1995年初版 広津倫子/訳
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
いかにも手練な脚本家が書いたハーレクインものというか
1980年代に流行ったシドニー・シェルダンの超訳ミステリーを思い出す
悪役だけれども抗いがたい魅力を持つテンペストから
逃れながれないヒロインになんだかモヤモヤする
他にも魅力満載な男性が次々現れては、若く、美しいヒロインに参っていく
テンペストが言うように、逃げては見つけるというゲームがすっかり娯楽になって
相手を喜ばせているのが分かっていながら逃げるのはなんだかなぁ
テンペストもバプティストという下僕がいなければ
あそこまで頑張れたかは分からないし
そもそもテンペストを悪魔のようにいうけど、二重結婚てよくある三文話で
それほど罪が重いというイメージを感じないのはキリスト教徒じゃないからか?
神父もローズを愛しているのに、父と子のように振る舞うのも不自然
宗教のルールに縛られているほうがより盛り上がるという計算か
幼くして両親を亡くし、祖父の愛情すらなく育ったローズの生育背景からして
どんなに歪曲してても、自分にだけ注がれる関心に背くのは容易じゃないのと
当時は女性が男性の奴隷のような存在だったのが
現代とまったく違う感覚だから違和感を感じるのもある
【内容抜粋メモ】
登場人物
ロザモンド・ヴィヴィアン 18歳
フィリップ・テンペスト 35歳
イッポリート ギリシア人の美少年
バプティスト テンペストの従僕
リュネヴィル伯爵 妻を亡くし、娘を溺愛している
伯爵令嬢ナタリー 17歳
イグナティウス神父
両親を亡くし、祖父の屋敷で暮らしているロザモンドは
愛のない生活に孤独を感じ、退屈しきってキレているところにテンペストが入ってくる
テンペストは1か月も滞在が延び、ロザモンドとすっかり親しくなる
てか、退屈で仕方なくて、いかにも連れ出して欲しくてたまらない様子
母は貧しい男と結婚したことで祖父の怒りを買い、莫大な財産は姉妹が相続した
叔母が亡くなれば、ロザモンドのものになるため、祖父はそれを待っている
嵐で崖の上のヒマラヤ杉が倒れる
あの木が倒れたら、ロザモンドも後を追うという迷信がある
*
テンペストはロザモンドをキルケー号に乗せてひと周りする
ギリシア人の美少年イッポリートとも仲良くなる
祖父は夜な夜なテンペストとカードの賭けをして負け
テンペストはロザモンドをゲットして海に連れ出し
ダイヤモンドの指輪を差し出してプロポーズする
*
結婚して1年が経つ
テンペストの別荘ヴァルローザでバラに囲まれて豪奢な生活を送るロザモンド
テンペストは自分が善い人間ではないことを明かし、それでも愛するかと問う
古い知人ウィロビーがやって来て、迷惑そうなテンペスト
リートを見て「生き写しだ」と驚く
パリではコレラが大流行
ウィロビーは心臓病を抱えているのを知った上で、テンペストは無茶な観光に引きずり回し
翌日、ウィロビーはコレラと心臓発作で亡くなり、ホテルはかき入れ時を逃さないために秘密にする
*
リートは見知らぬ人から手紙を受け取り、テンペストがそれを読んで激怒し
それ以来姿が見えなくなる
リートを探し出そうとするロザモンドを見張る従僕バプティスト
夜、森を探索すると少年の形をした墓を見つける リートは殺されたのか?
