『 大学の情報公開を義務化するため学校教育法施行規則などを改正することについて、川端達夫文部科学相が5月26日、中央教育審議会大学分科会に諮問し、了承された。この改正はすでに方向性が中教審で打ち出されていた。分科会ではほかに、5月11日に大学規模経営部会でまとめられた「私立大学の健全な発展に向けた充実方策について」(5月13日にこのコラムに掲載)という論点整理や、大学院教育の実質化の検証など各部会の議論の経過が紹介された。 今回の議論の的になったのが、上述した大学規模経営部会での「私大の充実方策について」。「撤退」の方策として、不採算部門を見極め学生の募集停止を実施→再生困難な部門を整理すると盛り込んだほか、募集停止の留意事項をガイドライン化、撤退する学生のケアやセーフティーネットを検討するよう求めている。 白井克彦委員(早大総長www.waseda.jp )が、「私大の充実方策」の論点整理について、国立大学を相手にしてきた文科省が私学のことだけを取り上げたペーパーをまとめたのは「画期的で初めてのこと」と口火を切って続けた。「しかし内容を見ると、いかに私学をつぶすかという論調ではないか。私学はもともと競争原理でやっている。肝心な日本の国公私のシステムのいびつさが議論されたのか。固定化したこのシステムを変えればいろんなことができる。新しい高等教育システムを考えるべきだ。機能分化(大学を研究などの機能によって区別、分化すること)も現状肯定することにとれないか。システム全体をどうよくするのかという議論をお願いしたい」 続いて、論点整理をまとめた大学規模経営部会の金子元久委員(国立大学財務経営センター研究部長、前東大教授)が、「私学の統廃合は深刻に受け止められながらも本格的に議論されなかった。はっきりと取り上げたことに意味がある。経営上の問題だけでなく、質の問題も重要。今後、白井委員の発言も踏まえ議論したい」と話した。同部会の樫谷隆夫委員(日本公認会計士協会常務理事)が「私学を強くするためには、撤退もありうる。出たり入ったりは当たり前。マイナスにとらえるものではない」と言った。 これに対して、白井委員が「私学はずっといじめられているものですから。国公私の役割は同じことをやっている。競争原理と役割がどう整理されているのか。いい方法はいくらでもある。それなのに私立はだめだからつぶすというのでは、あまりにもひどい」「たとえば国立が中心になってもいいが、地域のコンソーシアム、学校群をどうするか、という自覚がないといけない」と述べた。他の委員からも白井委員の提言をめぐって活発な発言が続いた。 分科会長の安西祐一郎氏(慶応学事顧問)が「国立大学の関係者は、私学は何をやっているのかと思い、その逆もある。それを超えて議論してほしい。危機的状況をどうするかというペーパー(論点整理)だと思う」と引き取る形になった。 ふだんは低調になりがちな分科会の議論だが、白井委員の熱弁をきっかけに私学と国立の役割分担など、全体構図を描く必要性が強調されたともいえる。 この大学分科会の冒頭、委員に大学分科会の各部会を通じた論点についてという資料が配られた。委員らによると、「大学教育を一定の教員組織によって担われる学位プログラムとして構成することにより教育の質を保証(グローバル化、国際競争力の前提)」「各大学が、それぞれの個性・特色に基づき、機能別に分化」という論点が示され、この論点で各部会の提言や課題のうちいくつかを横断的に再構成することも可能と書かれていたという。 大学分科会は、テーマによって個別の部会に分かれ、全体像の議論がしにくい構造になっている。白井委員の発言にせよ、冒頭に示された論点にせよ、分科会の運営を見直し、大学全体の方向性と各部会のテーマを関連させる必要があると考えた。』2010年5月28日 アサヒコム]
『 18歳人口の減少と大学数の増加の影響で、入学定員割れと単年度収支がマイナスに転じる私立大学が増えている。定員割れを起こしている私大は2009年度で46・5%、短大は69・1%。また、納付金や補助金など負債にならない収入で人件費や教育研究費などの経常的支出をまかなえない学校法人は08年度で46・5%になっており、経営悪化が私立大学で進んでいることが伺える。冬の時代へ 私立大に経営指導や情報公開促す。2010年5月13日 アサヒコムより一部引用 』と書かれていますように私立大学の定員割れによる経営悪化とリスクの高い金融先物取引に失敗した私立大学もマスコミで取り上げられた問題も重なり、私立大學の財務内容の公開(ディスクロージャーdisclosure、)『財務・経営情報の公開』の促進が求められて来たとも言えます。大学の情報公開を義務化する為の学校教育法施行規則などの改正は、国立・公立大學、私立大学を問わず時代のニーズと社会の信頼を大學が得る為の必要性からと思います。情報公開の原則から大学の健全経営とガラス張り経営が今求められていると言って過言では有りません。各学校法人のホームページでの大学の財務・経営情報の公開が今後広まって行かざるを得ないのではないでしょうか。リスクの高い金融先物取引の投資に失敗し、損失を出した私立大学は、経営破綻が早まり大學倒産にも繫がりかねません。これからは財務内容や経営状態の悪い私立大學には、文部科学省から補助金が削減される事も考えられます。もう既に学部閉鎖や大学閉鎖かを発表している私立大學も出て来ています。私立大学の財務内容の公開をすれば、リスクの高い金融先物取引にも投資しにくくなり、大學経営の健全化が計られるのではないでしょうか。経営状態の悪い私立大学に企業や諸団体からの寄付が集るでしょうか。大學冬の時代で、これから私立大学の学部閉鎖や大学の廃校もしくは倒産が出て来ると思います。日本私立学校振興・共済事業団、私学事業団経営指導や相談の充実だけでは間に合わない事態になると思います。地方の私立単科大学、私立女子大学と都市圏でも文科系だけの小規模私立大學は、経営が破綻する所も出て来ると思います。経営破たんした大學の学生の救済や大學をどのように再生するのか。大學の学部閉鎖や大學閉鎖、廃校が全国的に起こってから対策を立てても後の祭りです。親方日の丸で、保護されて来た国立大学とは違い、私立の独自性と自主性を生かして、チャイルド・ショツクと言われる大學冬の時代、大學倒産時代を生き抜く経営戦略が日本の私立大学には必要です。文部科学省は、私立大学の経営悪化でこれから増えると言われている大学の学生の募集停止や学部閉鎖、大學閉鎖による廃校、大學倒産が出ないようにどのように支援、救済して行こうとするのかまだ方向性が見えません。『「首都圏にひしめきい合っている私立大学で生き伸びることの出来る私立大學は、全国的にブランドの力の高い慶応大学くwww.keio.ac.jp)と早稲田大学理工学部www.civil.sci.waseda.ac.jp)程度にしか過ぎ無い。」63ページより一部引用。『潰れる大学・伸びる大學』、「経営診断」梅津和郎著、 エール出版』の著書の中で私立大学の経営診断を詳しくされている名古屋学院大學教授、経済学博士梅津和郎氏は、厳しく分析しています。私立大學が、経営破綻し倒産する時代は、足音を立てて迫って来ている冬の時代とも言えます。
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