
コルネリは共感して同情する


●コルネリの歌声
ムクのために歌うと、アグネスは夢中になって褒めるので嬉しくなるコルネリ

ジノの回復をお祝いするために、髪をとかそうとすると拒む
ハルム夫人:あなたはその人たちの言葉を間違えて受け取っているのよ
ハルム夫人に髪をあげてもらうと、みんなから美しいと褒められる

1年間、2人の姉と同じ学校に通うことになる
アグネス:あと1年で大好きな音楽を止めて、裁縫師にならなければならないの と激しく泣く
●なつかしいわが家
美しい故郷をみんなに見せたいと父に手紙を書くと
夏休みに一家で遊びに来るよう返事がくる
すっかり美しくなったコルネリを見て感激する父
父:そのまま成長したら、美しくて優しかったお母さんと同じになれるよ
ハルム夫人にもあつくお礼を言う



ハルム夫人:生まれながらのよい性質があったのですわ
ニカは周りの美しい風景をさかんに写生し、父も感心する
●みんな、しあわせに
父の誕生日、アグネスとコルネリは歌い、ニカは油絵をプレゼントする
アグネスが音楽を止めたくない理由を話すと
父はこの地に音楽学校を建てて、労働者の子どもたちに教えて欲しいと伝え
ニカも絵の勉強に通い、ジノは乗馬の練習、ムクには土地の管理人を任せて
ハルム夫人もこの家で子どもたちの勉強をみてほしいと頼む

■解説
ヨハンナ・スピリ
1827年 フィルツェル村生まれ
父は村の医者で、スピリはのびのびとした明るい家庭で育つ
25歳で結婚、子どもを産むが亡くなり、夫も亡くした
小説を書きだしたのは43、44歳の頃
『ハイジ』は7年かけて書き上げ、世界の注目を得た
今作でも、堅苦しい教育がどれほど人間を喰らい気持ちにさせ
少女をいじけさせるか、まっすぐな愛情、大自然が救うことを強く訴え
美しいアルプスの自然を背景に描いている
父兄をはじめ、大人の人にもぜひ一度読んでいただきたい優れた作品
その他
『羊飼い少年モニ』
『ビウンウイ』
『マツリ』
1901年 74歳で死去
山下一徳/カバー図案 武部本一郎/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
『ハイジ』の作者と知って納得
『北風と太陽』のように、厳しいばかりでは子どもを萎縮させ
褒めて自由に伸ばすことで、本来の性質と美しさが現れることが分かる
それにしても、少女向け小説はとくに美しいことが美徳みたいに強調されてるのが気になる
出てくるヒロインはみんな美少女でなくてもいいと思うけど
父がお金持ちだったり、貴族だったりする設定も同様
【内容抜粋メモ】
登場人物
コルネリ 3年前に母を亡くした
フリードリッヒ 父 鉄工場の主人
マルタおばあさん コルネリの母の乳母
ハルム夫人 ジノの母 夫は亡い
ニカ 姉 絵描きを目指す
アグネス 妹 音楽家を目指す
ジノ 体が弱い少年 12歳
ムク 末っ子 5歳
●あかるい少女
スイスのイレルバハ村
大きな鉄工場の主人の一人娘コルネリは、毎日、勉強が終わると
亡き母の乳母だったマルタおばあさんを訪ねて、お喋りするのが日課


マルタおばあさんは2階の部屋を下宿人に貸そうと思い
コルネリは新聞に広告を出すのを手伝う

●ジノ少年
ハルム夫人の家に後見人が訪ねてくる
長女ニカは絵が上手、妹アグネスは音楽が得意だと話すが
生活に実際役立つ裁縫の勉強をさせたほうがいいと忠告する
後見人:もっと手堅い仕事を志すよう仕向けなければいけません

ジノの体が弱っているのを心配して、1か月ほど転地させようと思ったハルム夫人は
マルタおばあさんの広告の場所をすすめる

●町からきたお客さま
父はコルネリの教育としつけのため、いとこのドルナーさんを呼ぶと
友だちのグリデーレンさんとともに来る
父:私が忙しすぎて、育て方まで手が回らない

父は翌日から仕事で旅行に出る
ドルナーらは、コルネリが食事時間に遅れたり、髪や服が乱れているのを指摘し
大好きな子ヤギと遊ぶことを禁止する

●角がはえる
ソファに靴の泥あとがついているのもコルネリのしわざと怒るが
実は女中がしたこと
自分のせいじゃないと言い張るコルネリに強情だと叱り
ドルナー:そんなに額にシワを寄せていると、角が生えてきますよ と脅す

