2-1で勝利!
プレーオフを勝ち抜くためにも、負けて勢いを失うわけにはいかないカターレと。
26年に渡ってつけてきたエンブレムへの思いを胸に、有終の美を期す大宮と。
順位が確定したなかでの最終戦であったものの、双方にとって、単なる消化試合ではなく。それぞれに必勝を期して臨む今季J3のリーグ最終戦となりました。
前節の八戸戦の勝利によって、7試合連続勝ちなしという長いトンネルからようやく抜け出したカターレ。その手応えと自信を胸に、大宮に敢然と挑みかかかると。
安光の2試合連続ゴールで先制、さらにショウセイの今シーズン9得点目となる追加点で差を広げると。後半に1点を返され、さらに終盤には猛攻に晒されることになったものの、それでも。
最後の最後まで集中力を切らすことなく戦い続け、ついに勝利をつかみ取ったカターレ。
シーズン最終試合を最強・大宮撃破という最高のかたちで締めくくり、昇格プレーオフに挑むための大きな大きな自信を手に入れたのでした。
11月下旬、晩秋というよりは初冬というこの時期。空は青く晴れ渡り、いかにも関東地方の冬、というような天候となりました。
大宮駅から徒歩圏内という抜群のロケーションであるNACK5スタジアム。そのアクセスの良さも手伝ってでしょう。アウェイ側スタンドを埋め尽くす、1000人を超えるカターレファン・サポーターが集結。最強・大宮に挑むカターレに声援を送ることとなりました。
誰が出場しても戦力が落ちないという今シーズンのカターレにあって、この試合でも前節からスタメンを3人変更。そのなかで目を惹いたのが、鍋田の起用でした。
カターレ在籍7年目という経験豊富な今瀬と比べては、2年目の鍋田では、その差は歴然。ただそれでも、だから頼りない、とはならないほどには、今シーズン実績を積み上げてきました。ならば、信じて応援するのみ、と。
この時期らしい低い軌道の太陽が、眩しい西日となってピッチを照らすなかで。キックオフのときを迎えました。
試合開始から程なく、松岡が挨拶代わりとでも言わんばかりのシュートを放っていくなど。やはり、前節・八戸戦で8試合ぶりの勝利を挙げたことで肩の荷が下りたという部分もあったのでしょうか。前線で起点となるショウセイ、裏への抜け出しを図るマテウスなど、それぞれが持ち味を発揮。普段通りのプレーが出来ている印象でした。
14分には、カターレキラーたるオリオラ サンデーのシュートがゴール前をかすめていくような場面があったりしたものの。
それでも、単発的だったというか。劣勢をなんとか耐え凌ぐ、というわけではなく、あくまで対等な攻防のなかでのシーンであった、というか。
むしろ、オリオラをしっかりと抑えていたという印象のほうが強く。そこで活躍していたのが、スタメン起用の鍋田。
「うぉ、速ぇえ!」なんて声を漏らすほどのスピード、そしてガッツあふれる熱のこもったディフェンス。彼の長所がこの試合でも発揮され、しっかりと鍋田らしいプレーとして体現されていたのでした。
今瀬が素晴らしい選手であることは確かですが、それとは違った魅力のある鍋田。起用の期待に応えるプレーぶりでもって、チームに貢献する姿が印象的でした。
そんななかで。30分、待望の先制ゴールが!
前線からマテウス、布施谷とつながったボールが、右サイドの松岡へ。その松岡が、後ろに目がついているのでは?というくらいに、背後を追い越していった西矢へと絶妙なパス。西矢がフリーでグラウンダーのクロス、それに中央で合わせたのは、安光!
蹴り込んだボールがネットを揺らし、リーグ最少タイ失点の大宮を相手に先制ゴール。前半のうちに、勝利への道筋をつけたのでした。
前節・八戸戦での先制ゴールと同じパターンで、見事な連携が決まっての会心のゴール。
それにしても、安光。前節に続き、この大事な試合でまたもやってくれました。
登録としてはMFながら、左SBを担当するDFでしょ?それが、点取り屋のアタッカーも顔負けの今シーズン8ゴール目とは・・・なんとも驚かされます。
前回対戦では出場停止で出番のなかった安光ですが。大宮の側としても、映像で見るのと実際に対峙するのとでは違う、という実感を味わったのではなかろうかと。
さらに、活躍はそれだけにとどまりませんでした。
前半も終了間際のアディショナルタイム。
「残り時間も少ないことがわかっていたので積極的にシュートにいった」という安光が、ペナルティーエリア外からミドルシュート。
無回転の難しいボールは、堅守大宮を支える名手・笠原 昂史にはじかれてしまったものの。
そのこぼれ球を逃さずに蹴り込んだのは、ショウセイ!
