『現状は―資格予備校の受講料負担も 正門から、まっすぐに延びる道の両側に、立て看板が並ぶ東京経済大学(東京都国分寺市)のキャンパス。「祝 会計士試験合格」 イベント案内などに交じり、大学が立てたピンク地の看板が目を引く。 「合格」の文字の下には、3人の学生の名前が誇らしげに並んでいた。一緒に、在学生向けの、こんなメッセージも添えられていた。 「二つ三つは資格をとっておこう!」 東経大は昨年度から、資格取得を目指す学生のために、特別カリキュラム「アドバンストプログラム」を始めた。公認会計士や税理士の試験対策、英会話スキルの向上など全6コース。各コースで定員は異なるが、20~30人の少人数制だ。希望者の中から成績優秀者を選ぶ。 最大の特徴は、資格試験予備校や英会話学校など専門学校の活用だ。例えば、税理士コースでは、大学以外に、「大原学園」に通い、大学が指定した授業を受ける。大学で、このコースを担当する小俣光文准教授は「大学では基礎理論や考える力を教えるが、試験に合格するには受験スキルが必要。それは専門学校で身につけてもらう」。 専門学校の受講料は、全額、大学負担だ。同コースの場合、1人当たりの受講料は約35万円。同コースの2年の女子学生(20)は「大学って哲学とか抽象的な授業ばかりだと思っていました。ラッキーって感じです」。 大学進学率が上がるにつれ、学生も多様化した。大学に求められる役割は、研究や教養だけにとどまらない。資格や職業教育は、その一つだ。 一方で、私大の半数は定員割れに直面している。学生のニーズを探り、大学が資格取得支援に力を入れる傾向は、近年ますます強まり、「大学の専門学校化」とも言われる。 東経大の場合、制度導入に、異論は出なかったという。「難易度が高い資格が取れることは、他校との競争でもアピールになる。教養教育のカリキュラムもしっかりやっているし、人材育成の一つが資格なら、大学が積極的にかかわるのは自然なことです。学生にも目標があるのはいいことだ」と強調した。傾向は―看護・医療分野への参入急増 美容師、秘書検定――。かつては専門学校しかなかった分野に、次々、大学が参入している。ここ数年、とみに顕著なのは、看護・医療分野への進出だ。 「もう、乱立ですね」 看護・医療系大学専門の予備校「新宿セミナー」(東京都新宿区)の田沢弘昭さんは苦笑する。同セミナーのまとめでは、看護師の国家試験の受験資格が得られる大学は00年83校だった。それが08年は169校。倍以上になった。 もともと、専門学校と、ごく一部の医療系大学しかなかったが、90年代の経済不況や就職難などで学生の人気が資格が取れる学部に傾くと、大学の参入が相次いだ。看護以外にも、作業療法士や理学療法士などの養成大学も新設ラッシュが続く。文系学部しか持たなかった大学が衣替えしたケースもある。 あおりで、専門学校は苦戦が続く。文部科学省の学校基本調査によると、看護分野の学生は、00年の10万人から、07年は9万人に減少した。 とはいえ、すべての大学が成功しているわけではない。同セミナーによると、看護系学部のうち、08年春の一般入試の倍率が1倍程度しかなかった私大は十数校ある。新設や地方は苦戦気味だ。田沢さんは「数が増え、選択肢が多くなった分、受験生は教育の質を見極めている。実績のある専門学校は、人気のない大学より入りにくい」と話す。 理学療法士などを養成する社会医学技術学院(東京都小金井市)の08年春の入試倍率は約3倍だった。大学進学と迷ったという女子学生(20)は、実習などの手厚さを考え、同校を選んだ。高校の担任から「大学の方が広く学べる」と勧められたが、「何を勉強するのかはっきりしない」と揺らがなかった。山田千鶴子・理学療法学科長は「大学がこちらに似てくるほど、うちは生き残れる」と前向きだ。少人数での指導は、大学にはない強みだという。課題は―教養重視か実学か、続く模索 専門学校側も危機感を募らせる。「職業教育」という枠組みで、大学と同じレベルの新しいタイプの学校をつくるべきだという方針を打ち出し、文部科学省の「専修学校の振興に関する検討会議」も昨年11月、同趣旨の案を検討課題に挙げた。会議では、大学の専門学校化も話し合われ、「職業教育における大学と専門学校の違いは何か」を議論する必要性を指摘した。 そもそも大学とは、何を学ぶところなのか。大学と専門学校で、もっとも異なるのは「教養教育」の存在だ。 