1-1のドロー。
見方によって、評価の分かれる試合であったかと。
それでなくともプレッシャーのかかるシーズン開幕戦。もちろん、新体制の始動からキャンプを経てチームとしての結束を図り、目標としてきた開幕戦ではあるものの。
練習試合、プレシーズンマッチを行ったとしても、やはり、いわゆる「本番」であるところのリーグ戦とは違うわけで。本気の実戦でやってみなければわからないところもあったかと。
言うまでもなく勝利を目指してきたなかで、せっかく先制ゴールを挙げて勝利への道筋をつけたにもかかわらず、追いつかれてのドロー。突き放すチャンスもありながらも、それをモノにできないままに勝ち点2ぶんを落としたとも言えます。
一方で、気温4℃という寒さに加えて冷たい雨が降り続き、滑りやすさ、足元も気にしながらプレーせねばならないというリスク。慎重を期して臨まねば、雑なプレーでは大崩れ待ったなしであったところ。1失点こそ喫したものの、追加点を許すことなく逆転負けを阻止しきった、とも言える部分も。
勝つべき試合で勝てなかった。
アウェイで難しいコンディションのなかで、しっかりと勝ち点1ぶんはキープ出来た。
どちらが正解でどちらが間違っている、というものでもないでしょうが・・・。
やはり、本音を言うと、勝ちたかったな、と。
前週の金沢とのプレシーズンマッチが、この時期らしからぬ暑さすら感じたなかでの試合となったのとは、まさに真逆というか。
前日は晴れのち曇りといった天候で、遠征ついでに観戦に繰り出したJ1の湘南VS川崎戦は、良好なコンディションのなかでの試合であったことを体験していただけに。
前後1日で、こうも残念なことになるのかと。
2月だから無理もない、と言えばそうですが。それにしたところで、なぜに、横浜という太平洋側地域に来てまで、地元・富山の今の時期のような天候に晒されねばならんのか?と。
前週の金沢が雨が降って寒い、今週の横浜が温暖、ならば、そんなものかというものでしたが。
開幕戦ということで、富山からも多くのファン・サポーターが駆け付けた一方で、いささか以上に寂しいYS横浜側スタンド。これがもしも好天ならば、もう1割2割くらいは増えていたのでは?
いや、察しますよ。富山においても開幕戦ごろといえば、やはり天候に恵まれずに動員を減らしてガッカリ・・・そんなシーンなんて、日常茶飯事、風物詩とさえ。
とはいえ。
昨年12月のシーズン最終戦以来となるリーグ戦。同じYS横浜が相手。
辛勝であった前回対戦をふまえつつも、今回もしっかりと勝って、同カードアウェイ戦不敗記録を更新せねば!と。
快勝の金沢戦を経て、継続性を重視したということでしょう。前週とまったく同じスタメン編成で臨むことに。
一方、今シーズンも続投となった倉貫監督の下、メンバー入れ替えを最小限にとどめ、やはり継続路線を採っているYS横浜。
メンバーを大幅刷新、あるいは新監督体制となったクラブでは、開幕当初はなかなか本領発揮とはいかないことも多々あるなかで。それと比して、継続によって連携や完成度が高いであろうYS横浜に対しては、ゆめゆめ油断することは出来ませんでした。
YS横浜側にもカターレの金沢戦に関する情報は知れているであろうなかで、いかにその上を行くプレーが出来るかが問われることに。
前監督・石﨑監督時代はレギュラー固定の傾向があったカターレであるものの。現在の小田切監督体制においては、わりと変える必要があればズバッと変える、というところもあるかと思いますが。
そんななかで、直前の試合からまったく変更なしのスタメン。
それはとりもなおさず、開幕戦にかける意気込みと信頼の表れであったかと。
そして。
そんな思いがカタチとなったのが、16分のことでした。
自陣深くから前線へと大きく蹴り出したヨシキのボールに、猛然と迫っていった松本とショウセイの2トップ。高さと強さを活かしつつ、そのまま攻め上がると。
ペナルティーアーク付近でDF2人をしっかりと引き付けた松本が、狙いすまして並走するショウセイへとパス。それをしっかりと決めてみせたショウセイが、2024シーズンのカターレファーストゴール!2得点1アシストと大活躍であった前週の金沢戦の勢いそのままに。この調子でリーグ戦も頼むぞ!という期待に応え、開幕戦からやってくれました。
昨シーズンは特別指定選手として4試合に出場したものの、得点はなかったところ。
ショウセイにとって、嬉しいJ初ゴール。ルーキーイヤーのプロデビュー戦で、いきなりのゴールは、盛り上がらないわけがないでしょう。
金沢戦ではショウセイのアシストから松本が決めたゴールもありましたが、今節は逆に、松本のアシストからショウセイのゴール。2トップの関係性が良好であるというなによりの証左かと。
背番号を9に改め、今シーズンはリーグ得点王を狙うと宣言したショウセイ。その心意気に偽りなしということを、シーズン開幕戦から示してみせたルーキーに、心が躍ったのでした。
ただ。
2年連続同カードとなったYS横浜との開幕戦、今回も勝って2連勝だ!というカターレの前に立ちはだかったのが、元カターレの萱沼 優聖でした。
