カントの「判断力批判」をスピノザのエチカのような箇条書きスタイル(幾何学の証明を展開するような)で書き直してみたらどうだろう。あるいはウィットゲンシュタインの論理哲学論考のようなスタイルに。命題と論証、分析、説明の組み合わせに。
そうすると、おそらく分量は劇的に減少するであろう。判断力批判は繰り返しが多い。また、その繰り返しの相互で齟齬があるような気がしてならない。それがあの悪文スタイルだと、うんざりして整理比較する気にならない。
音楽ではない。主題と変奏ではない。一度いったことは繰り返さなくても良い。繰り返し、あるいはマイナーな変奏が必要な場合はその理由を明示すべきである。
また、長大な記述の割に、抜け、飛び(論理的ギャップ)がかなりあるように感じる。こういうことも叙述のスタイルを整理し、整えることによって明らかになるのではないか。
日本にも判断力批判を研究する奇特な学者が少数いるようである、町の本屋を瞥見すると。だれかシニアな学会の大御所が若手の研究者にそういう指導をする人がいないのかな。