伯母を見舞った時はいつも「今日の具合はいかが?どこか痛い所などない?」などと聞く。
先週行った時、「何か心配な事はない?」と言うと、「私の葬式はどうなるんだろうか。」と聞かれた。
突然の展開で私は一瞬たじろいだが、「そうだね。私も最近考えているんだけれど、まず参列者が何人位になりそうかな?」と言った。
「伯母さんの妹さんは足腰が悪いと言うから、無理かもね~。」
「伯父さんの兄弟は、たった一人残っているけれど、もう年で認知症気味だというし、本州から来るのは無理かもね~。」
「そうなると、私と妹と娘などの数人かな?だから、葬議場を借りても広過ぎて、逆に寂しいかもね。」と言った。
「伯母さんは、親から長生きの遺伝子を受け継いで誰よりも長く生きて来たから、残念ながら家族や姉妹の皆は先に亡くなってしまったんだよね。長生きは良い事だけど、寂しいこともあるね。」
「私の家で、伯母さんが使っていた部屋は居間と続いていて広くなるから、家でゆっくりと『家族葬』するのはどう?」と話すと、「いいね!」と賛成してくれた。
ついでに献花の事も聞いて見た。
「お葬式は普通は悲しい事だけど、伯母さんは素晴らしく長寿だから、それをお祝いしたい気持ちもあるよ。だから、祭壇の花は白菊ばかりではなくて、色とりどりの明るい花を沢山飾りたいね~。」と言うと、「いいね!」と言ってくれた。
そして「全部お任せするわ。」と言った。
「お経を上げてもらいたい?それとも、伯母さんが好きな音楽や歌のレコードをかける事もできるよ。」とも言ったが、それには返事が無かった。
最後に「伯母さんが思いついた事があったら、いつでも言ってね。」と言って終った。
翌日行った時に、「今は一番寒い時だけど、もう少ししたら花が咲く暖かい春が来るから、伯母さんには頑張って欲しいよ。」と言うと、「頑張るよ。」と答えてくれたので嬉しかった。
この事があってから、きっと伯母は自分でも、人生が徐々に終りに近づいて来ている事を悟り始めているんだろうなと思った。
また、私に「そろそろ葬儀の事を考えておいた方が良いよ。」と言いたかったのだと思う。
そして、改めて私は、最後まで伯母の人生に寄り添い、見守りたいと思ったやりとりだった。