1-1でドロー。
無得点4失点という大敗を喫した前節の嫌なイメージを払拭するためにも、そしてホームの期待に応えるためにも、是が非でも勝利が欲しかった今節ですが。
前節にしても今節にしても、試合の入りは悪くなかったのですが。
けれども。先制点を奪えなかった反省を活かせず、ゴールならず。チャンスを作ってもそれを得点にまで結び付けられないままにいたところ、相手も盛り返すことに。
そんななか、不用意なファウルからセットプレーのチャンスを与えてしまい、そこから失点。
「またか」という重苦しい雰囲気の中、無得点のままに連敗を喫してしまうのでは?という最悪の事態も頭をよぎるなかで。
勝負の後半、交代出場の選手たちが奮闘。そのなかで、昨季も今治戦で得点を決めたユウスケが同点ゴール!試合を振り出しに戻すことに成功。
ただ、一気呵成に逆転まで持ち込まねばならなかったところ、それを果たせず。
勝たねばならない試合をまたも落とし、これで3戦連続勝ちなし。
最悪の結果でこそなかったものの、課題克服がなされないままに勝てなかった事実は、重いです。優勝を狙うチームにあっては、言わずもがなで。
試合時間は曇りで雨は降っていなかったものの、午前中に雨であったことの影響もあってか、どうにも動員数が伸びなかった今節。
シーズン初のナイトゲーム、そして夏限定ユニフォームの最初の対象試合であり、お披露目の場でもあったのですが・・・。
雨中の試合とならなかったのは良いとして、それでも蒸し暑さには対応しつつ臨まねばなりませんでした。
いつもと違う、紺色のユニフォームに身を包んだ選手たち。
大敗して連続得点試合も途切れてしまった前節でしたが、ホーム不敗、そしてホームでの連続得点までが途絶えたわけではない。
当然のように継続し、勝利に結びつけねばなりませんでした。
あるいは、ホームの利というものもあったのかもしれませんが。試合序盤は、しっかりとボールを繋ぎ、試合の主導権を握っていたカターレ。
しかし。
前節にしてもそうでしたが、今節もまた。
だんだんとペースを掴んできた相手に対し、徐々に後手に回ってしまう展開が続き。
なんとか良くない流れながらもこらえていたものの、36分。
不用意に与えてしまったファウルからのセットプレーで。DF原田 亘に頭で押し込まれ、先制点を奪われてしまうことに。
明らかに流れが悪かったなかで、自滅というか、自業自得とでも言うかという・・・なんとも嫌なかたちでの失点。
どうしても勝ちたいホームゲームにあって、暗雲がたちこめることとなってしまったのでした。
相手がこちらの攻めに対応して守備を固めてきた、ということはあったかもしれません。
けれども。
だからといって、攻めあぐねても仕方ない、なんてことにはならないわけで。
基本に立ち返って、自分たちのルールにのっとるかたちでしっかりとプレーするーーーそういった姿勢そのものは、否定されるものではないにせよ。
なんというか。
それしかやっていない、というか。
なんでもかんでも臨機応変では収拾がつかなくなってしまうにせよ・・・もう少し、状況を見ながらのプレーが、得点を狙いに行くプレーが必要だったのではなかったかと。
最終ラインとか・・・戸根と林堂のパス交換、なんで同じことをずっと繰り返しているのかと。
チームの約束事を守るかたちでのプレーだったのかもしれません。
けれども、同じことばかりしていたのでは・・・戸根がボールを持ったらとりあえず林堂にパス、そればっかりじゃないかと。
そりゃ、相手も対応するでしょうよ。予測も立てるでしょうよ。
マイボールとした、それじゃここを起点に攻め上がってやるぜ!という勢いは見られず・・・約束事だから、やらねばならないことになっているからやっているだけ、そんなふうにしか見えませんでした。
得点という最終形へとつながるプロセスのひとつ、という意識が、どうにも見て取れないというか。
約束事のなかにも、たとえリスクを負うことになっても中央から前へとボールを通すだとか・・・横パス交換一辺倒ではなく、そういった創意工夫というものが足りなかったように見えて仕方がありませんでした。
勝手なプレーをして和を乱す、というのではなく。
いろいろな攻撃バリエーションを繰り出すことで、相手の狙いを絞らせないということが必要であったのではないのかと。
そういった、約束事にのっとって、というよりは工夫のないサッカーをしていては。
最終ラインだけじゃない。
中盤の選手にしても、自発的な動き、想像力あるプレーというものが、どうにも足りない。
自分から率先して状況を作り出す、ということが後回しにされてしまい、チームメイトの動向を見てからしか動けない・・・相手ではなく、自分たち自身が後手後手にまわるプレーをしてしまっている。そんな風に見えてしまっていました。
どうして、いつもこうなのか、と。
