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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



<ロシアW杯雑感+ 2018/6/30-2>
ファンサイトの起源は、スタジアムに入れない貧しいサッカーファンのために、広場に大型スクリーンを設置して試合を中継した1986年のメキシコ大会だったと記憶している。その後、2006年ドイツ大会から大規模化し、FIFAスポンサーの参加もあり、今や大会に欠かせないイベントとなっている。

ロシアに来て約1週間。訪れた3都市のファンフェストに行ってみた。
モスクワのファンフェストは、モスクワ大学の構内に設けられていた。正面に大型スクリーンとステージが、その他に広場を囲むように10基以上の大型スクリーンが設置されていて、観客は思い思いの場所で試合中継やステージイベントを楽しむことができる。正面の背景にはモスクワ大学の大きな校舎がそびえていて、その存在を強く印象づけていた。最寄りの地下鉄駅から遠い(徒歩15分ぐらい)のが難点だが、「借景」という、もともとある風景を取り込んだつくりは見事だ。


エカテリンブルクのファンフェストは、市の中央からはずれた遊園地の敷地内に併設されていた。FAN IDを持っていると無料のバスでファンフェスト前に着くと、まずはファンフェストの大きな横断幕を掲げた遊園地の入り口があり、そこを抜けてファンフェスト会場に行く(ファンフェスト会場の正門は別にある)。遊園地の中には、地元のお土産屋などのテントがならび、さながら縁日のようで、地元の家族連れなどでにぎわっていた。ファンフェスト内にはFIFAのスポンサーしか出展(出店)できないので、地元コーナーを隣接させるのはよく見かけるが、遊園地と合体させたのは面白い。ファンフェストで試合を見ていると、遊園地を周回する汽車の汽笛が聞こえてきて、なんとものどかだった。


ヴォルゴグラードの会場はヴォルガ川沿いの公園だった。一部公道を閉鎖したうえ、もともとの公園の階段や芝生を観客席とする効率的なつくりになっていた。日本戦が終わった後の夕暮れに行ったが、背景のヴォルガ川が涼しげで、市民の憩いの場となっていた。


モスクワ、エカテリンブルグ、ヴォルゴグラードの3つのファンフェスタは、いずれも、それぞれの街なりの考え方をもとに、特徴を活かすように工夫をここらし、FIFAのマーケティングとうまく折り合いをつけていることに感心した。この後、訪れる都市でも、ファンフェストがどうつくられているか、見ておきたい。


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<ロシアW杯雑感+ 2018/6/30>
日本がグループ2位でR16戦に進出した。後半30分に長谷部を交代出場させ、0対1のまま終わらせる方針が明確になった。後半35分過ぎ、あからさまな時間稼ぎのパス回しを始めると、スタンドから非難の口笛と大ブーイングがおこり、観客が帰り出した。この光景ので、ぼくは、ひとり、ほくそ笑んでいた。昔、W杯のテレビ中継で見たあきらかな談合引き分け試合での、解説・岡野俊一郎さんの「こういうのもW杯らしい試合なんです」という言葉を思い出していた。W杯出場6度目にして、ひたすらに勝とうとするだけでなく、グループ勝ち抜けのために、非難を覚悟の上であらゆる手を尽くす。日本も、昔テレビで見たステージまで来たんだと思い、ちょっとうれしかったのだ。



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