穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

燃え尽きた地図は探偵小説である??

2022-10-16 06:42:18 | 書評

 該書にはドナルド・キーン氏の解説がついている。引用する。
「本書は厳密な意味では、探偵小説であるが、、」新潮文庫309ページ
これって誤植じゃないの。もっとも新潮社は昭和五十四年以来訂正していないから誤植じゃないんだろうな。誤植じゃなくて単純な誤りなんだろう。言うならば『探偵小説のスタイルを装った、あるいは借用した小説』と言うべきだろう。
ま、趣向には違いない。それで思い出すのはポール・オースターの『ニューヨーク三部作』である。これも同様の趣向だが、探偵小説的起承転結にはなっていない。『起承』にはなっている。

 オースターについては安部公房に影響されたのではないかというひとがいる。オースター自身も認めたらしい、ただし確認は取れず。そこで二人のアクメを調べた。安部公房1924生まれ、オースター1947年生まれ。安部は早くから欧米に翻訳され、フランスの文学賞を受賞しているし、オースターがフランス修業時代に読んでいた可能性はある。



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