1-0で勝利!
信じる思いが力となり、クラブ史上初の快挙を達成。これまでのクラブ最多記録であった5連勝を更新、見事に6連勝を成し遂げたのでした。
試合開始直後から自分たちのペースを掴むと、果敢にゴールを狙うアグレッシブさが奏功して先制。
その後、雷雨の影響で80分もの中断を余儀なくされたものの、再開されたあとも集中力が欠けることはなく。
再開後は長野の攻勢に耐え凌ぐ時間が続きましたが、最後の最後まで、ついにゴールを割らせませんでした。
今節もまた、虎の子の1点を最後まで守りきり、例によってウノゼロ勝利。
クラブ新記録の6連勝、さらに5戦連続無失点勝利と開幕からの連続得点をさらに更新と、まさに記録づくめの勝利を飾り、カターレの歴史に新たな1ページを刻んだのでした。
前節の劇的勝利の記憶も新しいなかで迎えた、連続ホームゲームとして開催された今節。
まだ6月だというのに、日中は夏本番を思わせるような30℃越えの暑さ。けれど、それに怯んでいる場合ではありませんでした。6連勝という新記録達成という目標の前では。
前節・沼津戦と変わらないスタメンで臨むこととなったカターレ。
チームが上手くいっている状態では、やみくもにメンバー編成をいじるようなことはするな、というのが鉄則ではあるものの。
それはつまり、相手にも好調・富山を研究し、対策を立てる猶予を与えるということにもなりますが。
たとえ相手が対策を練ってきたとしても。
それを乗り越えた先にしか、勝利は、連勝はありません。
同じであるからこそ、勝ちきる強さを示すこと。
必達目標をやり遂げる、覚悟が必要でした。
西日が差し込みピッチに長い影をおとすなかで、18時すぎにキックオフ。
試合終了間際のラストプレーにまでもつれさせてしまった沼津戦のこともあったからでしょうか。試合開始からアグレッシブなプレーで攻め入るカターレ選手たち。
その沼津戦で0本だったCKを、まずは1本など。攻めの姿勢を体現しながらの試合の入りとなりました。
沼津戦の苦戦の要因のひとつとして、対策をされていたシルバがうまく機能しきれなかった、ということもあったかと。それ故に、後半開始から末木に交代、結果的にその末木が決勝点のアシストをすることにもつながったのですが。
今節は、前線からのプレスを持ち味とするカターレのスタイルが機能しているように見受けられ。
今節も、やはりシルバからでした。
13分、中央で相手を引きつけながら右から上がっていった吉平にパスをつなげると。
その吉平が、ペナルティーエリア外という距離もいとわずに果敢にシュート!
相手ディフェンスに当たってコースが変わり、GKの軌道予測が逸れるかたちで、ボールはポストとの狭い間を抜けてゴールに吸い込まれ。
期待をかけていた吉平による先制ゴールが決まり、前半の早い段階から連続試合得点を更新、6連勝への道筋をつけることに成功したのでした。
これまで積み上げてきたところの自信がもたらした得点、と言うことも出来たかと。
積極的に狙っていったからこそ決められたゴールであって。ラッキー要素もあったにせよ、それすらも、まずためらいなくシュートしたからこそ。半端なシュートでは決まっていなかったであろう勢いとコースであったことを思えば。
このところの連勝が自信につながっていたからこその先制点であったことは、間違いなかったかと。
先制からそのままの勢いで一気呵成に、といきたかったところでしたが。
上空には、暗くどんよりとした雲が。そして、雷鳴。
主審の判断により、前半20分経過というタイミングで試合を中断。選手たちはロッカーへと引き上げ、観客はスタンド下のコンコースへと退避することに。
前日の金曜日も、同じくらいの時間帯に豪雨となりましたが。
降りだしてから間を置かず、すごい勢いで土砂降りに。中断の判断が妥当であったことを示すことにもなりました。
一昨年の8月、試合開始直前になって雷雨の影響で避難、開催の目途が立たず、結局後日あらためて延期開催となった八戸戦のことを思い出したファン・サポーターも多かったことでしょう。
