クラブ史上初のJ1勢撃破を目指して戦う天皇杯2回戦。ノエビアスタジアム神戸へと乗り込み、ヴィッセル神戸と対戦します。
やはり天皇杯を舞台に対戦した2017シーズン以来となる神戸との公式戦。その時を含め、未だ1度も勝てていないJ1クラブとの対戦。
アウェイ相模原戦より中2日、この2回戦のあとには中3日でホーム讃岐戦を控えているカターレ。
もちろん優先度が高いのはリーグ戦ということにはなりましょうが、だからと言って天皇杯を思い出参加などにするわけにはいきません。
富山新庄クラブを破って県代表の座を得て、天皇杯出場を果たしたこと。そして、富山県代表として静岡県代表・藤枝MYFCを破り、2回戦にコマを進めたこと。
勝ち進んだからこそ、今がある。
それを成し得た誇りとプライドがあるならば、いい加減なプレーなど、出来ようはずもなく。
ジャイアントキリングは、出来るかどうかではなく、やるかやらないか。
もちろん、やる方向で。
世界的スーパースターである元スペイン代表のアンドレス・イニエスタをはじめ、大迫 勇也、武藤 壽紀、槙野 智章といった日本代表として名をはせた選手などなど。
ヴィッセル神戸のチーム人件費、実に50億越え。
2億3900万円というカターレとは、月とスッポンどころか・・・「同じJリーグ所属クラブ」などと言うのもはばかられるような、異次元とも言える格差が存在します。
そんな神戸も、今シーズンは予期せぬ低迷に見舞われてしまい、現在J1最下位。クラブワースト開幕11戦連続勝ちなし、三浦 淳寛監督の解任などのドダバタを経て、現在は昨シーズン清水を率いていたロティーナ監督が指揮を執り。
立て直しの効果は徐々に発揮されつつあり、直近のリーグ戦の札幌戦においては4得点を挙げて快勝し、今季2勝目を挙げたところ。
その札幌戦から中2日で迎える、この天皇杯2回戦。
富山をJ3だからと軽んじる、という意図はなかったとしても、主力級の疲労度を考慮、出場の少ない選手の経験値の底上げを鑑みたならば。いわゆるBチームといった編成で臨むことになるのではなかろうかと。
そのあたりを、どう捉えるか。
超有名なスーパースター軍団との試合!(ただし、ご本人の出場はありません)
当然ながら、控えメンバーであっても普段からスーパースターたちと同じチームでプレーしているのであって、格落ちと断じることなど出来ようはずもありませんが。
どうせならスター選手本人とと直接やり合いたかった、というのは本音でしょう。
けれど、イベント色の濃い親善試合でもあるまいし、天皇杯はノックアウト方式の完全決着制公式戦。
そこに、個人的な感傷が入る余地はありません。
なぜならば、チームの誇りを背負っているのだから。
いかに格上の、あるいは雲の上の相手であったとしても。全身全霊、全力を尽くして挑まねばならない義務があります。
そう、同カテゴリ同士の対決で下した藤枝に、「いくら格上と言っても、そんな無様を晒すようなチームに俺らは負けたのか」などと思わせるような試合をしてはならないのです。チームの誇りにかけて。
それこそが、天皇杯の醍醐味。
20倍以上の格差をひっくり返すべく挑む、真剣勝負。
自分たちのプライドを、自分たち自身が安いものとしてはならないのです。
前の試合から中2日であることはカターレも同様で、出場選手に関しては、望む望まざるに関わらず相模原戦に出場しなかったメンバー中心となることでしょう。
そんななかで期待したいのは、ルイスでしょうか。
今年初めて日本の地を踏んでプレーする彼ですが、同じく遠く異国からJリーグにプレーの場を求めて訪れている世界的スーパースター・イニエスタの存在は、知らないはずがありません。意識するなというほうが、土台無理な話ですらあります。
たとえ直接対決が叶わなかったとしても。所属クラブの試合は、100%イニエスタの目にも留まるわけで。
ならばこそ。
「カテゴリ違いでこれまで知らなかったけれど、J3にもこんないい選手がいたのか」と感心させるようなプレーを。
「どうせなら、直接対決してみたかった」と言わしめるほどのプレーを。
今度の神戸戦が実現したのも、ひとえに県選手権を制して天皇杯進出を果たしたがため。その立役者となったのが、ほかでもないルイス。
だったら。
この試合でもまた存分に実力を発揮し、カターレを勝利に導くプレーでもって、相手を驚嘆させてほしい。そう願います。
単純にクラブの格だけで比較したならば、カターレが神戸には敵うはずもありません。
リーグ戦の不振から脱却せんと、もがいている最中の神戸。けれど、だからといって天皇杯を捨てていいわけではなく。
それでなくとも、3大会前の王者。再びの栄光に向けては、むしろ手を抜くことはナンセンスですらあることかと。
とはいえ。
可能性はどれだけ低くとも、あるいはゼロに近くとも。
それでも、「まさか」は、あり得る。
まかり間違って、その「まさか」となってしまった場合・・・「最下位の神戸はJ3の無名クラブにすら負けるのか」などと憐みをかけられてしまう屈辱に晒されるかも、という懸念の実現可能性も、決してゼロではなく。
カターレが勝機を見出すには、まさにそのプレッシャーを突くというところかと。
神戸が万全の状態で万全のサッカーを繰り広げられたならば、10回に1回どころか100回に1回も勝てるかどうか。
けれど、その100回に1回を今回にすることも、あり得ないわけではないのです。
ならば、その実現のためにどうするか?
優先度が高いほうはリーグ戦であることは間違いなく、ここで敗れたとして、実力差をそのまま反映するかたちで大敗をくらったとして、本筋には影響しません。
ですが、「負けてもともと」「リーグ戦に関係ない試合だし」という心構えでは、元々ごくわずかであろう勝機をつかむことは叶わないでしょう。
むしろ、発想を逆転させるべき。
ここで、勝てるわけがないとされる試合を勝ったならば。
別物として直接影響のないリーグ戦でも、相手から「あの神戸に勝つなんて、富山ってヤベェチームなんじゃ?」と怖れさせることにもなりましょう。
直接関係ないのにプレッシャーを感じさせて、わずかでも相手の戦意を削ぐことにつながったならば。
優勝の可能性を1%でも上げる努力をするということは、つまり、そういうことだぞ?と。
だったら、むしろ勝ちにいかないほうが不自然と言うもの。それが強大な相手であれば、なおのこと。
今回で通算13回目の出場となる、カターレにとっての天皇杯ですが。J1クラブとの対戦は7度ありましたが、いずれも敗れています。
これまで、1度も経験したことのないジャイアントキリング。クラブの歴史に刻む勝利というものを、挙げたことがありません。
ならば、今回も同じか?
想定通りに負けるだけで、なんの意義も見いだせないままに敗退決定か?
違うでしょう。
これまで無かったならば、今回をその初回とする。そんな決意が必要です。
揺るがぬ覚悟をもって挑まねば、ただでさえ低い可能性を取り逃すことは自明。
勝利を信じてプレーした先にしか、歴史的勝利は成し得ないでしょう。
ならば、勝て!
20倍がなにするものぞ!格差をひっくり返してこその、ジャイアントキリング!
富山県代表としてのプライドを、J3リーグで優勝を目指すクラブとしてのプライドを、示すのは今!
想定内に、収まるな!
打ち砕き、勝利をつかめ!
勝たれ!!!富山!!!!!