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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



2005東京国際女子マラソン(テレビ朝日)

35km過ぎ、テレビ中継の画面が4、5位の様子を映していたときに、高橋尚子が急激なスパートを仕掛けていた。映像が先頭集団に戻った時には、すでに高橋と後続の2人の間は遠く離れていた。

高橋には珍しく序盤を抑えた走りだった。公表していた右足のふくらはぎのケガの影響だったのか。それとも記録が必要のないレースで、確実に勝つための作戦だったのか。

しかし、結局、高橋はスパートをかけ、独走状態となった。2年前に失速し、アテネへの権利を失った場で。後ろを振り返りながら疾走する高橋。、追いかけてくる選手からではなく、過去の悪夢から逃れるように。まるで短距離を駆けるかのように、腕を振り、顔をゆがませながら走り続けた。不覚にも、その姿に涙している自分に気づく。

国立競技場に入り、サングラスを捨て、最終コーナーでは、右手を高々と掲げての復活の勝利宣言をしてからのゴール。

悪夢を振り払ったうえ、この大会の歴代3位の記録もついてきた。高橋尚子の完全復活、そして「チームQ」の完璧な勝利だった。半年前に、小出監督とのコンビから、ランナー高橋を中心とするチームへと戦う体制を変えていた。レース後のインタビューでは、「チーム一丸となって、次の大きな目標に向かう」と宣言した。

高橋尚子の歓喜のゴールによって、2007年大阪世界陸上、2008年北京オリンピックの日本女子マラソン代表への熾烈な争いが早くもスタートした。日本陸連の、うれしくも悩ましい日々のはじまりである。



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