国際基督教大学(東京都三鷹市)は長年、実学重視の流れとは一線を画し、少人数制で幅広く学べる独自の教養教育を続けている。 日比谷潤子副学長は、きっぱりと言い切る。 「大学の学問は職業のためにあるのではありません。ものの考え方や人生を学ぶ教育が大切なのです」。同大には、他大学からの視察や提携の依頼が相次ぐ。 一方、大学の中で、教育内容を整理する例もある。 桜美林大学(同町田市)は、数年前から全面的に学部を再編し、四つの学群にまとめた。教養教育重視の「リベラルアーツ学群」で、文学、政治、数学、化学と広い学問領域を集める一方、実学重視の「ビジネスマネジメント学群」は、職業に直結する経営、観光学のほかパイロット養成コースを置くなどした。 佐藤東洋士学長は「学問をやるところ、技術を学ぶところなど、機能で分けた」と狙いを話す。 自分の大学は、社会でどんな役割を果たすべきなのか。大学経営者や教職員の模索は続く。』アサヒコム
大学は、これから三つのパターンに区分されると言われて来ましたが。一つは研究者要請の為の研究大学、専門大学化する専門大学、教養を身に付ける教養大学になると考えられて来ました。果たしてこれから大学はどうなるかは、予想は大変難しいと思います。東京経済大学は、1900(明治33)年、明治・大正期の実業界の雄である大倉喜八郎により、当時の赤坂葵町(現在の東京・虎ノ門「ホテルオークラ」隣接地)に創立された大倉商業学校を前身としています。以来、大倉高等商業学校・大倉高商、大倉経済専門学校を経て、戦後、東京経済大学へと発展した伝統ある大学です。これまで100余年の歴史のなかで、経済界をはじめ、各界で活躍する人物を多数、送り出してきました。東京経済大学には、現在のところ会計士専門職大学院が無いので、、昭和32年に設立され全国展開を果たしている有名な簿記の専門学校として知られている大原簿記学校の会計士専門職大原大学院大学大学院を平成18年に開設した大原学園と提携し、税理士や公認会計士の力を入れている。一般の学部としては、専門学校と提携しているところまだ少ないでしょう。専門職大学院では会計実務を学ぶ為に専門学校と提携しているところも有ります。会計士専門職大学院に進学するには、今は3教科の学科試験免除も有りますが、会計士専門職大学院に2年間掛かる学費も保護者にとって大変ですし、金融不況下の現在の日本で、公認会計士、税理士資格を取るため専門学校に通学する費用を大学が全額負担して貰えるので学生も保護者も助かると思います。大学と専門学校に通う時代ですね。これまで司法試験や税理士、公認会計士の資格取得の為に通っていた大学生はいたと思います。少子化による18才人口の減少期で定員割れが続いている私立大学で、学生集めの為に大学の特色を出そうと資格試験に力を入れる大学が増えると思います。資格を取る為に大学に学んでいるではないとする考えも一理有ります。大学は資格取得の為の教育機関では無いからです。専門的知識だけではなく、人間としての幅広い教養を身に付けることは人としてのお金では買えない財産です。法科大学院の問題は、法学部六年制度時代に入ったと言われ法曹人過剰時代に入り、昨年は「軒弁・のきべん」と言う言葉が流行しました。新司法試験の合格者数により、その大学の法学部がの真価が世間から問われる今日です。これからの私立大学の生きる道として「二兎を追うもの一兎を得ず。」の諺より、資格取得と大学人としての教養を身に付ける必要性の二つが同時求められる時代であり、学生のニーズに大学か応えることになるのかも分かりません。中央大学のように商学部会計学科を持ち 、経理研究所が有り公認会計士試験に実績を上げている伝統ある大学もあります。英会話のスキルを身に付けには、英語専門学校で学んだ後大学からの交換学生として交流や海外留学制度の充実も必要でしょう。その国に留学し、実生活で語学を身に付けるのが一番だと思いますし、国際的視野喪広がると思います。大学と今後提携を結んだりする専門学校も増えると思います。少子化による18才人口の減少により専門学校も経営が大変です。今後大学が実学教育や職業人としての実践的学習に力を入れれば、専門学校との競合も予想されます。資格試験では、一次試験の免除もあり大学生には有利です。専門学校も経営困難に陥り、破綻したとこも有ります。
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