1973年初版 1981年11刷 大庭さち子/編著
山下一徳/カバー図案 田村耕介/カバー絵・口絵 石田武雄/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
いかにもアメリカンなテンポ感で
場面が目に浮かぶように描かれていると思ったら、実際、ノベライズなのか
貧しくても、才能を活かして、努力すれば
成功し、お金も手に入るサクセスストーリーはアメリカ人好み
【内容抜粋メモ】
登場人物
ジョン・カードウェル 父 トロンボーン奏者
パトリシア 16歳の娘 歌が好き
マイケル 隣人 フルート奏者
ストコウスキー フィラデルフィア管弦楽団の名指揮者
支配人ラッセル
フロスト 実業家
ブルックリンのアパートに住むパトリシアは歌うのが大好き
アパートの管理人コスターおばさん:早く立派な歌手になっておくれね
父ジョンはトロンボーン奏者で大きな楽団に所属していたが
妻の看病と赤ちゃんの世話が2年も続き、クビになった
その後、妻は亡くなり、やっと場末の小さな楽団に入ったが、それも潰れてしまった
歌が大好きなパトリシアを音楽学校へ入れたいと思い
アメリカ一のフィラデルフィア交響楽団を指揮している
世界的名指揮者ストコウスキーに会いに行く
父が夜遅く帰宅するとコスターおばさんは
アパートの家賃を3か月も未払いなため
大家さんが明日出て行ってほしいと言っていると父に伝える
父はポケットからあっさり3か月分の家賃を払う
驚いたコスターおばさんは、ジョンがとうとうストコウスキーに認められたと思い
アパートの住民全員でお祝いのパーティを開く
パトリシアはパンを買うお金もなく水だけでガマンする日々がやっと終わったと大喜び
隣人でフルート奏者のマイケルの伴奏で得意の歌を披露する
♪わらって うたって ほがらかに
だれもかれにもつげましょう
きのうのやみは とおくさり
きょうは光りの雨がふる
パトリシアは父の髪をさっぱり切ってあげる
10時からの稽古についていこうとすると強く止める父
近所のレストラン・リリーは働き口のない音楽家や画家などが集まるクラブ
父はマイケルに本当のわけを話す
ストコウスキーのコンサートは大盛況で
サインブックを手にしたファンが押し寄せる
守衛のジャックは毎日来るジョンを目の敵にして追い払う
ストコウスキーに仕事の件を頼むと支配人ラッセルを呼び
ラッセル:楽団も今は人が多すぎるくらいだ 空きが出たら知らせるよ
ガッカリして歩いていると、女性のハンドバッグを拾い、事務所に届けるつもりが
またジャックに会うのがイヤで後で返そうと持ちかえり
家賃を迫られて、ついそこからお金を払ってしまった
マイケルはそのうちパトリシアに話してあげると約束する
*
パトリシアはこっそり父の様子を見ようとコンサート・ホールに行く
ジャックに止められ、父がいると話すと
2年前から新しく入った者はいないと言われる
目を盗んで入り、楽団を見ると、4人のトロンボーン奏者の中に父はいない
ジャックに追い出され、帰宅し、まだウソを言っている父に問いただす
*
お人よしで気の小さいジョンの代わりにハンドバッグを返しに行くパトリシア
名詞にあるフロスト家は立派なお屋敷で
フロスト夫人にバッグを返すとお礼に100ドルあげると言うので
家賃として抜いた63ドルだけもらい
その場で返すとすっかり気に入られて夕食をごちそうになる
父が名トロンボーン奏者だと話し、歌を聞かせてと頼まれて
♪こころは自由 を歌うと大絶賛される
パトリシア:
パパの楽団はつぶれてしまったの
働き口のない音楽家はNYだけでも1万人近くいる
