4-0で勝利!
前節の痛すぎる敗戦、そして監督交代。小田切新監督が率いることとなってから、わずかに4日ほどしか時間がなかったなかで。
急造チームとして、まとまりに欠けてしまうというリスクも覚悟しなければならなかった今節。いかにヘッドコーチとしてこれまでも見てきた監督とはいえ、付け焼刃でどうにかなるほど公式戦は甘くはなかろう、と。
しかし、良い意味で裏切られました。
これまでのスタイルと違うサッカーを展開しつつも、起用された選手たちそれぞれが躍動。その頑張りを次々にゴールへと繋げて優勢に試合を進めると。
守備においてもしっかりと抑えきり、実に12試合ぶりとなる無失点。
小田切監督にして「できすぎ」と評されるナイスファイトを勝利に繋げ、初陣を勝利で飾ったのでした。
これまで石﨑監督の下で培ってきたサッカーをベースとしつつも、小田切監督の目指す方針をフィードバックして臨むこととなった今節。
これまでと同じことしかできないならば、監督を交代させる意味がない。
さりとて、まったく全部をリセットして組み直す時間も余裕もない。
そんななかで発表されたメンバー。
就任以来、石﨑監督がこだわりぬいてきた3-5-2のフォーメーションですが。それを、まず変えて。
小田切監督の目指す方針・4-4-2に変更。それに伴い、これまで見たことのない編成に。
これまで途中出場だった高橋、柴田、柳下の3人が今季初スタメン。柴田に至っては、カターレ移籍後初スタメン。第5節以来というマテウス、第3節以来という陽次も、この変革がなければ、あるいは控えのままだったかもしれません。
さらには、そのマテウスと安藤のポジションを入れ替え、マテウスがサイド、安藤がFW起用という。
そして、サブメンバーには怪我で出遅れていたルーキー・ガブリエル エンリケの名も。
これまでと一線を画す編成に、期待と不安の両方をはらみつつ、14時のキックオフのときを迎えました。
フォーメーションは変わっても、メンバー編成は変わっても。
そのベースとなる部分、つまりはアグレッシブにボールに、相手に向かっていくという姿勢には変わりなし。石﨑前監督のもとで培ってきた部分の踏襲と言えました。
相手の讃岐にとっては、監督交代を挟んでいる相手にこれまでのセオリーにのっとったスカウティングは意味がない、というところだったでしょう。
富山がどういった仕掛けをしてくるか見極めつつ、という部分もあったかと。
ならば、やはり重要なのは先制点。
相手のこちらへの対応が軌道に乗らないうちに先制し、優位に試合をすすめること。
もちろん、準備期間の短さから連携が上手くいかない、という不安もあったはず。そこを突かれて先制点を許してしまっては、追いかけるのもままならないのでは?と。
ただ。
そんな心配は、杞憂であったようで。
起用に応え、選手たちが躍動。
特に目を惹いたのが、図らずも富山県出身選手3人が揃い踏みとなった、高橋、陽次、松岡の3人でしょうか。
試合開始から精力的に動き回り、果敢にシュートを放っていった高橋。GKにセーブされてしまったものの、ちーむとして攻め込む意識、それを先導する気概というものは、見てとれたかと。
久しぶりの起用となった陽次ですが、絶妙なポジショニング、落ち着いて気の利いたパスを散らす能力など、持ち味を随所に発揮。「そういうので良いんだよ!」というプレーぶりに、ワクワクさせられました。
そして、松岡。
その持ち味と言えば、臆することなく積極的に前へと仕掛けていく行動力。そのプレーが、結果につながることになりました。
13分、松岡が積極的な仕掛けから相手と競り合いつつ、ゴールライン際からクロスを上げると。それに頭でしっかりと合わせたマテウスがヘディングシュート。見事に決まり、先制に成功したのでした。
ここまでアウェイ戦3戦連続無得点という不名誉極まりない状況であったところ、それを打破するゴール。しかも、前半の良い時間帯で決めることができたということ。
間違っても連敗などしてはならないチームにあって、まずはチームの勝利への指針となる先制ゴール。幸先の良い展開となりました。
先制点を挙げ、優位に立ったカターレ。そんななかでも、気を緩めることなくボールへ、人へと厳しくチェック。
後手後手にまわり、なかなか攻勢に転じられない讃岐。
ファボーレでのパブリックビューイングで一緒に見ていたサポーター仲間が、「先週のウチ(カターレ)みたいだな」なんて言っていましたが、まさに。
10戦連続勝ちなしという状況、それがもたらした停滞感。
それが尾を引くというか・・・自分たち自身が向き合っていかねばならない困難に相対する自覚、自分たち自身で気合を入れねばならない攻撃への意志。そういったものが上手く機能しないことが、どういった結果を招くことになるか・・・カターレにとってみれば、先週の敗戦という苦い経験を経ただけに、よくわかるのでした。
2得点目は、まさにそういった状況がもたらしたものでした。
43分、ピッチ中央あたりで讃岐がボールを回していたところ、コースを読んでいた安藤がそれをかっさらうと。
独走状態からGKと1対1、そこで焦ることなく利き足の左で冷静に蹴り込むと、そのボールはゴールに吸い込まれたのでした。
「前半はなんとかこのまま1点差でしのいで、後半に賭けよう」という讃岐の心の隙があったかどうかは定かではないとしても。その思いを打ち砕く、痛快な追加点で2-0。
そして、さらに。
前半終了間際の45+1分、松岡が果敢なドリブル突破から切り返すと、ペナルティーエリア外ながらも果敢にシュートを放ち。それがGKにもノーチャンスだろ、というゴール隅に突き刺さり、リードをさらに広げる3点目!
