2-0で勝利!
負けたら終わりの一発勝負、1年ぶりの高岡スポーツコアのピッチ、なによりも気迫あふれる刈谷の攻勢。
先の県選手権決勝は、さすがに大学生との力の差が歴然、という試合でしたが。カテゴリ的には2つ下とはいえ、決して楽な試合などではありませんでした。
それでも、勝ち切った。
ピンチもあったもののしっかりと零封。地元での天皇杯1回戦をしっかりと突破し、次なる2回戦へと駒を進めたのでした。
季節外れの高い気温が与える影響が懸念されたなかでの試合となりました。
前半、後半ともに試合時間中盤あたりで給水タイムがとられる場面も。薄曇りで直射日光の厳しいなかではなかった、というのは救いであったかもしれませんが。
ほぼ総入れ替えであった県選手権決勝とは異なり、前週のガンバ大阪U23戦からは7人のスタメン変更。別チームとまでは言わないまでも、それでも控え主体の構成での試合と言えたかもしれません。
対するは、公式戦では11年ぶりに相まみえる刈谷。トレードマークたる赤タスキを、久しぶりに目にすることとなりました。
その刈谷、長らく長野で中心選手として活躍してきた佐藤 悠希を中心に、攻撃的なサッカーを展開。積極的に攻め入ってきました。
出場メンバーの違い、戦術の違いなどから、単純に比較することはできませんが・・・「今シーズン、これだけ攻められたことって、あんまりないんじゃないか?」と。
カテゴリ的には2つ下かもしれませんが、その差をあまり感じさせなかった刈谷。もちろんトーナメント戦の戦い方とリーグ戦の戦い方とは同じでないかもしれませんが、それでも。
ボールポゼッションで上回り、主導権を握っての試合進行が、いつしかあたりまえのようになっているなかで。果敢に攻め込まれるところを受けて立つ、というシチュエーションは、なかなかに緊張感がありました。
それだけに。なんとかチャンスをものにしての先制点を奪うことが、何よりも肝要でした。
そんななか。30分に、待望の先制点が。
CKの流れから、伊藤のクロスに外から飛び込んだルーカスがヘッド!ドンピシャのタイミングで決まり、見事にゴールを奪ってみせたのでした。
引き分けのない完全決着のトーナメント戦における先制点の重要性については、多くを語るまでもありませんが。
例えば、不意にペナルティーエリア内でボールがぶつかったところをハンド判定、PKで失点、とかいうような事故のような失点も、無いとは言い切れません。
それだけに、決めるべき時に決める―――リーグ戦でも再三にわたって言われ続けているところの、「決定力」。それを、勝たねばならない試合で見事に決めてみせた。
一筋縄ではいかない相手であるからこそ、余計にそのゴールが価値あるもののように感じられました。
とはいえ、先制点を奪われてしまったことで戦意喪失、とはならなかった刈谷。その積極性は、後半に入っても衰えることはありませんでした。
実際、ゴールポストに救われるかたちで難を逃れるという、冷や汗ものの場面もあったり。
ゆめゆめ油断するわけにはいきませんでした。
後半のなかばにも給水タイムがとられ、もうひと踏ん張り。勝利に向けて、次の1点が重要となりました。
迎えた78分。その重要な次の1点が、カターレにもたらされることに。
表現として適当かはわかりませんが・・・言うなれば、「なんとなく前線に通ったクロス」に対し、ストライカーとしての嗅覚が反応した、ということでしょうか。ボール付近の両チームの選手のなかで、いち早く反応したのが田中でした。
冷静に蹴りこみ、試合を俄然優位に立たせる2得点目。勝利をグッと近づけたのでした。
県選手権決勝に続き、この天皇杯1回戦でも勝負強さを発揮してゴールを決めてみせた田中。その勢いをリーグ戦にもつなげて、本領発揮、ゴール量産へと結び付けてほしいところです。
途中交代で出場した大谷にもビッグチャンスがありました。
そのスピードでもって前線を駆けまわり、相手GKが飛び出してきたところを見計らってループ気味のシュート!
そのまま無人のゴールへと吸い込まれる・・・はずが、枠外へ。「うあーっ!」という悲鳴のような嘆息が響くスタンド。
なんというか・・・そこを、決められるようになったなら。
間違いなく、良い素質は持っている大谷だけに。
ひとつ、きっかけをつかむゴールが挙げられたならば・・・。
覚醒が待たれます。
リードを広げても、それでも油断できなかった刈谷の攻勢。
実際、ゴールを揺らされてしまったもののオフサイド判定、という危ない場面も。最後の最後まで、気を抜くことは出来ませんでした。
そんななか、耐えきったカターレ。しっかりとゴールに鍵をかけた太田を中心に守り切り、タイムアップ。無失点で勝利を挙げることができたのでした。
試合後、刈谷の選手たちがカターレのサポーターが陣取るスタンドの前にまで来てあいさつしてくれました。惜しみない拍手で応えたサポーターたち。
実際のところ、歯ごたえのある相手でした。格上、格下という意識なく、緊張感のある好ゲームが展開された。そう言い切っていい試合であったかと。
そんな試合で、見事に勝ち切ることが出来た。勝ったからそれでいい、という試合でなく、しっかりと内容を伴ったなかで勝ち切った試合。貴重な経験値を得ることが出来たと言えましょう。
11年ぶりの対戦となった刈谷ですが、好ゲームをありがとう、というリスペクトを捧げたい。そう感じました。
1回戦を突破し、7月に行われる2回戦へと駒を進めたカターレ。
次なる相手は、J2の町田ゼルビア。
今回出場した選手ばかりでなく、スタンドから見守った他の選手たちもまた、次なる戦いへと気を引き締めたことでしょう。
その2回戦につなげるため、まずはリーグ戦。
昨日より今日、今日より明日、より強いカターレとなって、その日に向けて精進していかねばなりません。