地に落ちた日本の民主<本澤二郎の「日本の風景」(4251A)

<「日本は駄目だぁ」の悲鳴が列島を覆う。野党不存在の独裁国か>

 神道自民261、創価学会公明32、極右維新41、改憲国民民主11の改憲大勢力に対して、野党の立憲民主96、れいわ2、社民1このほか無所属10の選挙結果に、右翼も左翼も想定外だとして仰天する選挙結果となった。

 

 今まさに民主主義の危機であろう。一番驚いたのは、首相の岸田文雄ではないだろうか。安倍晋三に続く、長期独裁政権の基盤が確立したことにもなろう。むろん、このあと五輪の清算にしても、バラマキ予算のツケ一つとっても、国政の難題は抱え込んだまま、日本丸は沈没してゆく。

 

 正義を貫徹するはずの検察が、まったく機能しない、皮肉れば犯罪国家の推進も、見えてくることになろう。言論の不自由な日本も約束される。希望は見えない。絶望の日本でしかない。世界も乱れているが、日本もその先陣を切るのであろう。

 

 改憲軍靴の音に人びとは、怯えさせられることになろうが、それもまた自業自得、悲しいことは野党が絶好の機会を生かせなかったことである。急いでポスト枝野・ポスト志位の体制を構築しても、自公の岩盤にドリルで穴をこじあける体制構築が急務だ。枝野・志位・小沢の時代は終わった。

 

 気候変動と火山・地震と原発危機で逃げ惑う列島の人々の姿が、目に浮かんでくるようである。神道と創価学会の、カルト教団が強いる民主の危機到来に備えられる日本人になれるのか。

 

<政党助成金などの金力・選挙制度・戦術面で自公維が圧倒した選挙>

 技術的に総選挙を分析すると、与党改憲勢力は政党助成金という血税一つとってみても、莫大な金力選挙を断行した。背後で「厳しい選挙」という心理的な作戦も功を奏したが、何と言っても小選挙区比例代表制という、民意を全く反映しない、自公のための選挙制度に救われた。

 

 戦術面では、岸田の奇襲短期決戦も大成功を収めた。与党の組織戦に対して、野党は風任せで準備不足だ。筆者は選挙戦の最中に、千葉12区の千葉―鴨川線を往復した。多くのポスターは、評判の悪い自民候補のみで、そこに公明党創価学会が支援するような文字が印刷されていた。対抗する立民と共産のポスターは、一枚もなかった。

 

 これは千葉12区だけのことではなく、列島全体の姿でもあったのだ。象とアリの戦いだった。枝野も志位も、さっさと卒業するほかない。共産は党名を変えよ、である。

 改めて日本の有権者の資質は、低い。ともかくレベルが低い。選挙制度を変えることである。改憲のために岸信介が叫んできた選挙制度を、民意が反映する制度に改めるほかない。

 

 政党助成金も廃止すればいい。1・5億円事件が、そのことを物語っている。

 

<犯罪・腐敗・不正義・不公正が容認される三流国家>

 日本は民主主義の国ではない。自由と民主の国ではない。

 新聞テレビに言論の自由がない。委縮しながらの報道を余儀なくさせられている。政治屋の犯罪さえも、徹底追及できない。公共放送が政府与党に支配されている。安倍事件報道が物語っている。腐敗大国・不正義大国・不公正大国である。市民運動も転換する時であろう。

 

 問題は、司法は有名無実化している。政府与党の犯罪に、警察も検察もいい加減で成り行き任せで、まともに機能していない。政府の番犬に徹している。最高裁判所も、行政府や立法府に屈服していて恥じない。無法無天の三権といえる。日本の三権は、分立していない。

 

 昨日、偶然、中央大学OBの弁護士の元共産党代議士と連絡が取れた。2回当選して今は自由の身である。現在の志位共産党を全面的に支持しているわけではなかった。「選挙制度を変える必要がある」と正論を吐いていた。

 

 「フクシマ放射能下、30万人の子供たちの命を救うため、安全な場所に移動させる責任が政治にある。ところが、共産党系の民医連は、原子力ムラと協力している」と指摘すると、彼は「驚いた、知らなかった」と正直に答えてくれた。

 

 反原発の小泉純一郎でさえも「野党が脱原発一本でまとまれば、選挙に勝てる」は事実だろうに。立民も共産も、まずは党内の声に耳を傾ける必要があろう。これ以上、ペンを動かす力がない!

2021年11月1日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)