そのときとは違い、既に試合が始まっている状態で。
最悪、このまま試合中止となって、のこりを後日開催で、というパターンも有り得たところでしたが。
それでも、だんだんと雨の勢いはやわらぎ。19時に状況判断をするというアナウンスが。
結局のところ、約1時間20分の中断を経て、19時40分より再開が決まり。
思わぬかたちで、文字通り試合に水を差された格好ですが、それでも。
勝利の要件を満たしている以上、勝ちきるよりほかありませんでした。
昨シーズンなど、前半後半それぞれの真ん中あたりで飲水タイムがとられ、そこから試合の流れが変わるということもありましたが。
図らずも前半の半ばでの中断となった、この試合。
長野としては、あまり良いとは言えない試合の入り、そこから失点までしてしまった。
けれども、ここでひとつ落ち着く時間が出来て、そこから巻き返すぞ!という流れにもなったかと。
Jリーグの監督のなかでも、その情熱というか意気込みというかをガッツリと出してくるタイプであるシュタルフ監督。その修正力への警戒は、怠ってはなりませんでした。
予想通りというか、再開後は長野がボールをコントロールする時間が増えて。カターレの側が集中力をもって対処、という場面が増えました。
もちろん、追加点を挙げて突き放し、試合の趨勢を決してしまうのが理想であったものの。
なかなか、そういった一方的な展開にまでは持ち込めない。
それよりは、いかにフィニッシュの部分で隙を見せないかが問われ。防戦に割く時間が増える展開が続きました。
1-0のスコアのままに試合を折り返し、後半に入ると、守勢に回る傾向はさらに顕著になったような。
相手の攻勢に対して後手後手という苦しさというよりは、ある程度ボールを回させることでコントロールする、という傾向でしたが。
そうは言うものの。
こちら側から隙を見せてしまうようなことがあれば、そこは個々に高い実力を備えている選手の多い長野。見逃してはくれないでしょう。
FKの場面でキッカーを務めていたベテラン・宮坂 政樹にあっては、この試合がJ通算300試合出場の節目であったとか。
かつて山形に所属していたときに薫陶を受けた、イシさんこと石﨑監督が率いる富山との対戦。そして、その山形時代にチームメイトであった川西が、相手選手としてたちはだかる、と。
そういった気合の入っている選手にやられるようなことがあれば、一気に試合の流れを持っていかれてしまうことも懸念されただけに。
集中力を切らすわけにはいきませんでした。
それでも。
追加点を挙げて突き放す展開にまでは至らなかったものの、攻め込まれ続けて疲弊とまではいかず。
印象的であったのが、カターレの左サイドでした。
長野の選手の中でも特に警戒していたひとりである、船橋 勇真。
サイドチェンジを繰り返しながら、その彼にボールを預けて戦局の打開を図る意図が見てとれた長野でしたが。
それを、しっかりとケアしていたのが左サイドの安藤と姫野でした。
昨シーズン、その船橋にやられてしまうかたちで敗れてしまったYS横浜戦のことを、忘れてなどいません。
共に新クラブに移籍したシュタルフ監督と船橋、その信頼性。それに対し、石﨑監督を慕って富山にやって来た安藤と姫野がしっかりとマークして対処するという。
ある意味、指揮官同士の代理戦争とでも言わんばかりの、なかなかにエモいマッチアップでしたが。
もちろん、こちらがいい加減なプレーをして隙を見せては、それを見逃すことなく突くだけの能力があった船橋。だからこその徹底した対処で、それを与えなかった安藤と姫野。見ごたえがありました。
刻々と時間が経過しつつも、スコアは動かず。
水捌けの良いピッチ状態で、雨の影響が出ることはなかったけれど、それでも。
遠目からのシュートをブロックしよとしたらハンド判定、そこからPKで失点してしまった鳥取戦のこともあります。油断は、決して出来ませんでした。
