毎日目を通す九想話さんのブログ記事に、「最近あまりマグロを食べたくなくなった」と書いてあった。日本人は一般的にマグロが好きだ。実は私も好きだったのだが、半年ほど前から食べる回数を少なくした。それにははっきりとした理由がある。
理由とは、今年になってから「マグロには、水銀が多く含まれている」と改めて知ったからだ。
水銀は体内に入ると蓄積する。その結果、歴史的に有名な公害事件も起きた。「水俣病」と「新潟水俣病」だ。どちらも工場が流し続けたメチル水銀を含む廃液が原因だった。
「水俣病」は、水俣湾周辺で捕獲された魚介類を長期に渡って食べていた多くの猫や住民に被害が出た。水質を汚染したのはチッソ株式会社だった。その事をやっと国が認めたのは1968年だったため、被害は多くの住民に広がった。
「新潟水俣病」も阿賀野川周辺に住む住民に、昭和電工が流した工場廃液に含まれていたメチル水銀が、プランクトンを汚染し、それを食べた小魚の体内に濃縮し、それらを知らずに食べて発症したことが分かったのだった。
その後も「四日市の大気汚染」など公害事件が多発し、諸外国からは「日本は公害列島だ」というレッテルを張られたりした。これらは1960年代に始まった経済の高度成長が背景にあった。
1967年になってやっと国は「公害対策基本法」を制定。公害の防止と対策に取りかかった。
この法律は1993年には「環境基本法」になり、大気汚染、水質汚染、食品公害などから国民が守られることになった。
それから約30年が経ち、私達の知識は広がったと思うが、自分事としての意識は逆に弱くなっているように思う。
研究によると、食品の中で特に含有率が高い順に並べると、金目鯛、クロマグロ、メバチマグロ、ミナミマグロ、メカジキ、土鯨、マッコウクジラの順になっているので、マグロは概して含有量の高い魚になる。
これは海水中のメチル水銀が、プランクトンに移行し、その後「食物連鎖」によって、小魚⇒中型魚⇒大型魚と取り込まれ、濃縮して行くからだ。また、深海に住む魚類は含有量が高いとも言われている。
今回私が調べて分かったのだが、2003年6月、厚労省は「微量のメチル水銀が胎児に影響を与える可能性がある」という注意を喚起していた。
妊婦は1日80gの接取なら週に2回までとしている。さらに北海道大学の研究によると黄鯛、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、黒ムツなどに多く含まれていると言うので、これらの常食には注意したい。
九想話さんのお陰で、1960年代以降の事を色々思い返したり、新たな研究や国からの注意を知る事ができて有り難かった。
私は既に後期高齢者だが、常々健康には注意をしている。ただでさえ高齢になると起こりやすい「手足のしびれ、言語障害、意識消失など」は、メチル水銀の中毒と同じだから、マグロなどの大型魚を頻繁に摂取する事にはできるだけ気を付けたいと思う。