劇場では見知らぬ男女にジロジロ見られ、その夜、テンペストの妻が現れ
息子リートを渡してくれと頼むがテンペストは拒む
妻はロザモンドに同情し、テンペストは友人に牧師役をさせてだまして結婚したと明かす
夫を信じられなくなったロザモンドは衝動的に家を出る
*
以前知り合ったピュジャル母さんのもとで苦手な繕いの仕事をして9か月が経った
テンペストはどうしてるかなと考えていたら、部屋に来て、騙したことを詫びるテンペスト
リートを母のもとへ帰す条件を出すと、もう死んだと言う
1日考えさせてくれと時間を作り、ポーリーヌに助けを求めて部屋を抜け出すロザモンド
ポーリーヌは女優オノリーヌに衣装を持って行くと見せかけて
ロザモンドをカゴに入れていくアイデアを思いつく
金持ちで心優しいオノリーヌはロザモンドに同情してかくまう
聖アナンシアタ修道院に知人がいるからいつでも入れるが、女優になるようすすめる
リートが音楽師として来て、2人は再会を喜び合う
森にあった墓は愛犬のもので、母のもとに行くためにお金を稼いでいると話す
バプティストがオノリーヌの屋敷を見つけ、ロザモンドは修道院に行く決心をし
リートとともに少年の仮装をして屋敷を抜け出す
途中で見つけた女の死体のそばにある遺書の名前を自分のものにかえて
テンペストに自分が死んだと思わせる
修道院に着いて、リートと別れる
*
院長だけに事情を話し、ロザモンドは聖女として知られるようになる
それでもまだテンペストへの思いは断ち切れず神父に告解しようと思う
リュネヴィル伯爵の娘ナタリーが熱病に倒れ、みなが離れて行く中
ロザモンドだけが看病して命を救う
ドミニック神父はイグナティウス神父を部屋に閉じ込める
神父の身でロザモンドを愛しているのが理由だと言う
ロザモンドは告解室でまだテンペストを愛していると話すと
勝ち誇ったようにテンペストが現れる
ロザモンドが死んだと一時は騙されていたが、院長がテンペスト宛てに匿名の手紙を出して
またもやバプティストが見つけ出した
ドミニック神父を金で買収した
イグナティウス神父はロザモンドを守ろうとしたため閉じ込めた
妻と離婚が成立したら、正式にロザモンドにプロポーズするから許せと迫り
今後、どれだけ逃げても見つけ出すと豪語する(DV夫のやり方だよね/汗
ロザモンドはイグナティウス神父を頼り、伯爵の助けを乞う
*
体の弱いナタリーの世話をして3か月が経ち、すっかり仲良くなるロザモンド
ナタリーは父とロザモンドが結婚することを願っている
伯爵もイグナティウス神父から事情を聞いた上でロザモンドを愛しているとプロポーズする
式は内輪で済ませるとしても、噂は広まり、またテンペストが現れ
結婚したら、伯爵を殺すと脅す
伯爵の亡き妻は気がふれていて、とても苦しんだという噂を聞いて
ロザモンドは自分の妻で、狂っているのだと教えると
伯爵は娘を連れて国へ帰る
ロザモンドはピストルで胸を撃って、意識が戻ると精神病院に入院させられている
(自分の意志で出られないのが恐ろしい/汗
体が回復するまで正常な人間だと印象づけるよう努力するロザモンド
いつでも見張っているバプティストにどうしたら見逃してくれるかと問う
同情したバプティストは庭の鍵を渡し、ロザモンドは病院を脱出
オノリーヌが自分を見かけたと手紙をよこして、喜んで城に入ると、そこにいたのはテンペスト
*
バプティストはわざとロザモンドを逃がして、主人に教えた
テンペストはロザモンドが回復するまで身の回りを世話して奴隷のように振る舞う
庭の花をとろうとしたテンペストを押してイグナティウス神父が助けに来る
伯爵から手紙をもらい、乞食に扮装したりして追いかけ、今後はずっと守ると誓う
(どっちにせよ男に縛られて自由が奪われることには変わりないな
ロザモンドはテンペストが一番避けている妻のもとで働きたいと願う
イグナティウス神父は本名はバイヤール・コンデで二月革命で戦った公爵だと分かる
レオニーという女性と結婚したが失敗し、俗世間から離れた 妻は亡い
*
2人は父娘を演じて、偽名を使うが、船上の客は夫婦だろうと噂する
パリの警察署長ヴェトレイは逃亡犯バプティストを追っている
バプティストは海から落ちる時にヴェトレイの腕を刺す
バプティストは労働者に紛れてロザモンドを監視している
ロザモンドをおとりにしてバプティストは逮捕される
テンペストはひん死だと言ったがそれもウソ
バプティストは翌日処刑される
*
テンペスト夫人とリートはロザモンドを熱烈に歓迎する
テンペストとは19歳の時に結婚、旅から帰るとリートは死んだと言われた
夫の非情さを知って家を出たが、その後、子どもは生きているとウィロビーから聞いて
返してほしいと言いに行った
テンペストは離婚の最終手続きをしに弁護士とともに来る
リートが見つかったら、親権は妻に譲ると同意する
隠し部屋にいたリートの声を聞いて、疑い、ロザモンドが部屋から出て来て
弁護士にこれまでのことを話すと大いに同情し、味方すると約束する
*
荒地でテンペストはイグナティウス神父に銃での決闘を申し込むが
霊的な武器しか使わないと断る神父
ロザモンドを侮辱されて取っ組み合いのケンカになり
テンペストは初めて敗北する
神父は一生ロザモンドを愛するが、ずっと誠実な友でいると誓う
*
テンペストは離婚により過去がバレて世間から疎まれる
ロザモンドの祖父から手紙が来て、正式に結婚するよう書いてある
叔母が亡くなり、莫大な財産がロザモンドのものとなった
手紙を持って行くと、リートが元気にしていて驚く
ロザモンドは祖父を訪ねると決め、テンペストとよりを戻すつもりはないとキッパリ断る
神父は財布をなくして探している間にロザモンドを乗せた船が出てしまい、後を追う
それもすべてテンペストの策略で、元海賊に神父の船を沈めるよう命令する
祖父の屋敷に行くと、溺死したロザモンドがいる
神父:
私から彼女を奪うことはできん
あなたには入れない祝福された世界で、再会するのだから
テンペストは隠し持った短刀で胸を刺して
テンペスト:俺のものだ 最初も最後も たとえ墓の中でも!