29分、右サイドからゴール前へと上げられたクロスに対し、ここしかない!という絶妙なポジションとタイミングでヘッド。それを決められてしまい、同点に追いつかれてしまったのでした。
過去、鹿児島時代にも八戸時代にも富山戦で恩返しゴールを決めている萱沼。当然のように、この試合でも狙っていたことでしょうが・・・それを決められてしまった格好。
かつて、カターレで特別指定を経てプロデビューした萱沼。そう、ちょうど今のショウセイと同じように。この開幕戦時点で30歳、中堅からベテランへという年齢となりましたが、所属クラブは変われどその実力は健在であることを、ストライカーの本領であるところのゴールでもって証明してみせたのでした。
ルーツを同じくするところの、カターレの背番号9・聖生と、YS横浜の背番号9・優聖。なにやら因縁めいたものも感じましたが。
とにもかくにも、試合は振り出しに。
最終的には試合終了間際のPKを決めて勝利したとはいえ、大苦戦を強いられた昨シーズン最終戦でのYS横浜戦。そこからの継続を基盤としたチームとの再戦となれば、一筋縄ではいかないであろうことは覚悟していましたが。
なかなかどうして、その予感通りの展開。
ただでさえどのクラブにとっても難しいシーズン開幕戦、さらには降り続ける冷たい雨という悪条件にあっては、なかなか思うように試合を展開できないカターレ。
もちろん対戦相手が違えばまったく同じとはならないでしょうが・・・金沢戦でみせたような、2トップだけでなく両サイドのヨシキや松岡らも躍動して暴れまわるという展開に、どうにも持ち込めず。
あとは・・・あまりゴチャゴチャ言いたくないけれど、それでも。正直、審判のジャッジに不服、という場面も幾度も。
前日に観戦した湘南VS川崎戦で、VAR判定によってゴール判定取り消し、PK判定取り消しというシーンを見てきただけに。
VARが導入されていないJ3でどうこう言ったところで、ないものねだり。それはわかっています。
けれど、だからこそ。
だからこそ、気持ちとしてはJ1のジャッジ以上に慎重を期して裁いてほしいところだったのに・・・どうにも納得のいかない判定が。そう、VARがあったとしたら対象のプレーだろうに!というような。
その最たるものが、試合の最後。5分あったアディショナルタイム。
終了を告げるホイッスルが鳴るまでは決してあきらめてはならないーーーそれは、YS横浜との前回対戦にあたる昨シーズン最終戦でも実感したこと。
あの劇的勝利の再現を求めて、ラスト1プレーまで必死に応援・・・していたのですが。
ボールデッドになったわけでもないプレーの途中で、それこそカターレボールで攻撃中に。
杓子定規にホイッスル。
いやいやいや。そりゃあ無いだろうと。
人の心とか無いんか?と。
わかっています。わかっているけれど、それでも・・・やはり納得はいかない幕切れで、試合終了。
スコアは変わらないままに、1-1。開幕戦を勝利で飾れず、勝ち点1を分け合うことになったのでした。
本当に、この試合をどう飲み込んだものやら。
ネガティブに考えたならば、せっかく先制した試合を落としてしまったというガッカリな結果。
昨シーズンの同勝ち点ながらも得失点差で涙、なんて結果を乗り越えねばならない新シーズンにあって、「もう1点」が奪えなかったがために勝てなかった、というのは・・・やはり厳しいと。
ポジティブに考えたならば、それでも最低限勝ち点1は得た、ということ。
それでなくともプレッシャーのかかる開幕戦に、冷たい雨の降る中という悪条件も重なっていたなかで。去年の良くないとき・・・それこそ4連敗とかしていた時期だったならば、あるいは逆転負けもしていたかもしれません。
他クラブと比較しても開幕時点での完成度は高かったであろうYS横浜が相手、ということを差し引いても、ここで開幕黒星スタートであったなら・・・やはり、今シーズンにかける期待もしぼんでいたやもしれません。
勝てなかったまでも、ダメージは最小限に食い止めて勝ち点1を得たとも言えます。
この結果、開幕節は9位タイでスタートすることに。
もちろん、現時点での順位に一喜一憂すべきではないというのは正論であり、実際にそうなのでしょうが。
それでも。
得られなかった勝ち点2ぶんは、取り戻せない。それも、忘れてはなりません。
同勝ち点で、得失点差で昇格ならずという経験を、忘れてはならないのだから。
勝てなかったことを気に病むことはない。けれど、忘れてしまうのも違う。
あくまで、狙うは優勝。その目標に揺るぎはないのだから。
勝てなかったながらも負けなかったことで、今年もまたJ3初年度以来のYS横浜相手のアウェイ不敗記録を更新したカターレ。
ただ、それでも。その記録を、今年で終わらせねば。
優勝によって。J2復帰によって。
9位タイスタートを今シーズンの最低順位とし、いずれあるべき順位ーーーすなわち首位に君臨するために。
とにもかくにも、はじまった新シーズン。
まずは、次節のシーズン初勝利を期して。全力で向かって行かねばなりません。