紳士:その人たちで新しい楽団を作ればいい
パトリシア:今すぐ作りますから、入用のお金を出してください
フロスト氏は放送局長で、今度できるテレビ会社の社長だから
新しくつくったオーケストラを見せてくれたらお金を出すと約束してくれる
レストラン・リリーでわけを話すと、信じてくれないため
フロスト夫人に電話すると、たしかに約束したと話す
*
まず稽古場を探して、昼の間だけ安い賃料でガレージを借りる
失業音楽家から100人選んで、楽長にジョンが選ばれる
久しぶりの演奏に喜ぶ仲間たち
*
パトリシアがフロスト夫人に会いに行くと、ヨーロッパに旅行に出てしまったため
フロスト氏に会いに行く
黒人のタクシー運転手サリーも歌うのが大好きで、即興で歌う
クラブの玉突き場でフロスト氏は実業家仲間2人とかけ事をしているところに
パトリシアがオーケストラの話をしたため
仲間が自分をだまそうとしていると思う
パトリシアはフロスト氏が承諾してくれたと思い込むが
フロスト氏:
私は君たちを助けるつもりはない
妻も冗談で言ったことだ
世間が認めていないオーケストラなど誰が聴くか
乞食と言われるのが悔しければ、有名な音楽家を連れて来い
ジョンは怒ってフロスト氏を殴ってしまう
ツライことに慣れている音楽家たちは帰りはじめる
パトリシアはもう一度ストコウスキーに会うためにコンサート・ホールに忍び込む
演奏に感動して拍手して褒め讃え、ジャックをまいて事務所に入る
電話が鳴り、ストコウスキーがヨーロッパに行く話を聞いて
なんとか止めたい一心で、ヨーロッパ行きは止めて
失業音楽家のオーケストラを指揮するとウソをついてしまう
パトリシア:フロストさんが後援するんです
支配人ラッセルが来て、パトリシアを追い出す
楽団がモーツァルトの♪ハレルヤ を演奏すると歌いだすパトリシア
その歌声に感激するストコウスキー
父に習ったと話し、失業音楽家のオーケストラの指揮をしてほしいと頼むが
ストコウスキー:一度約束したら変えられない 半年の旅行から戻ったら相談に乗りましょう
ガッカリしたパトリシアはタクシー代も払えない
サリー:明日になれば、明日の風が吹いてくるさ
*
パトリシア:
なぜ私たちばかり、こんな貧しい日が続くのかしら?
神さまはどうしてこんなに不公平なの
父:幸せなんて、心の持ち方ひとつだよ
マイケル:今日の苦労は今日だけでたくさんだ
翌朝の新聞にストコウスキーが失業音楽家を指揮して
フロスト氏が後援するという記事が出る
事務所にかかってきた電話が新聞記者だったと分かる
フロスト氏は激怒するが、実業家仲間はこれは金になると言ったため
どこより早く契約してしまおうとジョンにサインを求める
パトリシア:サインをしちゃダメ!
フロスト氏は3か月の契約じゃ足りないと勘違いして1年に延ばす
フロスト氏:君たち100人より、あの娘1人のほうが商売が上手いよ
音楽家たちにわけを話すと、マイケルはもう一度ストコウスキーに頼んでほしいと切願する
マイケル:君だけが頼りなんだ!
ストコウスキーに問い合わせて、そんな約束はしていないと言われて
フロスト氏は激怒し、楽団を訴えようとする
ストコウスキーは喧騒から離れ、自宅で1人ピアノで作曲していると
パトリシアと100人のオーケストラが現れ
♪ハンガリア狂詩曲第二番 を演奏する
ストコウスキーはいつの間にか指揮をふる
演奏に感動して、ヨーロッパ行きをキャンセルして、指揮することを約束する
コンサート・ホールで演奏会の日
フロスト氏は改めて後援し、きっかけをつくった妻を呼び寄せる
ストコウスキーに紹介されてパトリシアがステージに上がる
サリー:歌ってくれよ!