(こういう執着心の強い人は、実際、霊魂になっても
頑なに現世の欲を捨てようとしないから厄介だな/汗
■テクストに関する覚書
本書の手書き原稿は自筆の修正が入っているが、書下ろしのままを訳したとある
■訳者の解説
作者自身が「血と雷(ブラッド&サンダー)スリラー」と呼ぶ作品群の1つ
病人の話し相手としてヨーロッパ旅行をした経験をもとに書いて
知人の雑誌編集者エリオットは「センセーショナルすぎる」と言って採用せず
1990年代になって、子孫が原稿を売り、校訂者ケントが買った
物語の舞台は19世紀後半のヨーロッパ
ニース、パリ、ドイツの温泉保養地などを旅する
130年前、女は男にすがって生きるのが当たり前だった
テンペストがロザモンドに執着したのは、他人の意のままにならない相手を
屈服させたいという目的に駆り立てらたため
エリオットがセンセーショナルすぎると言ったのは、この点であったかもしれない
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
いかにも手練な脚本家が書いたハーレクインものというか
1980年代に流行ったシドニー・シェルダンの超訳ミステリーを思い出す
悪役だけれども抗いがたい魅力を持つテンペストから
逃れながれないヒロインになんだかモヤモヤする
他にも魅力満載な男性が次々現れては、若く、美しいヒロインに参っていく
テンペストが言うように、逃げては見つけるというゲームがすっかり娯楽になって
相手を喜ばせているのが分かっていながら逃げるのはなんだかなぁ
テンペストもバプティストという下僕がいなければ
あそこまで頑張れたかは分からないし
そもそもテンペストを悪魔のようにいうけど、二重結婚てよくある三文話で
それほど罪が重いというイメージを感じないのはキリスト教徒じゃないからか?
神父もローズを愛しているのに、父と子のように振る舞うのも不自然
宗教のルールに縛られているほうがより盛り上がるという計算か
幼くして両親を亡くし、祖父の愛情すらなく育ったローズの生育背景からして
どんなに歪曲してても、自分にだけ注がれる関心に背くのは容易じゃないのと
当時は女性が男性の奴隷のような存在だったのが
現代とまったく違う感覚だから違和感を感じるのもある
【内容抜粋メモ】
登場人物
ロザモンド・ヴィヴィアン 18歳
フィリップ・テンペスト 35歳
イッポリート ギリシア人の美少年
バプティスト テンペストの従僕
リュネヴィル伯爵 妻を亡くし、娘を溺愛している
伯爵令嬢ナタリー 17歳
イグナティウス神父
両親を亡くし、祖父の屋敷で暮らしているロザモンドは
愛のない生活に孤独を感じ、退屈しきってキレているところにテンペストが入ってくる
テンペストは1か月も滞在が延び、ロザモンドとすっかり親しくなる
てか、退屈で仕方なくて、いかにも連れ出して欲しくてたまらない様子
母は貧しい男と結婚したことで祖父の怒りを買い、莫大な財産は姉妹が相続した
叔母が亡くなれば、ロザモンドのものになるため、祖父はそれを待っている
嵐で崖の上のヒマラヤ杉が倒れる
あの木が倒れたら、ロザモンドも後を追うという迷信がある
*
テンペストはロザモンドをキルケー号に乗せてひと周りする
ギリシア人の美少年イッポリートとも仲良くなる
祖父は夜な夜なテンペストとカードの賭けをして負け
テンペストはロザモンドをゲットして海に連れ出し
ダイヤモンドの指輪を差し出してプロポーズする
*
結婚して1年が経つ
テンペストの別荘ヴァルローザでバラに囲まれて豪奢な生活を送るロザモンド
テンペストは自分が善い人間ではないことを明かし、それでも愛するかと問う
古い知人ウィロビーがやって来て、迷惑そうなテンペスト
リートを見て「生き写しだ」と驚く
パリではコレラが大流行
ウィロビーは心臓病を抱えているのを知った上で、テンペストは無茶な観光に引きずり回し
翌日、ウィロビーはコレラと心臓発作で亡くなり、ホテルはかき入れ時を逃さないために秘密にする
*
リートは見知らぬ人から手紙を受け取り、テンペストがそれを読んで激怒し
それ以来姿が見えなくなる
リートを探し出そうとするロザモンドを見張る従僕バプティスト
夜、森を探索すると少年の形をした墓を見つける リートは殺されたのか?
