3-0で勝利!
J1王者撃破というビッグサプライズを成し遂げたルヴァンカップ3回戦より中3日。
勝って兜の緒を締めよ。
カテゴリ差を打ち破るジャイアントキリングを成し遂げたカターレですが。逆もまた真なり。大学クラブからジャイアントキリングをやられてしまう可能性もまた、あり得たわけで。
もちろん、他の誰が心配するよりも。他ならぬ選手たちが、いちばん肝に銘じていたようで。「神戸戦と同じテンションで戦おう」と。
前半、PKのチャンスでマテウスが失敗してしまうも、西矢がそれをリカバーする強烈なシュートを突き刺し、先制に成功すると。
その4分後、相手の気持ちの整理がつく前に、陽次が技ありシュートで追加点。理想的なかたちで試合を折り返すことに。
守っても、久々の出場となったGK齋藤をはじめとした守備陣が、しっかりと得点を許すことなく抑えきり。
さらに、途中出場のルーキーコンビ・ショウセイとヨシキの連携でダメ押し点。
今シーズン初の3得点を挙げ、守っても無失点と、上々の戦果を成し遂げたカターレ。侮り難い力を持つ関西大学の挑戦を退け、快勝と言える勝利を挙げたのでした。
先のルヴァンカップ神戸戦では、J3降格後最多となった8223人の動員を記録。その日各地で行われた3回戦のなかでも最多となりました。
それを受けて、ということでしょう。
Jリーグではなく日本サッカー協会が主催という別の大会ながら。こぢんまりとした地方スタジアム・高岡スポーツコアに入った動員数は、1575人。
その数は、同会場で行われた前年度天皇杯1回戦の1.5倍。
同日に全国各地で行われた1回戦のうちで、最多を記録することとなりました。
熱心なファン・サポーターは、もとより。当初は来場するつもりではなかった人をも動かした、という面もあったのではないかと。
ならば。その期待に応えるのが筋というものだったことでしょう。
神戸戦からメンバーをほぼ総とっかえ、10人を変更。先のリーグ戦・FC大阪戦のメンバーに準拠したかたちとなりました。
そんななかで目を惹いたのが、GKに起用された齋藤。一昨年のアウェイ最終戦・北九州戦以来、久々の公式戦出場となりました。
正GKとしての田川の活躍、そこに食い込む存在感を発揮する平尾の台頭もあって。昨シーズンは出場機会無し。2019年の大卒ルーキーも、いつしか中堅選手。齋藤にとっては、いろいろと複雑な思いもあったかもしれません。
それでも。腐ることなく研鑽を積み重ねてきた。だからこそ巡ってきた、公式戦出場の機会。存分にプレーしてほしいと願うばかりでした。
逆の意味で驚いたのが、ただひとり神戸戦から連続出場となった西矢。
前週土曜日のFC大阪戦にフル出場し、ヨシキの決勝ゴールの起点となるなど活躍し。続く水曜日のルヴァンカップ神戸戦では、オウンゴールを誘発する見事なクロスを供給。延長含む118分と、ほぼフル出場。そこから、今回のスタメン起用とは。
スタミナの面で問題ないという判断もあったでしょうが。いちばんの理由としては、彼が京都産業大学で昨年までプレーしていたということがあったからであろうと。
今回対戦する関西大学は、学生時代にしのぎを削ってきた相手。カターレ選手のなかでは、誰よりもその実力を熟知している。そのあたりも踏まえての起用であったかと。
キックオフからしばらくは、カターレのペースで試合が進むことに。
「誰が出場してもプレーの質が変わらない」というチームのコンセプトを鑑みれば。先の神戸戦のメンバー編成がたまたま上手くいったということではなく。メンバーを入れ替えても“いつも通りのカターレ”と言えるプレーぶり。
カテゴリの違う大学生チームが相手ではあっても。それを意識しすぎることなく、自分たちのサッカーが出来ているな、と見てとれました。
とはいえ、関西大学も関西学生リーグ1部で首位という力のあるチーム。徐々に試合にアジャスト、決してワンサイドゲームではない状況に。互いがどう自分たちの強みを得点に結びつけていくか?という展開。
瀬良や布施谷といった若手と、椎名や河井のベテランとの連携もスムーズ。前線ではスペースを埋める陽次、マテウスが労を厭わず積極的な駆け上がり。久々の出場となった齋藤も落ち着いたプレーぶりでキックの精度も上々。各選手ともにしっかりとプレー出来ているな、という印象でした。
そんななか、23分。
ペナルティエリア内で瀬良が倒され、PK。VARの無い試合であっても誤審の余地のないほど、明らかに後ろから押して倒したというファウルでした。
巡ってきた先制点のチャンス。県選手権決勝でのPKのときと同様に、キッカーはマテウスが務めることに。
よしよし、ここはしっかりと決めるべきところ。こちとら、ルヴァンカップではPK戦で清水、神戸を倒して勝ち進んでいるんだ。なんなら、日本一PKに自信を持っていると言ってもーーー。
ガンッ!
