1-0で勝利!
今シーズン序盤戦のヤマ場と目されていた、ここまで無敗の岐阜との対戦。ここまでわずか1失点という堅守の相手から、いかに得点を奪って勝つか。そして、3試合連続で先制されてきた悪しき流れを断ち、試合終盤での失点癖をいかに抑え込むか。自分たち自身との戦いでもありました。
前の試合から中3日で連続アウェイという岐阜の日程的な不利を踏まえたならば、PKによる1点のみは物足りない、という見方もありましょうが。
それでも、連勝を伸ばして気を良くしながら乗り込んでくる相手に、普段より1週ぶん多いインターバルが空いた状態で臨むこととなったことを考慮すれば、ある程度堅い試合となることは予想できたこと。
その上で、課題であった失点を抑えて無失点での勝利。しっかりと評価に値する勝ち点3であったと思います。
石﨑監督のJ通算300勝達成、そのメモリアルゲームを、ホームで成し遂げることに成功したのでした。
左伴新社長の就任後、初めてとなるホーム戦。SNSでの告知、就任記念饅頭の制作など、いろいろとプロモーションを展開してきた中で。ここまで2試合と違って曇りながらも天候にも恵まれたこともあり、そして岐阜からの多くの来場もあり、3145人の来場をカウントしました。
なんというか・・・コロナ禍も相まって動員数が必要以上に落ち込んでいた昨今、久々に、“Jリーグらしい”光景であったというか。
2週ぶりのリーグ戦となった今節。あるいはスタメンの大幅変更もあるか?とも思いましたが、基本的にほぼこれまでを踏襲するメンバーとなりました。
途中交代となった前節の影響が続いているということか、西部はメンバー外に。齋藤が今季初スタメンとしてゴールを守ることとなりました。そして、しばらく戦線を離れていた花井が復帰。それ以外は、これまでと変わらないスタメンに。
変わらないメンバーであるからこそ。いかにこれまでの課題に向き合い、それをクリアしていくのか。そして難敵撃破を成し遂げられるのかが問われました。
キックオフからしばらくは、お互いに様子見の展開。それでも、カターレの側がやや押し気味にあったように見受けられました。
特に目を惹いたのが、右サイドの音泉の頑張り。
人数をかけて狭いスペースでの攻防となりましたが、その中にあっても怯むことなく持ち前のドリブル力で前への意識を高く持ち続けました。
ここでプレッシャーを嫌って勢いが止まったり、安易なパスを選択してしまったならば、相手にペースを持っていかれたかもしれません。
そこをこらえつつ、簡単にはボールを、主導権を渡さない。
また、アンカーの位置の姫野、その前の花井との関係性も良好。その花井、4試合ぶりの出場となる影響を感じさせないほどに、良い意味でいつも通り。気の利いたボールコントロールぶりは健在のようでした。
試合が動いたのは、前半も30分を過ぎてから。
安藤のクロスがペナルティーエリア内で岐阜MF本田 拓也の腕に当たり、PKの判定。
昨今、ハンドの判定については様々な議論がありますが、今回については、「そりゃ、ハンドだよね」というものでしたが。
ハンドの判定そのものの是非よりも前に、そのきっかけとなった安藤のクロスに着目すべきであったかと。
右サイドで音泉を中心に激しくやりあっていたなかで。そこに岐阜の側も意識が集まっていたところ、逆サイドからの展開。鋭いクロスに慌ててしまったが故のハンド、というところではないかと。
たまたまラッキーで得たPKではない。きちんと自分たちの攻勢から得たチャンス。その意義は、推して知るべし、というところかと。
とにもかくにも、PK。第2節の八戸戦以来、今季2度目のシチュエーション。
その時には吉平がキッカーとなり決めましたが、今回は大野。誰が蹴るかはじゃんけんで決めたとのことですが。
その大野、「向かって左を狙っていたがGKの動きなどから「やばい」と感じて急きょ真ん中に蹴った」とのこと。
勝たねばならない一戦、重要となる先制のチャンスであることは百も承知だったことでしょうが。それでも、プレッシャーに押しつぶされることなく冷静に臨むことができたからこその成功であった、ともいえるかと思います。
