「人間臨終図巻」 山田風太郎 著
1986年の再版が最近出版されたが、図書館へいくと上巻、下巻で初版を借りることができた。古いが布張りの立派な本だ。
「十代で死んだ人々」八百屋お七からアンネ、森蘭丸と、始まり11名、「二十代」では源実朝、高杉晋作、赤木圭一郎、豊臣秀次、沢村栄治、夏目雅子、円谷幸吉と続いて32名、30歳からは、1歳ずつ刻まれている。31歳、32歳・・とつながり、99歳まで刻まれ、100になると、「百代で死んだ人々」で、まとめられて終わる。
それぞれの人々の、臨終を綴ってある。よく調べてあるなあと感心する。山田風太郎らしいなあと思う。巻頭も巻末もない。ひたすら人名と臨終の記。そして、誰にもその日は来るが、みんなその日は違う。
向田邦子は、飛行機事故だったっけ、台湾の旅客機が墜落したんだった。何歳だったかと調べると、52歳だったのだ。源頼朝から始まり、武田信玄、シェイクスピアと並ぶ。そして、わたしの今の歳で死んだ人は司馬遷、クロムウエル、誰この人?と、知らない人もいる。山本五十六、辻政信。あっ。この人、辻政信は、わたしの祖母と小学校で机並べていたんだって、授業中先生の話を聞かず叱られるが、質問されると全部答えたのだそうだ。
さて、「六十四歳で死んだ人々」では、小林一茶、ブラームス、与謝野晶子、東条英機、三好達治、山本周五郎、壇一雄、杉村茂一
「六十五歳」から下巻にはいる。年金がもらえる歳から下巻である。下巻までは生きていたいと思うものだ。しかし、人生は無常だ。いつならいいともいえないし。
ちなみに、最後は泉重千代、121歳。