劇場では見知らぬ男女にジロジロ見られ、その夜、テンペストの妻が現れ
息子リートを渡してくれと頼むがテンペストは拒む
妻はロザモンドに同情し、テンペストは友人に牧師役をさせてだまして結婚したと明かす
夫を信じられなくなったロザモンドは衝動的に家を出る
*
以前知り合ったピュジャル母さんのもとで苦手な繕いの仕事をして9か月が経った
テンペストはどうしてるかなと考えていたら、部屋に来て、騙したことを詫びるテンペスト
リートを母のもとへ帰す条件を出すと、もう死んだと言う
1日考えさせてくれと時間を作り、ポーリーヌに助けを求めて部屋を抜け出すロザモンド
ポーリーヌは女優オノリーヌに衣装を持って行くと見せかけて
ロザモンドをカゴに入れていくアイデアを思いつく
金持ちで心優しいオノリーヌはロザモンドに同情してかくまう
聖アナンシアタ修道院に知人がいるからいつでも入れるが、女優になるようすすめる
リートが音楽師として来て、2人は再会を喜び合う
森にあった墓は愛犬のもので、母のもとに行くためにお金を稼いでいると話す
バプティストがオノリーヌの屋敷を見つけ、ロザモンドは修道院に行く決心をし
リートとともに少年の仮装をして屋敷を抜け出す
途中で見つけた女の死体のそばにある遺書の名前を自分のものにかえて
テンペストに自分が死んだと思わせる
修道院に着いて、リートと別れる
*
院長だけに事情を話し、ロザモンドは聖女として知られるようになる
それでもまだテンペストへの思いは断ち切れず神父に告解しようと思う
リュネヴィル伯爵の娘ナタリーが熱病に倒れ、みなが離れて行く中
ロザモンドだけが看病して命を救う
ドミニック神父はイグナティウス神父を部屋に閉じ込める
神父の身でロザモンドを愛しているのが理由だと言う
ロザモンドは告解室でまだテンペストを愛していると話すと
勝ち誇ったようにテンペストが現れる
ロザモンドが死んだと一時は騙されていたが、院長がテンペスト宛てに匿名の手紙を出して
またもやバプティストが見つけ出した
ドミニック神父を金で買収した
イグナティウス神父はロザモンドを守ろうとしたため閉じ込めた
妻と離婚が成立したら、正式にロザモンドにプロポーズするから許せと迫り
今後、どれだけ逃げても見つけ出すと豪語する(DV夫のやり方だよね/汗
ロザモンドはイグナティウス神父を頼り、伯爵の助けを乞う
*
体の弱いナタリーの世話をして3か月が経ち、すっかり仲良くなるロザモンド
ナタリーは父とロザモンドが結婚することを願っている
伯爵もイグナティウス神父から事情を聞いた上でロザモンドを愛しているとプロポーズする
式は内輪で済ませるとしても、噂は広まり、またテンペストが現れ
結婚したら、伯爵を殺すと脅す
伯爵の亡き妻は気がふれていて、とても苦しんだという噂を聞いて
ロザモンドは自分の妻で、狂っているのだと教えると
伯爵は娘を連れて国へ帰る
ロザモンドはピストルで胸を撃って、意識が戻ると精神病院に入院させられている
(自分の意志で出られないのが恐ろしい/汗
体が回復するまで正常な人間だと印象づけるよう努力するロザモンド
いつでも見張っているバプティストにどうしたら見逃してくれるかと問う
同情したバプティストは庭の鍵を渡し、ロザモンドは病院を脱出
オノリーヌが自分を見かけたと手紙をよこして、喜んで城に入ると、そこにいたのはテンペスト
*
バプティストはわざとロザモンドを逃がして、主人に教えた
テンペストはロザモンドが回復するまで身の回りを世話して奴隷のように振る舞う