思えば。
未だ、PKを獲得しても、「やった!これで労せずして得点が入るぜ!」などと無邪気に喜べず、「どうだろう・・・決めてくれよ・・・」という緊張のほうが勝る自分がいますが。
それというのも、かつての安間監督時代があったから、と言えなくもないかな、などと思っています。
2012年だか2013年だかは、PKの場面そのものが1回も無いシーズンがあったくらいで。その後も、たまーに獲得した場面でも、失敗のイメージが色濃く。
なんというか。判定どうこうよりも、ペナルティーエリア内で仕掛けるシチュエーションそのものが多くなかったことに起因する、とするならば。
それはひとえに、安間監督の戦術が故の事態であった、と言えなくもないかもですが。
今回、敵将となった安間監督の目の前で、PKでの得点。
なんというか・・・因果応報とでもいうのか。
とにかく。
3試合連続で先制点を奪われてしまうという事態を脱し、先制に成功したカターレ。
それは同時に、ここまで僅か1失点の岐阜に、今季初のビハインド状態を強いることにもなったのでした。
1-0で試合を折り返し、勝負は後半へ。
同点、逆転を狙う岐阜は、56分に柏木 陽介を投入し、事態の打開を図ることに。
コロナ禍のなかで規律違反を犯し、その咎で浦和を退団することとなった柏木。新シーズンを前に無所属となってしまった元日本代表を拾い上げ、3月に電撃加入させたのが岐阜でした。
その柏木の、岐阜デビュー戦。さまざまな思いの交錯するなかでの出場だったことでしょう。
が、それと勝負とは別の話であって。
活躍するなら、富山戦以外でどうぞ。強い思いをもって試合に挑むのは、どのチームもおなじであるなかで。それが昇格を、優勝を目指すチームならば、言わずもがな。
「そんなもん知らん!」との強い意志の下、柏木がどうこうではなく、とにかく岐阜にやらせてたまるか!1点だってやるものか!という気概が必要でした。
そう、昨年来、勝負どころの後半に失点してしまう悪癖。それをなんとしても阻止するべく、奮戦せねばならなかったのだから。
伊達にここまで最少失点で無敗のチームではない、という岐阜。なかなか追加点を挙げて突き放す展開にまでは至れないなかで。
それでも。
しっかりと集中して守り、隙を見せずに果敢にプレーし続けたカターレ選手たち。
ラストプレーでしてやられて勝利を逃してしまった前回ホームゲーム・福島戦のこともあります。プレッシャーもあったでしょう。
けれど、屈しなかった。
もしもこれまでの悪い時と変わらないままであれば、それこそ柏木のCKの場面であえなくやられてガッカリ、なんてこともあったかもしれません。
けれど、しのぎ切った。
4分あったアディショナルタイムも最後の最後まで集中。そして、タイムアップ。
見事勝利し、開幕戦以来の零封勝ち。2連勝を成し遂げることに成功したのでした。
左伴新社長の就任初戦で、見事に白星。そして、この勝利によって石﨑監督のJ通算300勝というメモリアルを達成。
その300勝の中には、札幌や山形で安間監督率いるカターレから挙げた勝利も含まれていたのだな、と思い至ると、なかなかに複雑な気分にもなったりもしますが。
それでも、いまの彼は、我らがカターレ富山を率いる監督なのであって。
試合後のセレモニーでは、選手たちから水をぶっかけられる手荒い祝福も。チームの雰囲気の良さが垣間見れました。
序盤戦のヤマと見られていた岐阜戦を制し、暫定ながら首位に返り咲いたカターレ。
ただでさえチーム数が奇数であるJ3にあって、コロナの影響で延期の試合もあり、暫定は暫定でしかない、とも言えますが。
それでも。
勝ち取った勝ち点は、減ることはありません。
勝てば、負けない。
この先も首位を譲ることなく勝ち続けるために。
名実ともに首位の座に君臨し、やがては優勝へとつなげていくために。
ホームのファン・サポーターの期待に応えたこと、その手ごたえを力に変えて。
次なるメモリアルへとつなげていくために。
戦いは、続きます。