そもそも大学設置基準通りに申請していた3大学が、
田中大臣の唐突な思いつきで不認可にされるのは、
どう考えても理不尽でルール違反でした。
大学教育の質の問題、大学の経営破たんの頻発など、
大学のあり方を議論して設置基準を改正する必要は、
十分に認められますが、それも来年度以降の話です。
すでに決まったルールに基づいて適正に申請した書類を
後出しジャンケンのように、後からルールを変更して、
却下してしまうというのは、あまりにも横暴です。
大臣の裁量権を逸脱しているのは明らかであり、
法治国家としてあってはならない事態です。
田中文科大臣は「大学の質」を問題視していますが、
それより「大臣の質」の方が深刻な問題のようです。
思慮の浅い単なる目立ちたがり屋を大臣にしたのは、
野田総理の間違いで任命責任を問われる事態です。
報道されてませんが、田中大臣の方針転換の背景には、
衆議院文部科学委員会の野党理事の努力がありました。
昨日は9時から16時まで(途中昼休み1時間含む)、
文部科学委員会で田中大臣の所信に対する質疑があり、
3大学の不認可問題が中心的な議題となりました。
午前の田中大臣の答弁があまりにひどかったため、
野党理事会メンバー(私も一員です)で集まって、
緊急に昼休み中に理事会の開催を求めました。
委員長(民主党)も与党理事も理事会開催を承諾し、
その場で野党理事から3大学不認可問題に関して、
緊急に委員会決議を行うことを提案しました。
具体的には、3大学不認可を取り消すことを求めて、
委員会決議を与野党で提出することを提案しました。
仮に与党側が緊急の委員会決議に反対するようなら、
野党理事メンバーで抗議の記者会見を行った上で、
官邸と文科省に申し入れに行くと迫りました。
与党側は野党提案を受け入れるのは難しいと回答。
しかし、委員長も与党理事も、野党の主張が正当で、
田中大臣が無茶苦茶なのを理解している様子でした。
委員会で質疑が行われている最中も与野党で折衝し、
田中大臣が3大学不認可を取り消す発言することで
与党側も折れてきました。
最終的には田中大臣が委員会終了前に以下の発言をし、
3大学不認可を取り消すことで与野党合意しました。
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田中大臣発言
大学の設置認可のあり方については、今後、抜本的な
見直しを行う。
なお、3大学の新設については、本委員会でのご審議や
諸般の事情も鑑み、現行の制度に則り、適切に対応する。
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社会一般の感覚では曖昧な文章に見えるかもしれませんが、
いわゆる「霞が関文学」では、明らかな方針転換です。
田中大臣が国会の場で正式に誤りを認めたわけです。
行政の暴走を監視するのが、議会の役割です。
暴走する田中大臣を抑え、方針転換させられたのは、
議会がきちんと機能した事例のひとつでしょう。
たまたま文科委員長(民主党議員)も与党理事も、
バランス感覚と良識のある議員だったおかげで、
議会としてきちんと仕事をすることができました。