ハードバピッシュ&アレグロな日々

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ハンク・モブレー・カルテット

2024-08-10 18:55:51 | ジャズ(ハードバップ)

本日はハンク・モブレーの記念すべき初リーダー作を取り上げたいと思います。1955年3月27日にブルーノートに吹き込まれたワンホーン・カルテットの作品で、シンプルに「ハンク・モブレー・カルテット」のタイトルが付けられています。もっとも、この頃のモブレーの作品は全て似たようなタイトルばかりですが(「ハンク」参照)。メンバーはホレス・シルヴァー(ピアノ)、ダグ・ワトキンス(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)。勘の良い方ならおわかりと思いますが、これは当時のジャズ・メッセンジャーズのメンバーです。同年の「ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ」や「カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ」からドーハムが抜けただけです。一種のスピンオフ的な作品とも言えますが、全6曲中5曲をモブレーが作曲しているので彼のリーダー作であることは間違いありません。

本作は通常の12インチLPではなく10インチLPで発売されたため、収録時間は全部で25分ほどしかありません。ただ、内容はとても充実しています。スタンダード曲は5曲目”Love For Sale"だけですが、モブレーの書いた曲はどれも魅力的で作曲能力の高さをうかがわせます。1曲目”Hank's Prank"は急速中のバップナンバーで、最後にブレイキーのドラムソロが入ります。続く”My Sin"はスタンダードのような美しいメロディを持つバラード。3曲目”Avila And Tequila"は本作のハイライトで上述の「カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ」でも演奏された名曲です。タイトルから想像されるようにラテンフレイバーたっぷりの熱く燃え上がるファンキーなナンバーです。4曲目”Walkin' The Fence"は特に特徴のないバップ曲。続く唯一のスタンダード”Love For Sale"はアップテンポで料理されており、なかなか痛快なハードバップに仕上がっています。ラストの”Just Coolin'"はミディアムテンポの香り高きハードバップで、こちらも1959年のジャズ・メッセンジャーズのライブ盤「アット・ザ・ジャズ・コーナー・オヴ・ザ・ワールド」でも再演されました。名盤揃いのモブレーの一連のブルーノート作品の中では地味な扱いを受けていますが、なかなか充実した作品と思います。

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