2-1で勝利!
長い中断明け、ホームのファン・サポーターにとっては、まさしく首を長くして待っていたリーグ戦の再開。
折からの新型コロナまん延防止等重点措置地域指定もあり、上限5000人設定とされた今節。それでも駆けつけた3790人の応援を受け、その期待に応える見事な勝利。
ホーム無敗を継続させるとともに首位を堅持、幸先の良いリスタートとなったのでした。
中断期間に頑張っていたのは選手たちだけではなく。フロントスタッフもスポンサー資金募集など、各分野で奮闘。「J2昇格祈願スポンサー」として2000万円の目標を掲げていたところ、それをしっかりと達成してみせるなど。まさにチーム一丸となって悲願成就に向けて邁進する様が印象的でしたが。
そんなこともあり、久しぶりのホームゲームということも相まって、試合前からいつも以上の熱気がスタジアムに醸し出されていたような気がします。
夏限定ユニフォームの着用対象試合の3戦目。もちろん、狙うは勝利、勝ち点3。
中断期間のあいだにも、しっかりと厳しいトレーニングを積んできたという選手たち。
試合に臨むメンバー編成に関しては、ほぼこれまでを踏襲するかたちとなったなかで。
新加入の中山が、さっそく控えとしてメンバー入り。
そして・・・なんといっても今節いちばんのトピックが、やはり新加入のマテウスが、スタメンとしてカターレ初出場を果たしたということではないかと。
攻撃の厚みを増すための即戦力として期待される背番号28が、いかなるプレーを見せてくれるのか。注目が集まりました。
ただ。
敵もさるもの。11位と不本意であろう順位ながらも決して油断ならない相手だとは思っていましたが、やはり。
後半戦の巻き返し、首位撃破を期する藤枝に対し、苦戦を強いられることとなったのでした。
安易にボールを放り込むのではなく、しっかりと意図した連携によってパスを繋ぐ藤枝。その正確性、力強さに関してはカターレのそれ以上であることがハッキリと見て取れ。この中断期間にしっかりとトレーニングを積んできたのであろうなと、うならされました。
明らかに藤枝側が優勢である中で、いかにしっかりとプレーし続けるか。
順位など関係ない、上位陣にも劣らぬ難敵として、集中したプレーが求められました。
そんな藤枝を中心となって支えていたのが、ベテランの鈴木 惇。かつて福岡でユウスケらとともに活躍していた、カターレファンにとっても一目置かれる選手ですが、その力は今季から加入の藤枝でも衰えは見えないようで。
パスさばき、ポジショニング、さらにはセットプレーのキッカーなど、警戒すべき要素が盛りだくさん。
それに加えて、押谷、大石らのやはり名の知れた選手らが攻勢をかけ。油断ならない展開が続きました。
そんななか、試合が動いたのが18分でした。
相手陣内遠目からのFKの場面で、キッカーは椎名。勢いがつき過ぎないように、GKが出て直接クリアしきれないような絶妙な位置へと蹴り込むと。雪崩をうってボールを追う選手たちの中で、しっかりと頭で合わせた林堂がピッチにたたきつけると、そのボールがゴール隅に吸い込まれ。見事に決まり、先制に成功したのでした。
中断期間の前、前回ホームゲームにあたる岩手戦に続いてのゴール。
勝利を信じて応援するファン・サポーターに、「いけるぞ!」という手応えを与える先制点となったのでした。
しかし。そのまま一気呵成に追加点を挙げて突き放す展開にできればよかったのですが、そうはならず。
先制を許しても、藤枝が怯むことはなく。なお、ペースを握られた状態が続いたのでした。
速い展開から、次々と繋がるパス。ふわりとしたボールに追いついてくれ、というものではなく、低い弾道でビシバシとつなぎまくる、という明確に意図が見えるパスワーク。それに手を焼かされ続けていたなかで。
28分。そのパスワークのなか、カターレのディフェンスがひきつけられたところを中央に折り返されると、待ち構えていた鈴木が冷静に蹴り込んで、同点に追いつかれてしまったのでした。
相手にペースを握られていたなかで、崩されての失点。なかなかにダメージの大きい同点ゴールであったように思われました。
前半終了間際には遠目から花井が果敢にミドルシュートを狙うも、GK杉本 拓也の好セーブに阻まれてゴールならず。
