霜後桃源記  

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昔の恋人達 その二十二 直前のハプニング

2020-02-22 19:31:02 | 仲間

決戦の当日は、予報通りの大雪となった。

会場は、宮城県内で長年無敗を誇る落合の地元、黒川高校の体育館だった。
開会式での地元選出県議の挨拶も、「落合が勝つこと」が前提となっていた。

出場したチームは予選を勝ち抜いて来た8チームだったが、事実上の決勝戦となる「西多賀VS落合」が
一回戦の第二試合で激突することになった。

開会式前のウォーミングアップやパス練習をする中で、エースでキャプテンのKの様子がおかしかった。
「打たれ強い反面、緊張するタイプ」で、前年6月の全国大会予選の落合戦では、過度の緊張で持てる力
を殆ど発揮出来ていなかった。

このままでは「昨年の二の舞になる」と危機感を持った指導陣が集まって対応策を協議した。
勝負師の中澤さんが「ショック療法しかない。監督が気合いを入れるべし」と主張し、A先生(5年生の時の
監督)やS先生(Kの担任)も同調した。

それまで、練習中に言葉の暴力やボールをぶつけることはあっても、手を挙げることは無かったが、軽く
「平手打ち」を見舞うことになった。

突然の平手打ちに驚いたKは、半ベソをかきながら体育館の外に出て行き、仲良しのRがその後を追った。
自慢の娘の応援に駆け付けていたKの両親は、「大事な試合の直前に、監督は何をやっているんだ」と恨ん
だに違いなかった。

10分後、Kは「Rと雪の中の校庭を二周走って来た」と何事も無かったかのようにスッキリした顔で戻って
来た。
後日、その時の心境を問い質したら「もう、どうでもいいや」と開き直ったとのことだった。



※ほぼ完ぺきな二枚ブロック。この域に達するまでには子供達の並々ならぬ努力の積み重ねがあった。
コメント
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