100ページほど読んだ。
面白いか、と聞かれれば退屈だと応える。文学としてはと聞かれれば
門外漢だがと断った上で「質の高くない作品だ」と答える。
—しかしゴングール賞作品ですよ、と反論されれば、「ヘー」と驚く。
—推理小説仕立てだそうですね、と言われれば、明白にそのフレームを使っているね、と答える。
そうね、最初の1、2ページはハードボイルド風タッチを装っているが後が続かない。
この翻訳者の後書きにもあるが、引用「わずかのスペースのうちににも場面の雰囲気や人物の風貌を如実に浮かび上がらせる、一種独特の官能性をおびた文体である」引用終わり
他の関係者にも同様の説を述べるものがいるが、首をひねらざるを得ない。ほとんど同じ文言を使っているところをみるとゴングール賞を受賞したときの授賞者の評言をコピーしているのかも知れない。
前回紹介した「家族手帳」には興味を持った。それは作品として完成しているというわけではなく、将来の才能開花を予感させたということだが、この作品の延長線上にある「暗いブティック通り」では才能の開花は認められない。