これはもしかして、カターレ富山に蔓延する、ある種の風土病かなにかでは?と思うことがあります。
なんで、監督交代を経て新しいチームで新しいサッカーをしているはずが、去年までと同じようなプレーをしてしまうことにつながってしまうのか。
自分たちから仕掛けられず、中盤は自発的に動けなくて後手に回り、「あとはFWがなんとかして」というクロスに終始し、それを決められないことで得点できず、というパターン。
10年以上カターレを観てきましたが、監督が代わっても、選手が代わっても、なにかそんな雰囲気が常に蔓延しているーーーそんなふうに思えてならない。
その結果、どうなったか。
J2陥落、そして、いつまでもJ3から抜け出せず。
もし、今年もまたそんな悪い意味での伝統的なカターレ富山のサッカーを繰り広げてしまうのであれば。
それが導く結果というものは、推して知るべし、というものです。
もちろん、そうあってはならない。
閉塞感なんていうものは自分たちで打破、これまでとの違いを、優勝にふさわしいチームであることを、自分たちで示さねば、つながる未来はありません。
そんななかで。
期待をかけたいのが、「それでもなんとかしてくれる」という選手の存在。
端的に言えば、エースストライカーであるとか、そういった存在。
チームが停滞していても、「そんなもん知らん」とばかりになんとかしてくれる、そんな存在。
先の天皇杯2回戦における、浦和のユンカーのような存在と言えばわかりやすいかもしれません。
今年のカターレにあって、そんな存在としてのにおいを感じるのが、個人的には音泉や高橋であるように思っています。
音泉に関しては、停滞感を打破しようと自ら仕掛けるような場面もあったものの・・・いかんせん、個人で打開しきるまでには至らず。そんな彼をフォローする動きがあれば、また違ったのでしょうが・・・連動という面でどうにも機能不全であったなかにあっては、結果に繋げることができていませんでした。
一方、大敗した前節にしても、ハーフタイムの練習などでも、気合の入ったプレーを見せていた高橋。しかるべき状況にさえハマれば、きっとなんとかしてくれる、という期待もあったのですが。残念ながら、前節はそれを果たせず。
ならば、とばかりに。
60分、吉平に代わって出場すると、それまでとは違う攻撃のアクセントとして機能。明らかに、前半と同じではない流れの道筋をつけました。
その流れを確かなものとすべく、70分、姫野に代わって末木、音泉に代わってユウスケを投入。
すると。
その起用が、ズバリ的中。
76分、相手陣内でボールを受けた花井がしっかりと周囲の状況を見て取って、絶妙なクロス。
それをユウスケがドンピシャのタイミングでヘッド、見事に決めて、同点に追いつくことに成功したのでした。
昨シーズンのアウェイ今治戦でもゴールを決めて、自身のJ通算500試合出場に華を添えてみせた彼ですが。
まさに、今治キラーとでも言いますが。
決めてほしい選手がしっかりと結果を出し、それまでの敗色ムードを振り払ってみせたのでした。
こうなれば、是が非でも逆転勝利せねばならなかったカターレ。
86分には大野に代わって松岡が出場。彼にとって記念すべきJ初出場となったのでした。
次の1点を目指し、気力を振り絞って攻め込むカターレ選手たち。
試合終了間際、アディショナルタイムに入ってからの連続CK、力が入る場面。
しかし・・・ゴールには、至らず。
試合終了、1-1のドローで決着。勝ちきれませんでした。
3戦連続勝ちなしという、厳しい結果。
相手が強くて歯が立たなかった、というよりも・・・自分たちの課題を克服できないまま、自分たち自身で試合を難しくし、それによって勝てなかった・・・その結果、というべきか。
勝てば首位に再浮上の可能性もあったなかで、それを果たせず。
しかし、他チームの結果により、4位後退ながらも試合数がひとつ多い岐阜に勝ち点差3。実質的には、ほぼ差なしです。
3試合も勝てなければ、少なくとも4くらい、あるいは6や7くらいは差をつけられてしまっていたであろうところ。ラッキーというか、まだツキはある、と。
もちろん、言うまでもなくこの先復調することが大前提ではありますが。
シーズンの折り返しまで、前半戦は残り2試合。
首位ターンの可能性も少なからずあるなかにあっては、2連勝でもってそれを成し遂げない理由がない。
成し遂げなければならない理由しかない。
そのためにも。
連続ホーム戦となる、次節・岩手戦での勝利がなによりも大事となることは、間違いありません。
課題克服ならず、勝てなかった今節。
時間は待ってくれません。
最悪の結果を回避したものの、勝てねば前進は無いのだから。
勝ち続けなければ優勝できないーーーそのあたりまえの真理というものを、今一度噛みしめなければならないでしょう。
自分たち自身に負けず、相手に打ち克つ。
それを、愚直なまでに実践していかねばならないかと。