2-2のドロー。
シーズン前半戦の最終試合。結果次第で首位もあれば5位転落まであったなかで、勝利こそならなかったものの、2度にわたって先行されたところを追いついてのドロー。
他力の部分もあるにせよ。シーズン中間時点での確定順位として、首位奪還に成功。
勝って清々しく7週にわたる中断期間を迎えたかった、というのが本音ではありますが、それでも。
納得いく結果にならなかったからこそ、気を緩めるわけにはいかない!と気持ちを引き締めることにつながるのであれば、悪くはないかと。
一方で、数字は、積み重ねてきた戦績は、噓をつかない。
首位であることはすなわち、カターレがここまで今季J3において最も優れているチームであるという証です。
シーズン後半戦、最終成績においても首位で終えるために。励んでいかねば。
日中は九州地方に大雨特別警報が発令され、薩摩川内市など、鹿児島県にも少なくない影響が。試合が開催されるのかどうかが懸念されもしましたが。
白波スタジアムのある鹿児島市は雨雲の通過位置からは離れていたこともあり、予定通り開催することに。
それでも、ナイトゲームながら気温25度、なによりも89%という湿度のなかでの試合は、いつにも増して体力的な消耗が不可避。条件としては厳しいなかでの試合となったかと。
出場メンバーを固定する傾向のある石﨑監督の方針ですが、この試合も前節を踏襲しているなかにあって、唯一、安藤がスタメンを外れ、代わってユウスケが起用されました。
やはり、思い出すのが昨シーズンの同カード、同じ白波スタジアムで、起死回生の同点ゴールを決めたシーン。今節もまた、活躍が期待されました。
そのユウスケですが、単純に左サイドハーフである安藤の代わりではなく、右サイドに起用。いつもは右の音泉が左に回ることとなりました。
試合は、序盤からいきなり動くことに。
上野新監督の就任初戦となった鹿児島。それでも、ここまでチームとして積み重ねてきたスタイルというものが全くかわってしまうというわけではなく。
自陣からの連動、ビルドアップを強みとする鹿児島。その連動が見事にハマり、開始からわずか7分で先制されてしまうことに。
カウンターから中央を野嶽 惇也が力強くドリブル突破。守備陣がひきつけられたところをサイドの萱沼 優聖にはたき、その折り返しが中央の五領 淳樹を経由し、最後は中原 秀人が落ち着いてゴール右隅に押し込む、と。
流れるような連携、鹿児島としてはしてやったりの先制点だったことでしょう。
前節、4試合ぶりの勝利を無失点で飾ったカターレ。言うまでもなく連勝を、それも無失点継続で成し遂げなければ!と意気込んでいたことでしょうが・・・。その出端をくじかれたかたち。
一方で、先制して意気の上がる鹿児島。シーズン初の連勝を、新監督の初勝利をホームで!その意気込みが伝わってきました。
警戒しなければと、この試合のプレビューでも挙げていた3トップの3人、五領、萱沼、そして米澤 令衣らが躍動。
ここであえなく追加点を許して2点差、あるいはそれ以上とされてしまっては勝機は無い・・・そう思わせられたのでした。
食い下がるカターレ。スタメン起用に応え、右サイドで精力的に躍動するユウスケ。持ち味の鋭いクロスを供給するも・・・得点には、至らず。
前年同カードに続き、今節もまた、ビハインド状態から追い続ける展開となってしまったのでした。
それでも。
リードされていたとしても。結果として、試合終了時に勝っていさえすればいい。
そう信じて臨んだ後半の、54分でした。
相手陣内で積極的にプレスをかけ、後方から蹴りだすボールをカットすると。
左サイド、音泉が相手を引き付けつつ中央へとクロスを上げると、それにドンピシャのタイミングで合わせた大野がヘッド!見事に決まり、同点。試合を振り出しに戻すことに成功。
ここまでユウスケのいる右サイドを中心とした攻めであったカターレでしたが、ここぞ!という場面で、音泉が良い働きをしてくれました。そして、しっかりと決めきった大野。素晴らしいゴールでした。
劣勢にあってもしっかりとしのぎ続けていたからこその、同点ゴール。
試合の流れは、カターレの側に傾いていくことに。
しかし。
試合も終盤の80分、再びリードされてしまうことに。
鋭いカウンターから途中出場の薗田 卓馬がシュート、それを西部が飛びつきながら必死のセーブ、ポストに弾かれたものの、それを抜け目なく詰めていた萱沼に押し込まれ、痛恨の失点を喫してしまったのでした。
朝からの雨、ナイトゲームーーーそれでも集まった、4443人もの動員。鹿児島ファン・サポーターが一気に沸き立ちました。
それにしても、萱沼。
カターレでプロデビューしたときは、まだ特別指定の大学生でしたが。その彼が、加入4年目、すっかり鹿児島の中心選手。
かつての仲間の活躍、嬉しさもあり、苦々しさもあり。
試合終盤の苦しい時間帯での失点。けれど、あきらめるわけにはいかない。
これが、下位に沈むチームが「またか」というシチュエーションであったなら、あるいはうつむいてしまっていたやもしれませんが。
そうではない。カターレは、首位に立たねばならないチーム。
すると、3分後の83分。
途中出場のイッキ、高橋らが右サイドでボールを繋ぐと、椎名が中央へとやわらかなクロス。それを左サイドから上がっていた音泉が押し込み、同点に!
椎名の視野の広さを信じて走っていたという音泉の値千金ゴールによって、再び追いつくことに成功したカターレ。
その後、決定的なチャンスを決めきれず、逆に決定的なピンチをしのぐというスリリングな展開もありながら、タイムアップ。
逆境に屈することなく、しぶとく勝ち点1を奪取。勝利こそならなかったものの、首位に立つことに成功したのでした。
第15節が終了し、シーズン中では唯一のタイミングとして、ここまでの順位が確定。
鹿児島-富山戦を含めて7試合中5試合がドローとなったなかで、福島が今治を4-1で撃破。勝ち点26とし、2位に浮上しました。
勝ち点26はカターレも同じ、得失点差もともに6で同じながらも、総得点22のカターレに対し、福島は21。そのごくわずかな差で、カターレが首位の座につくこととなりました。
勝てば問答無用で首位であったところ、首の皮一枚というかなんというか。
それでも。
まだ中間地点、なにも成し遂げたわけではないけれど、それでも。
ここまでの頑張りが、数字としてしっかりと表れたということ。
もしもいい加減な試合をしていたのであれば、こうして首位ターンとすることなど、出来なかったことでしょう。
すべてがうまくいったわけではなく、改善すべき点も少なくないけれど。
頑張ってきたからこそ、今がある。
それは、誇って良いことです。
夏の中断期間に入り、後半戦の初戦・第16節は8月28日まで待たねばなりませんが。
首位で兜の緒を締めよ。
次に確定順位となるタイミング、すなわちシーズン全日程終了時に、そのときにも首位に居るために。
浮き彫りとなった課題の克服、マテウス、中山ら新戦力との融合など、やるべきことは多いけれど。
この中断期間をしっかりと有意義に、実のあるものとし、さらなる精進を続けていかねばなりません。