庭の花をとろうとしたテンペストを押してイグナティウス神父が助けに来る
伯爵から手紙をもらい、乞食に扮装したりして追いかけ、今後はずっと守ると誓う
(どっちにせよ男に縛られて自由が奪われることには変わりないな
ロザモンドはテンペストが一番避けている妻のもとで働きたいと願う
イグナティウス神父は本名はバイヤール・コンデで二月革命で戦った公爵だと分かる
レオニーという女性と結婚したが失敗し、俗世間から離れた 妻は亡い
*
2人は父娘を演じて、偽名を使うが、船上の客は夫婦だろうと噂する
パリの警察署長ヴェトレイは逃亡犯バプティストを追っている
バプティストは海から落ちる時にヴェトレイの腕を刺す
バプティストは労働者に紛れてロザモンドを監視している
ロザモンドをおとりにしてバプティストは逮捕される
テンペストはひん死だと言ったがそれもウソ
バプティストは翌日処刑される
*
テンペスト夫人とリートはロザモンドを熱烈に歓迎する
テンペストとは19歳の時に結婚、旅から帰るとリートは死んだと言われた
夫の非情さを知って家を出たが、その後、子どもは生きているとウィロビーから聞いて
返してほしいと言いに行った
テンペストは離婚の最終手続きをしに弁護士とともに来る
リートが見つかったら、親権は妻に譲ると同意する
隠し部屋にいたリートの声を聞いて、疑い、ロザモンドが部屋から出て来て
弁護士にこれまでのことを話すと大いに同情し、味方すると約束する
*
荒地でテンペストはイグナティウス神父に銃での決闘を申し込むが
霊的な武器しか使わないと断る神父
ロザモンドを侮辱されて取っ組み合いのケンカになり
テンペストは初めて敗北する
神父は一生ロザモンドを愛するが、ずっと誠実な友でいると誓う
*
テンペストは離婚により過去がバレて世間から疎まれる
ロザモンドの祖父から手紙が来て、正式に結婚するよう書いてある
叔母が亡くなり、莫大な財産がロザモンドのものとなった
手紙を持って行くと、リートが元気にしていて驚く
ロザモンドは祖父を訪ねると決め、テンペストとよりを戻すつもりはないとキッパリ断る
神父は財布をなくして探している間にロザモンドを乗せた船が出てしまい、後を追う
それもすべてテンペストの策略で、元海賊に神父の船を沈めるよう命令する
祖父の屋敷に行くと、溺死したロザモンドがいる
神父:
私から彼女を奪うことはできん
あなたには入れない祝福された世界で、再会するのだから
テンペストは隠し持った短刀で胸を刺して
テンペスト:俺のものだ 最初も最後も たとえ墓の中でも!
(こういう執着心の強い人は、実際、霊魂になっても
頑なに現世の欲を捨てようとしないから厄介だな/汗
■テクストに関する覚書
本書の手書き原稿は自筆の修正が入っているが、書下ろしのままを訳したとある
■訳者の解説
作者自身が「血と雷(ブラッド&サンダー)スリラー」と呼ぶ作品群の1つ
病人の話し相手としてヨーロッパ旅行をした経験をもとに書いて
知人の雑誌編集者エリオットは「センセーショナルすぎる」と言って採用せず
1990年代になって、子孫が原稿を売り、校訂者ケントが買った
物語の舞台は19世紀後半のヨーロッパ
ニース、パリ、ドイツの温泉保養地などを旅する
130年前、女は男にすがって生きるのが当たり前だった
テンペストがロザモンドに執着したのは、他人の意のままにならない相手を
屈服させたいという目的に駆り立てらたため
エリオットがセンセーショナルすぎると言ったのは、この点であったかもしれない