教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

学力テスト抜本見直し、全校参加復活も検討

2010年05月01日 16時42分12秒 | 受験・学校
 『新政権で全校参加から抽出方式に変更された「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト=学テ)について、文部科学省は検討会議を設置して抜本的に見直すことを決めた。 3年続いた全校参加方式を取りやめたものの、4月の学テでは希望参加校が殺到。「抽出方式への変更は拙速だった」との批判が改めて強まったためで、対象学年や教科増のほか、全校参加方式の復活も検討対象とする。 同省は近く、全国の教育委員会から意見を聞く調査を実施。大学や経済界の意見も聞き、5月にも専門家検討会議を発足させて、来年度からの見直しを視野に新学テ構想の具体化を進める。8月までに一定の結論を得たい考えだ。 4月20日実施の学テでは、小中全体の3割にあたる抽出校に加え4割超の学校が参加を希望、全体で7割を超えた。しかし希望参加の場合、採点・集計の人員や費用は原則学校負担とされたため、県などが費用負担し全校で参加した自治体がある一方で参加を見送るケースも目立った。各教委などからは「国費で実施するのに自治体の財政力により受けられない児童生徒が出るのは不公平」「学校ごとのデータ把握が不可能になった」などの不満が出ていた。
 こうした声を踏まえ、同省は〈1〉全校対象か抽出方式か〈2〉小6と中3という対象学年や、国語、算数・数学という教科の拡大〈3〉実施時期や実施頻度――などを白紙から検討し直す。各教委のほか、小中高校長会や大学関係9団体、日本経済団体連合会など経済関係5団体などからも意見聴取する。 』5月1日3時7分配信 読売新聞
全国学力テストの有り方を考えるべきだと思います。昨年までの全校参加方式の全国学力テストでも私立校の参加は少なく、今回の抽出方式に変更された学力テストでは、私立校の参加率が昨年の48%から24%に半減した。参加が半減した要因は、『埼玉県内の中高一貫校の校長は「私立の成績上位校にとっては平均点が満点に近く、参考にならない。抽出化後に授業を削ってまで参加するメリットはなおさら感じられない」と話す。2010年04月26日 13時03分 読売新聞より一部引用。 』公立校と私立校の学力格差拡大の実情や正確な分析も現実には不可能で、各都道府県間の成績競争と成績順位付けが行われたと言って過言ではない。政治的に全国学力テストの結果が利用されて良いので有ろうか。2009年04月19日の週刊、アエラに『大学進学「高い県 低い県」進学格差は希望格差から
進学格差は希望格差から◆なぜか、大学進学率が低い秋田県
2007年から始まった全国学力テスト。秋田県は小学生では2年続けて全国1位。中学生は2007年に全国3位、2008年には全国2位。高い学力に注目が集まった。ところが、専門学校や短期大学などを含む大学等進学率は全国平均を約10ポイント下回る43%、4年制大学に絞ると30%強。都道府県別で40位だ。2007年度の東大合格者数は東北6県で最も少ない8人。東北大合格者数も、東北勢が上位5位を占めるなか、秋田は10位に留まる。本誌3月16日号でも報じたとおり、秋田の小中学生の高い学力を支えているのは、きめ細かい少人数教育だ。そのため下位層は薄く、中間層が厚い。結果として平均点は高くなる。だが、学年の進級とともに、学力が伸びなくなっている。原因は何なのか。
秋田ではまだ「高校浪人」をする生徒がわずかだがいる。高校受験熱は高いが、大学進学の風土が薄い。親世代に大卒者が少なく、高校受験が県民最大の関心事----。現地でそんな言葉をよく聞いた。
今春から秋田市内のガス会社に就職したレイジさん(18)は、大学のイメージを、「まだ遊びたい人が行く場所」と話す。大学を卒業した大人のイメージは、「スーツを着る仕事をする人」レイジさんが特別なわけではない。県内の若者十数人と話したが、彼らが持つ大学生活のイメージは希薄だった。』と書かれているように全国学力テストの成績順位の結果だけを見て血眼になっても子供達のその後の学力問題は判断出来ないと言うことで有り、秋田県出身の東京にある私立の短期大学卒業生が、人前で大學と言う人もいるのです。秋田県に皆バスに乗り遅れるな右に習えはおかしいことです。戦前回帰を思わせます。各地方自治体の長の学力テストに対する価値評価の高さの現れです。