そのまま同点で試合を折り返すことに。
ハーフタイムには花火が打ちあがり、詰めかけたファン・サポーターを楽しませました。
思い起こせば、昨シーズンの8月最終週。やはり花火が予定されていましたが、雷雨の影響で試合開始直前になって延期が決定したということがありました。
今節は、曇り空のナイトゲームでこの時期にしてはそこまで暑くないし、風もほとんど吹いていない。良好なコンディションと言えました。
だからこそ、勝たねば。
勝ち越しを狙う後半開始にあたり、勝負師・石﨑監督が動く。
後半開始時に高橋を投入。フォーメーションも変更し、全体の引き締めを図ることに。
「相手の3バックのサイドの選手がかなり攻撃的にきた。そこをうまく抑えられず前半は押し込まれた。前半のシステムでも対応できるはずだが、かなり押し込まれた。前半の途中でシステムを変えたかったが、ゲーム中だとその指示がうまく伝わらない恐れもあるのでハーフタイムまで待ち、メンバーチェンジとシステムの変更を指示した。」
なかなか思うようにいかない試合展開にあって、冷静に試合を分析していたからこその一手。
すると。起用がズバリ的中することに。
64分、やはり交代で入った末木からのパスに前線の高橋と音泉が反応、ディフェンスとGKを引き付けると。その間隙を狙って高橋が倒れ込みながらも蹴り込み、見事にゴール!
気迫でもってゴールを奪い獲る!という、いかにもFWらしい気持ちのこもったプレーによって、勝ち越しに成功したのでした。
再び追う立場になったから、という面もあるでしょうが。後半、時間が進むにつれて、だんだんと動きが重くなってきた感のあった藤枝。
一方で、勝ち越したからと守り一辺倒になるのではなく、しっかりと集中力を切らさずプレーを続けたカターレ。
試合を通じてですが、出色の出来と言えたのが、新加入からの初出場・マテウスであったかと。
正直言って、想像以上でした。
厳しいマークに遭いながらも球際で簡単に負けたりしないテクニック。なんというか、ボールタッチの質というものが、普段見ているJ3の選手のそれではありませんでした。素人目に見てもわかるくらいに、レベルが高い。
かつて天皇杯でJ1クラブと対戦した時に「なんでそんなパスがキレイにつながるんだ」とか、その差というものを見せつけられたことがありましたが。その時の感覚に近かったように思います。
ボールの競り合いなんかのときにも、コンマ数秒早く足を出せる。その差は、決して小さいものではありません。
そして、攻撃だけでなく献身的に守備も出来て、チームプレーにもしっかりと対応。
さすが、加入即スタメン抜擢されるには、充分な訳があったということかと。
まだまだ本領発揮という段階ではないでしょうが、それでも。期待を抱かせるプレーぶりであったかと。
5分あったアディショナルタイムもしっかりとしのぎ切り、試合終了。
着実にリードを守りきり、リーグ後半戦スタートとなる試合を見事に制したのでした。
ここぞ!という試合をモノにすることが出来た。その意味は、とても大きいです。
混戦状態のなかにあって、追いつかれながらもしっかりと勝ちきった、それによって1止まりであったかもしれなかった勝ち点を、3にしてみせた。
想定していた通り・・・いや、鈴木の活躍をはじめとして想像以上に強かった藤枝。
逆転負けでの敗戦も有り得たなかで、それをさせることなく勝ちきったこと。
価値ある勝利でした。
長い長い中断期間を経て迎えたリーグ戦再開。
その間もしっかりとトレーニングを積んできたからこその勝利でもあったかと。
首位だからと慢心する者などいなかった、勝利を追い求める姿勢を保ち続けた。それが勝ちきる強さにつながった、と。
カターレが首位のチームにふさわしいと、結果でもって証明できたかたちです。
もちろん、気を抜くことなど出来ません。手強いとわかっていながらも、想定以上であった藤枝。今後の相手も、想定を超えてくるであろうことも、十二分に有り得ます。
後半戦もいけるかどうかの試金石でもあった今節。そこを白星発進できた意義というものは、評価されてしかるべきというものでしょう。
とにもかくにも再開されたリーグ戦。
優勝への道を、着実に進んでいくために。
今節の勝利で得た手応えを力に変え、邁進していかねばなりません。