コルネリはそれを信じ込み、頭にハンカチを巻いたり、髪を垂らして隠すようになり
次第に元気がなく、歌もうたわなくなる
●やさしい少年
ジノはマルタおばあさんからコルネリのことを聞いて
母が亡いことに同情し、早速友だちになろうとして
髪をあげたほうがいいと言うが、角が生えてると思い込んでいるコルネリ


●マルタのしんぱい
家に来なくなったコルネリを心配したマルタおばあさんはコルネリを訪ねる
コルネリ:
私、あの男の子が嫌い あの人も私のこと、どうせ嫌いに違いないもの
私はいっそ死んじまいたいのよ
ジノ:
君はなにかもっと別なことを考えるといいと思う
同じことばかり考えるから、ますますそういう気がしてくるんだよ

古い鍋が冷蔵庫に、古い洗濯釜はキレイな茶釜になろうとして後悔して
結局は壊れてしまったお話を聞かせると
コルネリはまたマルタおばあさんの家に来るようになる
ジノは学校が始まれば、家に帰らなければならないと聞くと、また落ち込んでしまう
毎年、夏に来ると約束して、ジノは帰ってしまう

父が旅行から帰り、すっかり変わってしまったコルネリを見てガッカリする
ドルナーらは、恐ろしく強情でどうにもならないと匙を投げる
父:あんな小さな子どもを罰するなんて、私にはとても考えられない

ドルナーは町の学校に入れる提案をして、グリデーレンとともに引き上げた
コルネリ:きっといい子になるから、私を家に置いてちょうだい!
どうにもならず、マルタおばあさんに相談し、コルネリはマルタおばあさんを訪ねる
マルタおばあさん:
私は昔、たった1人の子どもを亡くしたことがある
今日のあなたよりもっと泣きましたよ
私は神さまにお祈りしました
どうぞ、私をお救いくださいって
コルネリは額から角が消えるよう祈る

●ジノをたずねて
ジノはまた体調を崩して、コルネリに見舞いに来てほしいと手紙を書いてきた
ジノの家庭は立派だから、コルネリにもいい影響があるだろうと思い
父はコルネリを置いて、自分はホテルで泊まる
末っ子のムクがコルネリに夢中になり、姉がたまに泣いていることを教える
コルネリは共感して同情する


●コルネリの歌声
ムクのために歌うと、アグネスは夢中になって褒めるので嬉しくなるコルネリ

ジノの回復をお祝いするために、髪をとかそうとすると拒む
ハルム夫人:あなたはその人たちの言葉を間違えて受け取っているのよ
ハルム夫人に髪をあげてもらうと、みんなから美しいと褒められる

1年間、2人の姉と同じ学校に通うことになる
アグネス:あと1年で大好きな音楽を止めて、裁縫師にならなければならないの と激しく泣く
●なつかしいわが家
美しい故郷をみんなに見せたいと父に手紙を書くと
夏休みに一家で遊びに来るよう返事がくる
すっかり美しくなったコルネリを見て感激する父
父:そのまま成長したら、美しくて優しかったお母さんと同じになれるよ
ハルム夫人にもあつくお礼を言う



ハルム夫人:生まれながらのよい性質があったのですわ
ニカは周りの美しい風景をさかんに写生し、父も感心する
●みんな、しあわせに
父の誕生日、アグネスとコルネリは歌い、ニカは油絵をプレゼントする
アグネスが音楽を止めたくない理由を話すと
父はこの地に音楽学校を建てて、労働者の子どもたちに教えて欲しいと伝え
ニカも絵の勉強に通い、ジノは乗馬の練習、ムクには土地の管理人を任せて
ハルム夫人もこの家で子どもたちの勉強をみてほしいと頼む

■解説
ヨハンナ・スピリ
1827年 フィルツェル村生まれ
父は村の医者で、スピリはのびのびとした明るい家庭で育つ
25歳で結婚、子どもを産むが亡くなり、夫も亡くした
小説を書きだしたのは43、44歳の頃
『ハイジ』は7年かけて書き上げ、世界の注目を得た
今作でも、堅苦しい教育がどれほど人間を喰らい気持ちにさせ
少女をいじけさせるか、まっすぐな愛情、大自然が救うことを強く訴え
美しいアルプスの自然を背景に描いている
父兄をはじめ、大人の人にもぜひ一度読んでいただきたい優れた作品
その他
『羊飼い少年モニ』
『ビウンウイ』
『マツリ』
1901年 74歳で死去