3-0で勝利!
今シーズン全38試合のなかでも、とりわけ重要度の高い対戦と目されていた松本山雅戦。序盤戦の最大のヤマ場と目されていましたが。
その重要度を選手たちも十分に理解し、気迫のこもったプレーを展開。
高橋が2試合連続ゴールで先制点を挙げると、吉平もPKをしっかりと決めてそれに続き。試合最終盤には安藤が今季初ゴールでダメ押し。
守っても攻撃力に定評のある松本をしっかりと抑え、クリーンシートを達成。
2位と3位という上位直接対決を見事に制し、価値ある勝利を獲得。
勝ち点3を積み上げ、再び単独首位に躍り出ることとなったのでした。
4月29日・昭和の日。ゴールデンウイークの幕開けともなる日のホーム戦。予想されたことながら、やはりアウェイスタンドを埋め尽くすような多数の松本サポーターが襲来。
昨シーズン同カードの5815人を上回る、6225人の動員を記録したのでした。
前節より2週ぶんのインターバル。他の試合以上に準備期間のあったなかで、目を惹いたのが今瀬と柳下の今シーズン初スタメン起用でした。
プロデビューを果たしたクラブである古巣・松本との対戦に、普段にも増して気合の入っていたであろう柳下。攻撃力に定評のある相手に対して、走り負けない総力、そしてガッツあふれるプレーぶりというものは、戦略的に見ても適当であったかと。
戦略的に適当と言えば、今瀬もまた、しかり。
対人ディフェンスに定評があり、相手の主力選手---具体的には、目下リーグトップスコアラーである小松 蓮を止めるべく、実績重視での起用であったかと。
それだけでなく、攻撃時にも、前線へと機を見計らった鋭いスルーパスを出せるという持ち味もあり。
両者ともに得心のいく起用であり、不安などはありませんでした。
天候は曇りながらも、24.8度というこの時期にしては暑いなかでの試合。しかし、それよりも懸念されたのが強い風の影響。実際、試合中にはセットしたボールが転がってしまう場面もあったりしたほどで。
コイントスで陣地変更を選択し、前半を風上としつつ、キックオフ。
前半は松本の攻勢に耐えるカターレという展開が続き。なかなか自分たちのペースで試合を運ぶことが出来ない時間が。
それでも。
見方を変えれば、それは想定内であったかと。前節、劣勢を覆すことが出来ずに逆転負けを喫してしまったことを思えば。
思い通りにいかない展開で、いかに失点せずにしのぐか。そして、自分たちの攻撃に転じていくか。
この2週のうちに練習から取り組んできた課題に、試合の本番でいかにフィードバックしていくかが問われることに。
そんななか、柳下が接触プレーで負傷、流血してしまうというアクシデントも。
それでも、プレー続行。気持ちを切ることなく気迫を前面にだしつつのプレーを続けました。
スコアレスでの試合の折り返しも視野に入ってきたような時間帯、40分。スコアが動くこととなりました。
相手陣内深くから大きく蹴り出されたクリアボールに、抜け目なく反応した今瀬が蹴り返すと。それが前線に張っていた高橋にきれいにつながり。「コースが見えていた」という言葉通り、迷いなく反転しつつのボレーシュートを叩き込み、見事にゴール。先制に成功したのでした。
前節、先制ゴールと勝ち越しゴールの2得点を挙げながら、それが勝利につながらず悔しい思いをした高橋。その彼が決めた2試合連続ゴール。
勝利に向けて、大きな先制点となりました。
それまで松本ペースで進んでいた試合展開のなか、均衡を破ったカターレ。
そののち、勢いづいた流れから再び高橋が惜しいシュート、大山がラインギリギリを駆け上がってCKを得るなど、勢いづくカターレ。
そんなCKからでした。
ペナルティーエリア内でファウルがあり、PKを獲得。それを吉平がしっかりと決めて、追加点。自身今シーズン4ゴール目を挙げることに。