一番安い3階席には、アパートの隣人が並んでいる
♪トラビアタ(椿姫)の乾杯の歌を披露するパトリシア
♪この世の命みじかく やがては消えゆく
ああそれゆえにこそ このひとときを楽しく過ごさん
■解説
本書の原題は『百人の紳士と一人の少女』
アメリカのシナリオライター、ハンス・クラーリイが脚本として書いた
アメリカで映画化され、昭和13年に日比谷で封切され
3週間も続映され、13万人が観た
当時としては日本映画界空前の大記録だった
パトリシアを演じたディアナ・ダービンは一躍スターとなり
当時の楽団で活躍していたレオボルド・ストコウスキーが特別出演し
実際、フィラデルフィア交響楽団を指揮して有名になった
どんな時にも明るさを失わない少女
険しい道を自分で切り開いて、幸福の喜びを教えている
山下一徳/カバー図案 田村耕介/カバー絵・口絵 石田武雄/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
いかにもアメリカンなテンポ感で
場面が目に浮かぶように描かれていると思ったら、実際、ノベライズなのか
貧しくても、才能を活かして、努力すれば
成功し、お金も手に入るサクセスストーリーはアメリカ人好み
【内容抜粋メモ】
登場人物
ジョン・カードウェル 父 トロンボーン奏者
パトリシア 16歳の娘 歌が好き
マイケル 隣人 フルート奏者
ストコウスキー フィラデルフィア管弦楽団の名指揮者
支配人ラッセル
フロスト 実業家
ブルックリンのアパートに住むパトリシアは歌うのが大好き
アパートの管理人コスターおばさん:早く立派な歌手になっておくれね
父ジョンはトロンボーン奏者で大きな楽団に所属していたが
妻の看病と赤ちゃんの世話が2年も続き、クビになった
その後、妻は亡くなり、やっと場末の小さな楽団に入ったが、それも潰れてしまった
歌が大好きなパトリシアを音楽学校へ入れたいと思い
アメリカ一のフィラデルフィア交響楽団を指揮している
世界的名指揮者ストコウスキーに会いに行く
父が夜遅く帰宅するとコスターおばさんは
アパートの家賃を3か月も未払いなため
大家さんが明日出て行ってほしいと言っていると父に伝える
父はポケットからあっさり3か月分の家賃を払う
驚いたコスターおばさんは、ジョンがとうとうストコウスキーに認められたと思い
アパートの住民全員でお祝いのパーティを開く
パトリシアはパンを買うお金もなく水だけでガマンする日々がやっと終わったと大喜び
隣人でフルート奏者のマイケルの伴奏で得意の歌を披露する
♪わらって うたって ほがらかに
だれもかれにもつげましょう
きのうのやみは とおくさり
きょうは光りの雨がふる
パトリシアは父の髪をさっぱり切ってあげる
10時からの稽古についていこうとすると強く止める父
近所のレストラン・リリーは働き口のない音楽家や画家などが集まるクラブ
父はマイケルに本当のわけを話す
ストコウスキーのコンサートは大盛況で
サインブックを手にしたファンが押し寄せる
守衛のジャックは毎日来るジョンを目の敵にして追い払う
ストコウスキーに仕事の件を頼むと支配人ラッセルを呼び
ラッセル:楽団も今は人が多すぎるくらいだ 空きが出たら知らせるよ
ガッカリして歩いていると、女性のハンドバッグを拾い、事務所に届けるつもりが
またジャックに会うのがイヤで後で返そうと持ちかえり
家賃を迫られて、ついそこからお金を払ってしまった
マイケルはそのうちパトリシアに話してあげると約束する
*
パトリシアはこっそり父の様子を見ようとコンサート・ホールに行く
ジャックに止められ、父がいると話すと
2年前から新しく入った者はいないと言われる
目を盗んで入り、楽団を見ると、4人のトロンボーン奏者の中に父はいない
ジャックに追い出され、帰宅し、まだウソを言っている父に問いただす
*
お人よしで気の小さいジョンの代わりにハンドバッグを返しに行くパトリシア
名詞にあるフロスト家は立派なお屋敷で
フロスト夫人にバッグを返すとお礼に100ドルあげると言うので
家賃として抜いた63ドルだけもらい
その場で返すとすっかり気に入られて夕食をごちそうになる
父が名トロンボーン奏者だと話し、歌を聞かせてと頼まれて
♪こころは自由 を歌うと大絶賛される
パトリシア:
パパの楽団はつぶれてしまったの
働き口のない音楽家はNYだけでも1万人近くいる
紳士:その人たちで新しい楽団を作ればいい