「!?」
え?失敗???ちょっと待て、跳ね返ったボールはまd---
バシュ!!
「!!」
ゴールポストに当たってまさかの失敗、そこからものの1秒か2秒か。
跳ね返ったボールをペナルティーアーク付近から西矢が豪快にシュート、それがネットに突き刺さったのでした。
もちろん、いくらキッカー有利なPKだからと言って、100%決まるとは限らない。外れることもあり得る。
ただ、それでも。
そうした事態を想定していたとしても、そこまで見事に決まるものなのか?というくらいに素晴らしい、まさにゴラッソ。
関西大学からしてみれば、「あの」西矢に決められた、というところだったでしょう。関西リーグのライバル校・京都産業大学でインカレ準優勝。その後プロの道に進み、ルーキーながらレギュラー級の活躍。知っていた、知ってはいたけれど、ここで決めてくるのか、と。
下剋上に向けては、まずは失点しないことが肝要、そのなかでいかにチャンスをものにしていくか?という関西大学にとっては。得点できないならできないで、いかに0-0で折り返し後半勝負に持ち込むか?というプランだったことでしょうが。
前半のうちに失点は、いかに残り時間があろうと、キツいものはキツい。
やはり、動揺もあったということでしょうか。
その先制点から4分後。
相手ゴール前の混戦から、今度は陽次が振り向きざまにシュート。それが決まり、突き放す2点目となりました。
今シーズンここまで、なかなか効果的に得点を挙げられていない傾向のあったカターレですが。この負けられない、勝たねばならない一戦で、価値ある追加点。勝利を大きく手繰り寄せることに。
ただ、さすがに関西の大学サッカー界で名を馳せる、実力のあるチーム。2点のリードをゆるしながらも、意気消沈して大崩れとはならず。反撃の意識も高く抗ってくることに。
「2-0は危険なスコア」とは、よく言われるところですが。まさに、しかり。
1点でも返されては、イケる!という手応えとともに押し切られるのでは?という雰囲気がありありと。
ならばこそ。2点リードしているから安心などという気持ちは捨て、1点たりともやるものか!という断固たる意志が必要でした。
そんななかで、躍動したのが若手選手たち。
58分に吉平、ヨシキ、ショウセイの3人を投入し、フレッシュな選手で引き締めをはかることに。
その期待に応え、キレキレな動きでもって相手を翻弄するヨシキ。
ほぼ同世代として負けられないという気持ちと、プロとしてのプライドと。それらが伝わってくる、ワクワクするプレーぶりでした。
そして、前線で体を張ってボールを収めるショウセイ。その力強いプレーは、先の神戸戦で、J1クラブを相手にもガッツリと渡り合っていたもの。そこで得られた経験を、この試合でもしっかりとフィードバックしているようでした。
そして、87分。
その昨シーズン特別指定選手コンビによって、ダメ押しゴールが。
前線へと蹴り出された縦パスに猛然とダッシュしたショウセイが追いつくと。冷静に状況が見えていたということでしょう、相手選手を引きつけながら、並走していたヨシキにラストパス。それを落ち着いて蹴り込み、見事にゴール。試合を決定づけてみせました。
4分あったアディショナルタイムも、しっかりと無失点で切り抜け。
そして、試合終了。
負けたら終わりの一発勝負、プレッシャーももちろんあったことでしょうけれど。
それにのまれることなく、完勝と言える内容で見事に勝ち抜き。
地元での天皇杯1回戦を制し、2回戦進出決定。アウェイ・ノエスタでの神戸との“再戦”に臨むこととなりました。
4月の終わりの松本山雅戦で敗戦を喫し、5月はじめの宮崎戦では、内容的には負け試合というドロー。
ただ、その後はしっかりと巻き返し。苦手であった今治に勝利して今季アウェイ初勝利を挙げたのを皮切りに、公式戦5連勝としました。
迎える6月は、1か月のうちに8試合という超過密日程、ハードスケジュールを強いられることになるカターレではありますが。
それでも。
5月の連勝は、チーム全員がそれぞれの役割を全うした結果がもたらしたもの。
その自信と手応えをもってすれば、6月連戦も、きっと乗り越えていけるはず。
怪我や疲労の懸念もあるけれど、公式戦の真剣勝負で成長するチャンスでもある。
ならば、それを活かさない手はありません。
まずは、1週間後のアウェイ沼津戦に向けて。
この勢いを継続、さらに加速させていくようなカターレに、大いに期待したいです。