登山家なら誰でも知っていると思われる深田久弥の「日本百名山」は有名で、何と言っても加賀市に住んでいる者にとっては、郷土の誇りである。生家が大聖寺であることで、錦城小学校、錦城中学校を卒業した者にとっては、まさにわたしたちの深田久弥と言いたいところであるが、世田谷にも住んでいたし、福井もゆかりの地であるし、我孫子もそうだし、韮崎もと、それぞれのゆかりの地で、亡くなった今でも引っ張りだこなのではないか。
ちなみに、そうなると親戚の数も知り合いの数も増えるのである。先日、「久弥祭」が、富士写ケ岳の枯淵登山口で行われた。その時、久弥氏の甥にあたるK氏と初めてお会いした。実は、わたしの祖母が久弥さんと従兄であることで挨拶したら、K氏の方もご存知のようで嬉しかった。で、遠い親戚だが有名人は親戚が増えるとはこのこと。K氏とわたしの父がまた従兄になるのである。その子供になると、もう知らない者同士だ。それでも、山が縁をつなぐ。
わたしの人生で、ここへきてどんどん知り合いが増えていくのも不思議なことである。
山はすっかり雪が解けて新緑になっていく。そんなふうに、人生の景色も変わっていく。
一歩踏み出すという事は、面白いことに出逢うという事だ。