トランプのパリ協定離脱宣言に対して、世界から激しい反発が起きている。
それに悪乗りするかのように、きょうの大手各紙は一斉にトランプのパリ協定離脱を一面トップで大きく取り上げ、すべての社説が口を極めてトランプを批判している。
いつから日本はここまで地球環境に熱心な国になったのか。
少なくとも、日本政府や財界はこれまではそうではなかった。
1997年の京都議定書の時でさえ、議長国として取りまとめに奔走はしたが、そしてその時の環境大臣(当時は環境庁長官)が大木浩という比較的リベラルな外務官僚出身だったからだが、当時の日本は決して熱心な議定書の推進国ではなかった。
ましてや安倍政権が、パリ協定の批准を後回しにして、ルール作りの初会合に参加できなかった醜態を演じたのはついこの間の事だ。
安倍首相に至っては、さきのサミットでトランプと欧州首脳の橋渡しを務めたと自画自賛して、見事に恥をかいた首相だ。
そんな日本が、いまさらトランプを批判しても誰もまともに相手にしないだろう。
しかし、私がここで書きたいのはその事ではない。
今朝早朝の日本テレビが、トランプ発言に対する麻生副首相の発言を流した。
そこで麻生副首相は何と言ったか。
「国際連合の事ではないぞ、国際連盟の事だ」
わざわざこう前置きをした上で、自分が作ったものさえぶち壊す、米国とはそういう国だ、と吐き捨てるように言って、記者の前から立ち去った。
いうまでもなく、国際連盟を提唱したウィルソン大統領が米国議会の承認が得られず、国際連盟が短命に終わった事を皮肉っているのだ。
この映像を見て私は驚いた。
これほどの米国批判はない。
外交問題にもなりかねない暴言のたぐいだ。
それにもかかわらず、いや、だからこそ、今朝の各紙はどこもこの暴言を報じない。
パリ条約をぶち壊したのはトランプであって、米国ではない。
米国の国民や米国の政界、財界にもトランプの離脱を怒っている。
それを麻生副首相が知らないはずがない。
それにもかかわらず、米国はどうしようもない国だといわんばかりに吐き捨てた。
麻生副首相の頭の中には、何もトランプの米国に限ず、これまで米国にはさんざん無理難題を押し付けられた恨み、つらみがあるのだ。
それが思わず口から出たのだ。
しかし、その米国に主権を奪われたまま従属して来た国はどこの国だ。
そのトランプを真っ先に会って誉めそやした首相はどこのどいつだ。
せめて、トランプを信用するような安倍首相は危ういと、なぜ言えないのか。
トランプを大統領を選ぶような米国になった今、そろそろ日本は本気で米国から自立する事を考えるべきだと、男、麻生太郎はなぜ言えない(了)