秋田県は学力テストの試験準備の為の補習をしていた事実も判明しましたし、学校の先生方の顔色も変わり、けんけんしていたと子供達が言っていたそうです。私立校の参加が少ない現状では、公立校の子供達の学力向上と学習意欲と、教育現場の先生方の教科指導や子供達の教育指導のデータとして教育方法の改善に役立つものでなければ、全国学力テストの成績公表による学校間の順位付けと地域の競争を生み、全国学力テストの成績の結果を盲信と各都道府県の間の成績競争レースを生むだけで、各道府県の学校では、地域間の学校や地域住民同士の競争心や子供達同士の成績による競争を煽るだけで、楽しく子供達は、今後学校で友達同士仲良く学べ友情も育まれるでしょうか。今の学校で、いじめやいじめ自殺が減らないのは、友達同士の友情が忘れられているからです。子供達同士を競争させて、仲間同士の意識を喪失させ、仲の良い友達作りや友人関係を失わせたのでは、個の破壊に結び付き、人間疎外を生み出し自殺者を増やすだけです。競争により劣等感を覚え、勉強嫌いや不登校児童が増えるだけです。競争に勝ち残る事ばかり考えて頭は良くても、人間として精神的におかしい大人を育てても、日本は将来良くなりません。今回の学力テストの見直し、教育現場の教壇に立たれている先生方の生の声や意見を取りいれ、全国学力テストの有り方や問題点を考えほしいと思います。昔から言われていますように大将ばかりで、兵隊がいなければ戦争が出来ないのと同様、賢い頭になる指導者ばかりが多くても、教育現場で働く先生方がいなければ日本の教育は良くなりません。企業でも学校でも現場で仕事をしている人達のことを大切にせず、忘れては発展しません。金属疲労を起こし消滅するだけです。本田技研創業者の故本田宗一郎氏の昭和49年お礼の全国行脚の旅にて、『従業員が、手を差し出したものの、自分の油まみれの手に気づき、あわてて引っ込めると本田宗一郎氏は「いや、いいんだよ。その油まみれの手がいいんだ。俺は、油の匂いが大好きなんだよと言って、しっかりと手を握り・・・』もう1人の本田宗一郎 原田一男著に書かれていますが、人の上に立つ人の思いやり心得、「将は、将たる器」と言われる所以ではないでしょうか。人間本田宗一郎より引用。提供・本田技研工業株式会社・広報部の資料』教育現場で、教科指導や生活指導に汗を流し、頑張ておられる先生方のことを忘れて、学力不足は教育現場の先生方がのせいにするのは、現場、教育現場への本当の理解が足りないのではないでしょうか。最近経験豊かなベテランの先生方を侮ったり、凌駕する若い指導者では現在の教育危機、クライシスは回避出来ず解消されません。誰が日本の教育を良くするのか。文部科学省でも各都道府県教育委員会、地方自治体の長でもなければ、実際教育現場に立たれている先生方の力しかないのです。今回の学力テスト問題、日教組の強い地域は学力が低いとの元N文部大臣の発言も有りましたが。教育現場で日々実際に教えられている教育の実践者である先生方の声がマスコミでも取り上げられず、本当の先生方の意見が全国学力テスト実施に反映され来たのでしょうか。上から降ろされてくる教育改革だけでは、日本の教育や学校は良くなりません。
今後抽出方式全国学力テストに対する実施方法への批判や今回の全国学力テストの成績公表の要望も情報公開の原則から保護者や地域住民の方々から増えると思います。全国学力テストの成績公開の問題を今後どうするか文部科学省も方針を決定すべき時期に来ていると思います。全国学力テストは、誰の為に実施して来たのでしょうか。子供達の教育環境や学力向上、教育指導の改善の為でなければ巨費を投じて全国学力テスト実施して来た意味は無いと思います。子供達の目線に立って考え、保護者の意見や要望を取り入れ全国学力テストの有るべき姿を皆で考えるべき時では無いでしょうか。教育の目的や主人公は、日本の未来を背負って子供達で有る筈です。
文部科学省ネットの議論、政策に反映させる為に文部科学省www.mext.go.jp は4月17日、だれでも参加できる教育政策の議論サイトで政務三役も参加する霞が関初の「官営掲示板『熟議(じゅくぎ)カケアイ(http://jukugi.mext.go.jp/)。』開設しましたので、全国学力テスト問題を是非テーマとして市民の皆さん、保護者や先生、子供達の声も取上げて、声無き声を生かして下さい。

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