4人部屋で、他の3人は伯母よりも若いが、「認知症」だという。
病棟には、ヘルパーと看護師、看護助手など何人もいて、伯母が枕元のベルを押すと直ぐに対応してくれるので、感謝している。
この間、伯母は心臓の脈拍数が高くて、ずっと胸に測定器を貼ってモニターで観察されている。
食事量が少なかったので、随分痩せて、骨と皮になってしまったが、1ヶ月前からミキサーに掛けた食事を普通量食べている。
また先日まで、排泄はベッド横の簡易トイレを使っていたが、尿の出方が悪くなったらしく、1週間前に直接膀胱に管を入れて排尿をする導尿方式に換わった。伯母に違和感が無いか聞くと、「楽で良い。」という。しかしその半面、自力で立つ回数が減るので足腰が弱るが、やむを得まい。
尚、自分の歯が左前歯など数本残っているが、その歯が口腔内の皮膚に当たって「口内炎」を起こし、痛がっている。近くに訪問診療をしてくれる歯科医がいるので、先日依頼して来た。
私は行く度に、今日の日にち、曜日、気候や気温、私の生活、社会のできごとなどを話すようにして来た。
今日、伯母に「何か心配な事は無い?」と聞くと、「物忘れしてしまうのが不安だ。」と答えた。
私は「伯母さんの大事な事は、私が覚えているから大丈夫だよ。」と答えた。
改めて自分の名前、生年月日、年齢、今日の日にちを聞いて見たが、ほとんど答えられた。大したものだ。
伯母には病室だから楽しみは少ないが、親から受け継いだ強い生命力が尽きるまで、不安なく生活して欲しいと思っている。
伯母が家で暮らしていた時は、食事の支度や入浴介助、伯母の娯楽の付き合いなどがあったが、今の私の仕事は、パジャマやバスタオルの洗濯と日々の見舞い・見守りしかないので、精神的にも肉体的にも軽減されている。これからも伯母に寄り添い、見守り続けたいと思っている。
話は変るが、昨日のNHKスペシャル『人生100年時代を生きる』で、今沢山運営されている「サービスつき高齢者住宅」から退去を迫られる高齢者の実態と問題点を伝えていた。
国から施設への「介護保険制度」からの支給額は、「要介護度」が高い高齢者ほど多く支払われるが、「要介護度」が低い高齢者には少ないお金しか支払われない仕組みになっている。
そのため事業者は、施設の経営を考えると、国からの支給額が少ない人達の入所を断らざるを得ないのだという。
「要介護1」の認定者でも、「認知症」で徘徊するなど、実際の介護の大変さは国が認定する「要介護度」とは異なることも多い。
TVでは「要介護度」が4~5の人は実際には寝たきりの人が多く、逆に手が掛からないという。その大変さの違いが支給額に反映されない事が問題なのだと施設側はいう。
このままでは、ますます認定が低い人達の施設受け入れが少なくなり、「介護難民」が増えていく事が考えられる。
明日は我が身、増え続ける要介護高齢者の落ち着き先をどう解決するべきなのだろうか。