殿の三回忌がすんだのに、床の間には「南無阿弥陀仏」の掛け軸をかけっぱなしだった。祭壇と遺影も取り払って、遺影は隅の方へよせた。殿が思い切って大枚をはたいて買った「昇鯉」で、退職後夫婦で良運を願ったはずなのだが、ずっとお蔵入りだった。
さて、「大開運」というのが欲張りだったのか、今日車のタイヤがパンクした。先日、タイヤを交換するときに、普通タイヤが古くなったので新しいのを買ったばかりだった。何を踏んだのか、相当な穴だったが修理できたので良かった。
天気も良いので、ベランダへ出てみると、鳥の死骸があった。ギャーっと、思ったが、始末するのは自分しかいないので仕方なく黒いゴミ袋に入れた。からからに乾いていた。今日は、あまり良い日ではないなと思えた。
今更、出世を望むでも、運を開いて何かをするという欲もないので、掛け軸は「無事」と、いう文字が良いのではないかと思う。
それでも、大きな事故もなく過ごしているので、感謝しなさいということかも。