どす黒い政界<本澤二郎の「日本の風景」(4259)
<衆院議長に原発派、清和会が安倍派に衣替え原子力ムラ体制確立>
10・31の総選挙後、善良な日本人であれば、誰でもが「日本だめだぁ」と悲鳴を上げたものだが、その骨格が明確に姿を現した。それでも多くの国民は、我関せずとばかり、無関心でよそよそしく、諦観の世界に潜ったままだ。人はゆでガエルと呼んで、流れに身を任せている?
ともあれ原子力ムラの支援で当選した清和会会長の細田博之が、かつての原発派・梶山静六に代わって、国会の頂点に立った。これは驚きである。細田の地元・島根県松江市には、この世で最も危険な原子力発電所が存在している。恐怖を抱く市民は、県外へと逃げて、人口減の島根県を象徴している。戦争に貢献した出雲大社も原発には、お手上げらしい。
古くは朝鮮半島からの逃亡者らの受け入れ地で、彼らが持ち込んだ鉄の文化の発祥地として、日本海文化を支えた。天皇族もこのあたりから生まれたかもしれない。今では原子力ムラの手に落ちてしまった。その象徴が、細田の衆院議長ということになる。後釜が清和会乗っ取りを策していた安倍である。史上最低の犯罪首相で、ノーテンキと揶揄されてきたが、細田の後釜になって、検察と対峙する!林検察が、正義と公正な捜査機関であれば、直ちに刑事被告人になる身である。
今の政界が、いかにどす黒く、腐敗に満ちた、原子力ムラが制圧した、権力の巣となっていることが、誰でも理解できようか。昔、歌手の鶴田浩二が歌っていた「この世は闇さ」が実感してくるではないか。
<県都に原発の経産相OB議長、刑事被告人候補が清和会後継者>
「悪党が権力を握り、長生きする日本」へと落ち込んでしまっている。言い過ぎではあるまい。少しでも世の中を明るく、希望に満ちたものにしたいと思う善良な日本人にとって、実に耐えがたく窒息しそうである。
都落ちして晴耕雨読の日々も、今日では田舎も都市も格差のない情報化社会では、新聞テレビを排し、パソコンやスマホも持たないようにしないと、ストレスをため込まない生活は不可能である。
いや、それでもだめだ。目の前にはミニ安倍のような政治屋にぶら下がった議員や悪徳業者が、美しい自然を破壊している。被害者から直訴され、それを無視するわけにもいかなくなる。つい手を出すことになる凡人である。
細田が原発推進のボスだということを、実は最近まで知らなかった。凡人ジャーナリストにも困ったものである。しかし、安倍晋三が官邸を犯罪の巣にして、悪事を働いていたことは、よく承知していた。屈服する新聞テレビに代わって、反撃してきたのだが、官邸から去っても、次は清和会に復帰するという。総務会長の福田達夫と、自民参院幹事長の世耕の反撃が注目を集めている。
この流れを、中曽根康弘内閣の手口と比較すると、岸田文雄のそれはお話にならない。ロッキード事件の火の粉を振り払うためもあって、中曽根は田中派の力をそぐために、竹下登・金丸信クーデターを後押しした。岸田の坊やにも困ったものである。悪人の安倍を生かしているのである。
「岸田は宏池会の坊や」という評価が定着してきている。
<岸田内閣を支える清和会が主導する暗黒日本か>
議会と党内で、極右・清和会に操られる岸田内閣は、一体何のために存在しているのだろうか。無力・無責任の野党がこれまでのようだと、日本に明るい
未来など約束されようはずがない。
1%のための原子力ムラの政治で、これからも経産省・清和会・電力会社・原発三社・軍需産業と関連する連合労組が主導する、1%のための政治の継続であろう。
バラマキは、ここへと集中することになり、そのツケは孫や子らが背負うことになる。他方で、いくらでも借金しろ、という暴論が聞こえてきている。
<周囲を腐敗戦争党と極右改憲党が固める悪魔的布陣か>
「ムサシの仕業か」と考えてしまうような、惨憺たる総選挙結果を受け入れざるを得ない政治制度のもとでは、とことん落ち込んで目を覚ますしか再生の手段はない21世紀社会である。
自民党を補完する政党が「腐敗した戦争党」、もう一つが怪しげな「極右改憲党」である。窒息するような場面を切り開くのは、正義の検察・警察なのだが、現実は期待薄もいいところだ。
<脱原発・脱石炭どこ吹く風のアジアの三流国>
日本列島を含む地球は息も絶え絶えだ。温暖化と気候変動に自然も人間も悲鳴を上げている。それでも元凶である脱石炭・石油を踏み切れない。いわんや最悪の脱原発に手も足も出ない。原子力ムラに沈黙する日本人など人類。
三流国の地盤沈下にかつて「ルックイースト」と叫んだマレイシア国民、いまどう見ているのだろうか。
2021年11月9日記(東芝製品不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)