攻勢が続く長野に対し、集中力を切らすことなくしのぎ続けるカターレという構図が続き。
ここ4試合連続でウノゼロ勝ちが続きましたが、今節もまた、1点を守り切ることが勝利への道、という傾向が続くことに。
そんななかで、試合終了間際には相手のGKまでもが攻撃参加---そんな場面も、何度も見てきましたが。
けれど、譲らず。
サボっている選手など、誰も居ませんでした。
高い集中力が途切れることは、最後の最後まで無く。
そして、試合終了のホイッスル。
見事に勝利し、クラブ新記録の6連勝を達成。最後までゴールを許すことなく、5試合連続のウノゼロ勝利としたのでした。
勝負のアヤというものは、有った試合だったと思います。
この試合の最大のトピックが、予期せぬ80分もの中断であったことは確かでしょう。
もしもそれが無かったとしたら、あるいは同じ結果にならなかったかもしれません。
あるいは、季節外れの暑さの影響が試合中にも残り続けるようなことがあったとしたら。それもまた、同じにはならなかったことかと。
実際、シュタルフ監督のプランとしても、自分たちのペースで富山にゆさぶりをかけ続け、後半の終盤に相手の運動量が落ちてきたような時間帯を見計らって一気に勝負を決める、というものであったとのこと。
しかし、そうはならなかった。
20分で中断され、その後は、ある意味70分の試合であったこと。
土砂降りの雨を挟んで気温が下がり、暑さの影響がほとんどなかったこと。
それらだけでも、だいぶ思惑通りにならない大きな要素であったかと。
さらにもうひとつ、カターレの勝因を挙げるならば。
経験の差という要素もあるかもしれません。
長野県大会で敗れ、天皇杯出場を松本に譲ってしまった長野。
天皇杯に出場し、試合最終盤にこらえきれずに逆転負けをくらい、神戸に痛恨の敗戦を喫したカターレ。その敗戦を教訓とし、ウノゼロ勝利を重ねてきた。
試合最終盤にプレーが雑になってしまうことがあったなら、あるいは長野の思うツボであったかもしれませんが。
そうならなかったのも、これまでの経験が活きたが故。そうではないかと考えます。
まぁ、それはそれで、別の勝負のアヤというものはあるのですが。
もしも神戸に勝利していたら、22日に天皇杯3回戦を戦って、その流れでこちらだけ中2日というハンデを背負って戦うこととなっていた。
そして、その3回戦で山口と対戦していたならば、山口からの期限付き移籍であるGKの山田は出場不可。齋藤が代わって出場というところだったでしょうが、そこからチーム連携の微妙なズレにつながってしまい・・・ということも、有り得たかもしれません。
まぁ、「もしも」という話をいくらしても、詮方ないことではあるのですが。
それでも。
いかなる要因があったとしても、それはそれ。
確かなのは、カターレが勝利したという事実。
これまで成し得なかった6連勝というクラブ新記録を樹立したという事実。
それが、揺らぐことはありません。
他会場では、首位の鹿児島が愛媛に0-1で敗戦。カターレ同様に開幕からずっと続いていた連続得点試合がストップしました。
そして2位いわきと3位松本との上位対決は松本が制し、勝ち点3を積み上げることに。
その結果、順位表こそ前節と変わらないものの、勝ち点29の首位・鹿児島に勝ち点28のいわき・松本・富山が並んで1差で迫るという、大混戦に。
もちろん、まだ折り返してすらいないなかでは、あれこれ言っても時期尚早というものではありましょうが。
けれども。
開幕で大きく躓き、駄目なのかというムードも漂っていたカターレ。それが、信じられない勢いで猛追、昇格戦線に割って入るまでになったこと。
実力で、優勝を狙うチームとしての格をつけた事実。
油断大敵、気を緩めるわけにはいかないけれど、それでも。
積み上げた実績は、嘘をつきません。
クラブ新記録を成し遂げたカターレ。その記録を、さらなる高みへと至らしめるために。
まずは、次節の福島戦。
油断なく、勝ちにいく。
戦いは続きます。