カラスの鍵を読み終わった。
小説のタイトルが「ガラスの鍵」となっているのがわからない。最後に犯人とわかる上院議員の娘が最初は素人探偵役のギャンブラーに敵対していたが、最後は協力者になって賭博師と駆け落ちする女が見た夢からきている。
森の中の一軒家か何かをガラスの鍵で開けたら鍵がくだけてしまった。そして空いたドアからたくさんの蛇が出てきたという夢を相手に話すところからきているが、わからないのはそれが何を意味しているのか、どうしてこの小説のタイトルにしているのか、ということである。
なにやら当時アメリカを席捲していた精神分析の話のようでもある。しかし、全然しっくりしない。
そういえば思い出したが、「マルタの鷹」にも全然関係のない逸話が紛れ込んでいた。建築現場で上から物が落ちてきたが、偶然助かった人物が悟ったという話で、日本の評論家は大変高尚な話としてトクトクと書いているが、筋との関係がわからない。それ以上に、このガラスの鍵の夢はチンプンカンプンである。
こういうわけのわからない、前後の話との関係がわからない部分はチャンドラーの作品にはない。
みんなこの作品をほめる評論家はわかっているのかね。