知人とは息子さんと2人で近所に住む女性だ。10年ほど前から交流しているが、年齢はもうすぐ90才になる方だ。30年程前に夫君は亡くなり、息子さんは30代初めに脳梗塞を発症して障害者になったという。他に3人の息子さんがいる。
庭は我が家の1.5倍程の広さがあるが、最初に見せてもらった時、一部に花木を植えてある他は大半が雑草地になっていた。それを知ったので、「土地があるのに使わないのは勿体ないから、野菜を植えた方が良いのでは……」と話した。
ところが知人は自分では庭仕事をしたことが無く、夫君が生きていた頃は彼がしていたらしい。そこで言い出した私が手伝うことになった。持参したスコップで庭土を耕し、種や肥料も私が用意し、幾つかの春植え野菜を植えて上げたりしていた。
ところが私が伯母の面倒を見るようになってからは忙しく、余り行き来していなかったが、今年になって我が家で育てた「レタス」や「大根」を届けたり、「手作り布マスク」を差し上げたりと、再び前の様な交流が始まった。
半月ほど前に庭を見せてもらったら、「大根」の種をまるで「小松菜」の種を蒔くように蒔いたらしく、葉がひしめき合っているのを見つけた。これでは大根の太さに育たない。
それで「私が秋大根を植える時期が来たら、種はどうしても余るので、その種を半分分けして一緒に蒔きませんか?」と誘った。
今朝8時半の約束の時間に行ってみると、昨夕、息子さんに耕してもらって「石灰と堆肥、化成肥料は入れてある。」と言う。それで、私がホウで溝をつけ、「大根の種は、肥料や農薬に負けやすいから。」と説明してから、溝の片方に持参した農薬「ダイアジノン」を、もう片方に25cm間隔に種を3粒ずつ知人に蒔いてもらった。
土を掛けてから、種の上を足で踏んだら、「そんなことをして良いの?」と聞かれた。「この方が土の隙間が亡くなって、下から水分が上がって来ると言うから……」と答えたら、「知らなかった。」と驚いていた。また、「今まで種を無駄に蒔いていたことも分かった。」とも言っていた。
息子さんが用意した耕地が足りなくなったので、私が堅い空き地を1㎡程スコップで起こし、知人に石灰と堆肥を入れてもらった。見るといずれも少なめなのが分かったので、「もう少し撒いた方がいい。」と促した。
私が植筋をつけてから、彼女に農薬と肥料を片側に、もう一方に種を蒔いてもらった。種は25cm間隔でと言ったのだが、だんだん間隔が狭くなって最後は15cm程になってしまった。「25cmのつもりだったんだけど……」というので、笑ってしまった。まあ、そこそこに育った頃に間引きすれば良いと思い、そのままにした。
全部で「秋大根」28本、「聖護院大根」25本ほどの種を蒔く事ができた。今後は2回に渡って「間引き」し、「追肥」をしていくことを説明した。
ここまで40分かかったが、簡単な作業で、10月下旬には沢山の「大根」と「聖護院大根」を収穫することができるのを、とても喜んでくれた。息子さんや妹さんの家庭にも上げたいと言っていた。
見ると傍にひょろひょろとした「トマト」が3株植えてあった。「まだ一度も追肥をしていない。」と言うので、「この時期なら普通2回ほど追肥していますよ。」と言って、傍にあった化成肥料を根元に撒き、土を掛けた。
帰りに種代と「指導料だから。」と言って「経口補水液500mL」2本をもらった。
最後に来春の「ジャガイモ」の植え付け手伝いを約束した。「じゃがいも」は、品種が違うと味、性質、向く調理法、芽が出る時期などが違うので、ざっと説明して何の品種をどれだけ植えたいか、考えて置いてもらうことにした。
誰かの役に立てるのは、どんな時でも嬉しいものだ。天気予報では、今日は午後から雨が降るというので、丁度良かった。
※反省したこと→カメラを忘れたこと。来年90才になる知人が種まきをしている姿を写しておきたかったのだが。