パトリシア:今すぐ作りますから、入用のお金を出してください
フロスト氏は放送局長で、今度できるテレビ会社の社長だから
新しくつくったオーケストラを見せてくれたらお金を出すと約束してくれる
レストラン・リリーでわけを話すと、信じてくれないため
フロスト夫人に電話すると、たしかに約束したと話す
*
まず稽古場を探して、昼の間だけ安い賃料でガレージを借りる
失業音楽家から100人選んで、楽長にジョンが選ばれる
久しぶりの演奏に喜ぶ仲間たち
*
パトリシアがフロスト夫人に会いに行くと、ヨーロッパに旅行に出てしまったため
フロスト氏に会いに行く
黒人のタクシー運転手サリーも歌うのが大好きで、即興で歌う
クラブの玉突き場でフロスト氏は実業家仲間2人とかけ事をしているところに
パトリシアがオーケストラの話をしたため
仲間が自分をだまそうとしていると思う
パトリシアはフロスト氏が承諾してくれたと思い込むが
フロスト氏:
私は君たちを助けるつもりはない
妻も冗談で言ったことだ
世間が認めていないオーケストラなど誰が聴くか
乞食と言われるのが悔しければ、有名な音楽家を連れて来い
ジョンは怒ってフロスト氏を殴ってしまう
ツライことに慣れている音楽家たちは帰りはじめる
パトリシアはもう一度ストコウスキーに会うためにコンサート・ホールに忍び込む
演奏に感動して拍手して褒め讃え、ジャックをまいて事務所に入る
電話が鳴り、ストコウスキーがヨーロッパに行く話を聞いて
なんとか止めたい一心で、ヨーロッパ行きは止めて
失業音楽家のオーケストラを指揮するとウソをついてしまう
パトリシア:フロストさんが後援するんです
支配人ラッセルが来て、パトリシアを追い出す
楽団がモーツァルトの♪ハレルヤ を演奏すると歌いだすパトリシア
その歌声に感激するストコウスキー
父に習ったと話し、失業音楽家のオーケストラの指揮をしてほしいと頼むが
ストコウスキー:一度約束したら変えられない 半年の旅行から戻ったら相談に乗りましょう
ガッカリしたパトリシアはタクシー代も払えない
サリー:明日になれば、明日の風が吹いてくるさ
*
パトリシア:
なぜ私たちばかり、こんな貧しい日が続くのかしら?
神さまはどうしてこんなに不公平なの
父:幸せなんて、心の持ち方ひとつだよ
マイケル:今日の苦労は今日だけでたくさんだ
翌朝の新聞にストコウスキーが失業音楽家を指揮して
フロスト氏が後援するという記事が出る
事務所にかかってきた電話が新聞記者だったと分かる
フロスト氏は激怒するが、実業家仲間はこれは金になると言ったため
どこより早く契約してしまおうとジョンにサインを求める
パトリシア:サインをしちゃダメ!
フロスト氏は3か月の契約じゃ足りないと勘違いして1年に延ばす
フロスト氏:君たち100人より、あの娘1人のほうが商売が上手いよ
音楽家たちにわけを話すと、マイケルはもう一度ストコウスキーに頼んでほしいと切願する
マイケル:君だけが頼りなんだ!
ストコウスキーに問い合わせて、そんな約束はしていないと言われて
フロスト氏は激怒し、楽団を訴えようとする
ストコウスキーは喧騒から離れ、自宅で1人ピアノで作曲していると
パトリシアと100人のオーケストラが現れ
♪ハンガリア狂詩曲第二番 を演奏する
ストコウスキーはいつの間にか指揮をふる
演奏に感動して、ヨーロッパ行きをキャンセルして、指揮することを約束する
コンサート・ホールで演奏会の日
フロスト氏は改めて後援し、きっかけをつくった妻を呼び寄せる
ストコウスキーに紹介されてパトリシアがステージに上がる
サリー:歌ってくれよ!
一番安い3階席には、アパートの隣人が並んでいる
♪トラビアタ(椿姫)の乾杯の歌を披露するパトリシア
♪この世の命みじかく やがては消えゆく
ああそれゆえにこそ このひとときを楽しく過ごさん
■解説
本書の原題は『百人の紳士と一人の少女』
アメリカのシナリオライター、ハンス・クラーリイが脚本として書いた
アメリカで映画化され、昭和13年に日比谷で封切され
3週間も続映され、13万人が観た
当時としては日本映画界空前の大記録だった
パトリシアを演じたディアナ・ダービンは一躍スターとなり
当時の楽団で活躍していたレオボルド・ストコウスキーが特別出演し
実際、フィラデルフィア交響楽団を指揮して有名になった
どんな時にも明るさを失わない少女
険しい道を自分で切り開いて、幸福の喜びを教えている