前回対戦でも同点ゴールを決めたショウセイが、今シーズン9ゴール目となる大きな追加点。リードを広げることに。
シュートを選択した安光も素晴らしければ、チャンスをモノにしたショウセイも素晴らしい。
そのショウセイによると、練習中から椎名や吉平にゴール前でのこぼれ球を詰める意識を持つようアドバイスを受けていたことを思い出したとのこと。
まさに、チームで掴んだゴール。お見事でした。
カターレの2点リードで折り返すこととなった後半。その開始から、2トップを入れ替えて反転攻勢を試みる大宮。一方のカターレも、2ゴールに貢献した安光を下げて脇本を投入して臨むことに。
前半にイエローカードをもらっていた安光。万が一、もう1枚もらって退場ということにでもなれば、最強の大宮を相手に1人少なくなる影響は大きく。
それでも、この試合だけの話であれば、負けたとしても順位も確定している消化試合と割り切ることもできたかもしれませんが。
プレーオフにはイエローカードの累積は引き継がれないものの、退場は引き継がれる。そのリスクだけは避けねばなるまいと。
他方、「リードした展開から、いかにプレーするか」という課題に向き合うためのチャンスとも捉えていたようで。
プレーオフでは、3位の富山には引き分けでもダメだという相手にとっては、勝つしかない状況。そんななかで、いかに相手の攻勢をしのぎ切って勝つかが問われる展開も。それを見据えたならば。予行演習ということでもないでしょうが、この試合でもしっかりと勝ちきる強さをみせることが肝要と言えました。
いつもよりも早い時間帯に、57分に2トップのマテウスとショウセイを下げ、松本と井上を。その後にも控えに回っていた末木、久々の出場となる荒井を投入。まさにチーム一丸として臨むことに。
そんななか、各選手たちがしっかりと躍動。大宮の下部組織出身の瀬良をはじめ、それぞれが持ち味を発揮して大宮に立ち向かいました。
ただ、そんななかで。
84分、ペナルティーエリア内で神山がファビアン ゴンザレスを倒してしまったとして、痛恨のPK献上。
そのキッカーを、元カターレのアルトゥール シルバが務めることとなりました。
1年前のシーズン最終戦で、試合終了間際の土壇場というなかでのPKで。それを決めてカターレに勝利をもたらしたシルバ。
そして、やはりシーズン最終戦の今節。そのシルバが、大宮のキッカーとしてカターレの勝利を脅かす側にいるという。
なんとも、皮肉な巡り合わせというか。
元チームメイト対決となったPKは、田川が阻止!・・・したかに思われましたが、それを詰めたシルバとMF茂木 力也がもつれるように押し込み、ゴール。1点を返されることに。
残り時間も少ないなかではあったものの、相手は最強・大宮。第35節には、鳥取と5-4という信じがたい試合をして勝ちきったりもしています。
カターレはと言えば、連続引き分けの頃には2点リードを守り切れずに引き分け、なんて試合も。
緊迫感の高まる、試合最終盤。
ピッチを眩しく照らしていた西日が雲に隠れ、薄暗くなったなかで。攻撃のギアを上げてくる大宮に対し、しのぎつづけるカターレ。
残り時間と反比例するかのように、高まる緊張感。GKの田川がエリア外でボールに触ったとしてハンドの判定を受けるなど、その傾向は並ではなく。
アディショナルタイムともなれば、大宮も総力戦。GKの笠原さえも前線に上がり、猛攻を仕掛けてくることに。
ただ、それでも。
それでも、懸命にプレーを続けたカターレ選手たち。最後の最後まで、その集中が途切れることはありませんでした。
そして、終了のホイッスル。
17戦連続負けなしであった最強・大宮に土をつけ、カターレが見事に勝利。日没間際の太陽が再びピッチを照らすなか、プレーオフに弾みをつける大きな白星を手にしたのでした。
1000人を超えるNACK5スタジアムに詰めかけたファン・サポーターとともに勝利の歓喜に沸いたカターレ選手たち。
ただ、それでも。
シーズン最終戦を最高のかたちで戦い終えたものの、まだ終わりではありません。
あと2つ。
最強を撃破した手応えと自信を、今度はプレーオフを勝ち抜く力に変えねば。
戦いは、まだ続きます。
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