数年前に96歳で亡くなった祖父は、家族に対する「気配りや思いやり」を大切にする素晴らしい人格者だった。
そのスタンスを死ぬ間際まで貫き通し、家族全員に惜しまれながら亡くなった。
その祖父との最初の出逢いは二人が未だ結婚する前のことだった。
付き合い始めてから何回目かの訪問をした時、当時まだ若かった祖父から「ウチの孫は農家の跡取り娘なので、農業をしない人間とは付き合えないので、直ぐに別れるように」と突然きつい調子で言い渡された。
話しの中身はかなり厳しいものだったが、20歳前だったオジサンには殆んどインパクトが無かった。
それはオジサンがその程度の「分かれろ、切れろ」発言で右往左往するタイプで無かったこともあるが、それ以上に祖父の人柄がその種の発言には全く不向きだったことが大きく影響しているように思えた。
本来は人の恋路を邪魔する人間は恨みや憎しみの対象になるのが普通なのだが、逆に愛すべき人柄の一端を垣間見たような気がしたから不思議だった。
その後、双方の家族の十分な賛同を得られないまま「止む無し」という形で二人は結婚した。
結婚後は、祖父が心配したとおりの展開になったが、祖父はその事について二度と口にすることは無かった。
それどころか逆に良き理解者となってくれることの方がが多かった。
でも、内心では「この婿は何を言ったって聞く耳を持たない」と諦めていたものと思われる。
時は移ろい、農業との縁は完全に切ったと思われた二人が流浪の旅に終止符を打ち、今では集落一熱心な百姓になっている。
その姿を天国から見た祖父は、「亭主を手なづけた孫娘を誉めてやらねば」などと調子のいいことを言って相好を崩しているかもしれない。
そのスタンスを死ぬ間際まで貫き通し、家族全員に惜しまれながら亡くなった。
その祖父との最初の出逢いは二人が未だ結婚する前のことだった。
付き合い始めてから何回目かの訪問をした時、当時まだ若かった祖父から「ウチの孫は農家の跡取り娘なので、農業をしない人間とは付き合えないので、直ぐに別れるように」と突然きつい調子で言い渡された。
話しの中身はかなり厳しいものだったが、20歳前だったオジサンには殆んどインパクトが無かった。
それはオジサンがその程度の「分かれろ、切れろ」発言で右往左往するタイプで無かったこともあるが、それ以上に祖父の人柄がその種の発言には全く不向きだったことが大きく影響しているように思えた。
本来は人の恋路を邪魔する人間は恨みや憎しみの対象になるのが普通なのだが、逆に愛すべき人柄の一端を垣間見たような気がしたから不思議だった。
その後、双方の家族の十分な賛同を得られないまま「止む無し」という形で二人は結婚した。
結婚後は、祖父が心配したとおりの展開になったが、祖父はその事について二度と口にすることは無かった。
それどころか逆に良き理解者となってくれることの方がが多かった。
でも、内心では「この婿は何を言ったって聞く耳を持たない」と諦めていたものと思われる。
時は移ろい、農業との縁は完全に切ったと思われた二人が流浪の旅に終止符を打ち、今では集落一熱心な百姓になっている。
その姿を天国から見た祖父は、「亭主を手なづけた孫娘を誉めてやらねば」などと調子のいいことを言って相好を崩しているかもしれない。