松岡にとって、記念すべきJ初ゴールとなりました。
とはいえ、これまでも積極果敢なプレーぶりを見せてきた彼のこと、初ゴールも時間の問題だろうな、と思っていたところでもあったので。もちろんうれしくはあるものの、彼ならいずれ決めてくれると信じていたので。それが、たまたま今節であったという初ゴール。得意の左足で、遠目からという距離を厭わずに蹴り込んだ、まさにFWらしいシュート。ファン・サポーターを沸かせたのでした。
3-0で試合を折り返し、後半へ。
なんとか流れをかえようと、ハーフタイム明けというタイミングで、讃岐が一挙3人交代。同じく3-0で前半を折り返しながら、ビハインドをものともしない福島に劣勢を強いられ、なんとか逃げ切ったものの・・・なんて試合もあったことだし、油断はできないと思っていたなかで。
次の1点は、カターレに。
52分、相手ゴール前で高橋が体を張ってボールを受けると、それを安藤が引き継ぎ、シュート。見事に決まり、彼のこの試合2点目となるゴールでさらにリード、試合をほぼ決定づける4点目を挙げたのでした。
62分には3枚替え。大野の途中出場は想定内として、大卒ルーキーの安光が出場。
そして、同じくルーキーであるガブリエルーーーガブが、記念すべきJ初出場となったのでした。
初スタメンの柴田を含め、これまで見られなかった選手たちが、生き生きとプレーする姿。一方で、積み重ねてきたチームとしてのまとまりは破綻せず、相手に反転攻勢を許さない。
監督交代を経て、カターレの新たな一面というものを垣間見ることが出来た、そんな試合展開であったかと。
勝利がほぼ間違いない状況にあっても、決して気を緩めることは許されず。
なぜなら、もうひとつの課題もクリアせねばならなかったから。すなわち、連続試合失点の阻止。
相手の拙攻に助けられた部分もありつつも、それでも。集中力を切らすことなく、懸命にプレーする選手たち。
クロスバー直撃の跳ね返りを蹴り込まれてゴールネットを揺らされる、ということがありながらもオフサイド判定でヒヤリ、という場面もあったものの。
最後の最後まで相手に得点を許すことなく守りきり、無失点を貫き。
そして、タイムアップ。
アウェイ戦3戦連続無得点負けという悪しき流れを断ちきる大勝でもって、小田切監督の初陣を勝利で飾ったのでした。
他会場では、2位の鹿児島が鳥取を相手に6失点を喫するという衝撃的な敗戦。そして、その鹿児島を追い抜くはずであった松本が最下位のYS横浜に足元をすくわれ、0-1で敗れるという波乱も。
首位のいわきは連敗阻止の勝利を挙げたとはいうものの。上位陣とて、必ずしも盤石ではないということを示す結果となったのでした。
それにより、昇格圏である2位との差が、8から5に縮まることになりました。
勝ったからこそ、縮まった。
追う立場として、依然としてキツイ状況ではあるものの。それでも、勝っていけばどうにもならない差などではないことが証明されたともいえます。
ならばこそ。
今節の大勝を、監督交代のご祝儀勝利で終わらせないために。
祝儀なら、J2復帰の悲願成就として頂こうか。
まずひとつ、結果を残せたということ。
今度はそれを、連勝へ・・・小田切監督のホーム初勝利へと繋げるために。
全力をもって、挑み続けねば。
戦いは続きます。