前半のうちに2点をリードして折り返したのでした。
勝利の道筋をつけて後半をむかえることとなったのものの。ゆめゆめ油断してはならない、と。
昨シーズンの対戦など、4-0という圧倒的に優位な状況を作りながらも、そのあと立て続けに3失点してヒヤヒヤものの勝利であったことを思えば。
2-0は危険なスコアということは、今シーズンこれまでも経験していることでもあり。
リードは、あって無いようなものーーーゆめゆめ油断などしてはならない、と。
同点・逆転を狙う松本は、交代で元カターレの滝 裕太を投入。2020年の在籍時以来の県総のピッチに立つことに。
さらに、カターレがJ2時代には岡山の選手として対戦してきた喜山 康平も。
2点差はあったけれども・・・それは、セーフティーリードとは言えず。
もしも1点返されてしまったならば、そこから均衡が崩れて一気に巻き返されてしまうのでは?という危惧もあったからには。
油断など出来ようはずもありませんでした。
相手の攻勢に抗いながら、同時に自分たちの課題に向き合う展開でもあり。
自分たちの弱さが失点につながってしまった経験を反省し、糧とせねばならないーーーその思いを、無失点につなげねばならない。その思いは、全員の共通認識であったかと。
いくら2点リードがあって優位であろうが、気を引き締めて臨まねばならないことに変わりなく。気持ちをひとつに勝利に邁進せねばならない、と。
試合も最終盤、90分が経過し、5分と表示されたアディショナルタイム。
相手のクリアが中途半端になったところを拾った安藤が、遠目からながらも思い切ってシュートを放つと。それがきれいな軌道を描き、ゴールに突き刺さり。
ダメ押しとなる3点目。試合を決定づけたのでした。
そして、タイムアップ。
見事に完勝と言える勝利を挙げ、今季ホーム戦負けなしを継続。勝ち点3を積み上げることに成功したのでした。
2位と3位という上位直接対決を制したカターレ。勝たなければならない試合で、しっかりと勝利を収めることに成功しました。
これまで、「ここぞ!」という試合でなかなか勝てなかったカターレ。その積み重ねこそが、J2復帰失敗を続けることにつながっていた要因、という見方も出来るかと。
今回もまた、大事な一戦でした。勝つのと勝てないのとでは、天と地の差。今節のみならず、今後の試合の行方をも左右するほどの影響がある結果とも言えたかと。
そんななか掴んだ勝利、そして勝ち点3。
やるべきことを、やりきった。その意義の大きさよ。
もし負けていたなら、松本に順位を追い越されていたところ。それを、させなかった。
そして、他会場では、首位を明け渡してしまっていた長野が福島に、前節敗れてしまった今治がYS横浜にと、それぞれ下位のチームに不覚を取るかたちで敗戦。
結果、今節勝利をおさめたカターレが勝ち点1差で再び首位の座に就くこととなりました。
長野にしても今治にしても、相手が下位だからと油断があったというわけではないでしょう。実際に両チームともに先制点も挙げて、勝利の道筋もつけていました。ただ、そこから逆転され、手痛い敗戦に。
もしかすると、「富山が勝ったからには勝たないと!」というプレッシャーもあったかもしれません。
今節のカターレの勝利は、やるべきことをやり切った結果。それ故に首位奪還を果たしたということ。
長いシーズン、今後も同じような局面は何度もあることかと。
それがなくなるのはいつかと言えば、順位が確定するときだけ。
上位直接対決をを制したという事実と、それによって得た自信。
それらは、今後の戦いにもきっと糧となっていくはず。
序盤のヤマ場を勝利によって乗り越えたカターレ。
次節・アウェイ相模原戦は、中4日ですぐにやって来ます。
勝って兜の緒を締めよ。
連勝を目指し、首位固めに向けてしっかりと取り組んでいかねば。