花好き・旅好き80代北国女性の日記(ブログ開設18年目)

趣味はガーデニングと家庭菜園、外国旅行だが、新型コロナ禍と膝の不調、円安が重なり、今は外国行きは見合わせている。

TVで「ジェイミー・オリヴァーのスクールディナー」を見て

2022年10月05日 | TV・映画・音楽・美術

火曜夜9時からのBS12の番組を4週間前に偶然見つけて視聴し始めた。イギリスで学校給食の改革に挑んだ若いシェフのドキュメントだった。

昨日が4回目の放送だったのを、今VTRで見終わった。

この番組は、イギリスの小学校の学校給食が添加物で固めた脂肪が中心の高カロリーで、栄養バランスが取れていないフライドポテトやチキンナゲットの様な「ジャンクフード」ばかりなのに、子供達は毎日それを美味しいと言って食べている。そのことに疑問を持った2人の子供の父親でもある30歳前後の若いレストランシェフが、給食スタッフや校長、市の教育委員を巻き込みながら改革に挑んだ記録だった。

この番組を見て、日本の学校給食と大きく違うイギリスの学校給食のひどく貧しい内容にまず驚いた。

始めにジェイミーが改革に取り組んだ学校では、給食スタッフと共にまともな調理をしたパスタや野菜サラダを提供すると、子供達はほとんどその料理を受け付けずに捨ててしまうのだった。

調べると、家庭でも親はまともな調理をせずに、手軽な冷凍食品や調理済み食品を買って来て、それを子供達に食べさせていたのだ。だから子供達の味覚が、化学調味料と食品添加物で固められた「ジャンクフード」を好むようになっていたのだ。

ジェイミーが最初に改革を手がけた小学校では、当初、冷凍の「ジャンクフード」をオーブンで溶かし、温めたり、焼いたりするだけの手間がかからない献立だったのを、野菜を刻み、茹でたり炒めたりする調理が必要な献立に変えた。

しかしそのことによって、新たなレシピは、調理が面倒だし、時間がかかると調理スタッフから大反対を受けた。

しかし、先ず中年女性責任者がジェイミーが考える改革を徐々に理解してくれるようになり、やがて何とかスタッフ全員の協力を得ることに成功した。

一方で、子供達に食品の教育を進め、少しずつ食べられる子供を増やしていった。

やがて調理スタッフの献身的な努力の結果、残飯量が減って行き、午後の授業に集中する子供が増え、体調を崩す子供も少なくなっていった。親たちからも、家庭では今までよりも子供が落ち着くようになり、兄弟間のけんかも少なくなったという報告が寄せられるようになって行き、学校長の協力を得ることにも成功する。

そしてこの結果を市の教育委員会に報告し、給食改革を進めていく事の協力も得た。

改革を市内の他の多数の小学校にも普及しようと、手始めに給食スタッフを集めて3日間の調理実習の合宿を行い、「ジャンクフード」よりも手間はかかるが、ジェイミーのレシピの方が子供の健康に良いと納得させた。

休み明けに多くの学校で、給食スタッフが調理した料理を子供達に提供していった。しかし、食材購入が予算面でオーバーしたり、スタッフの時間外労働が増えたりする問題点が明らかになった。

それらをジェイミーは行政の担当者と粘り強く交渉して、解決して行ったのだ。

 

一般的に「イギリスの料理は、美味しくない」と言うのが、長い間の世界の定評だ。緯度が高く夏が短い。最高気温は20度程度と低く、年間降水量も少ない。従ってヨーロッパの多くの国々より気候は厳しく、野菜類の栽培は難しい。

調べたところ、石灰岩の大地が多く表土が薄いから、古くから牧畜業が盛んで、羊、牛、豚の順で多く飼育され、大麦・小麦、ビートの栽培はできても、野菜栽培は2006年で国内消費量の60%だという(日本は80%)。だから一般の中間層や低所得層の家庭では、主食はジャガイモとパン、副食は肉類で、多くを輸入に頼る果物や野菜は比較的高価なため、ほとんど食卓に上らないようになる。その結果イギリス人は、毎日ビタミン剤を服用しているとも言われる。

現在、イギリス政府の1人当たり野菜摂取量の推奨値は、1日80gだそうだ。(日本では350g)

しかし、島国という点で日本と似た条件のイギリスは、1965年当時のカロリーベースの食糧自給率が45%だったが、それ以降、自給率を高める政策を取り、2010年には69%と上昇している。

反面で日本の食糧自給率は年々減少し、2010年では39%と驚くほど低下した。特に今年はロシアのウクライナへの武力侵攻もあって、日本の食料自給率の低さは直ぐに輸入食品の枯渇と価格上昇を招き、大問題となっている。

またイギリスでは働く女性も多いので、家庭では手抜きができる冷凍食品や調理済みの「ジャンクフード」を利用する事が多いようだ。だから子供達は、小さい頃よりまともな食材で調理された料理を食べて来なかったのだ。

イギリスに比べ日本の学校給食では、予算面は厳しいらしいし、カロリー重視の弊害もあるようだが、一応、栄養士が作る一月の献立にそって、子供の健康と成長を考えた栄養的で美味しい献立が提供されていると思った。人間の身体は、その人が食べるものでできているので、成長が著しい子供達の食生活の大切さは言うまでも無く、この事は日本全体で理解されていると思って良いだろう。

このドキュメントを見て、イギリスだけでなく、発展途上国も含めた世界中の子供達の食生活が、21世紀の今、改善されることが必要だと強く思ったし、学校給食はそのモデルになって欲しいと強く思った。

 

 

 

 

 

 

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