霜後桃源記  

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毎日新聞「余録」2016.2.25

2016-02-29 21:07:38 | 社会
トランプのジョーカーはどんなカードの代用もできるワイルドカードとして使われることが多い。
たいそう便利な万能カードというわけだが、政治や行政の世界でも新しい制度が適用される際に
こっそりとジョーカーを用意することがある。

こちらのジョーカーは制度をうまく機能させる切り札として華々しく切られるのではない。逆に
その制度を骨抜きにし、無意味にするためにひそかに忍び込ませる規定のことだ。英語の辞書で
ジョーカーを引けば、明文を無効化する目くらまし条項という語訳がある。



さて、国の官僚が国会議員と接触した時にその記録を作成するよう定めた国家公務員制度改革基
本法という法律がある。その解釈につき基本法を所管する内閣人事局は「不当な要求があった時
のみ記録する」との立場をとった。このカードの効果、絶大だったようだ。

小紙が8年前の法施行後に国の全11省で作成された記録の情報公開請求をしたところ、何と一通
も記録がないことが分かった。先の法解釈に各省がならって、「不当な要求がなかったため」とい
うことらしい。いやはや、みごとなジョーカーの効果というべきであろう。

記録作成についての現内閣の申し合わせは、政策決定過程を残すべきだとする公文書管理法などを
踏まえて対処するというものだった。なのに口利き疑惑の渦中の甘利明前経済再生担当相の秘書が
国土交通省や環境省の幹部と接触していた記録すら作られていない。

政官の奥の院を透視できるワイルドカードだと思って8年間も抱えた手札がこんなありさまである。
ゲームのルールをちゃんと決め直す時ではないか。
コメント
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