Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

映画の宣伝について思うこと

2005-03-13 | 映画・ビデオ
「世界で一番パパが好き」の予告編。僕はベン・アフレック自体がまず好きではない。だけど父娘ものってことで、この映画にはちょっと興味あったんですね。この予告編は筋がほとんど理解できてしまう。結末だけを隠しているもの。見せすぎ?とも思ったけれど、近頃は映画の宣伝が本当にヘタクソなのでこういうもんか、とも思った。しかぁし、何よりも僕が興ざめしてしまったのは、ベン・アフレックが娘に言う台詞。
「ママとお前が僕の人生を狂わせてしまったんだぁ!」とかなんとか。そう思うことはよしとしても、娘に言うか?7歳の娘に。しかも母親に先立たれて、娘にとって唯一の家族である父親がだよ。こんなことは娘に口に出して言うことではない。この場面を観て、「いいかも・・・」と思っていたそれまでの気持ちが一気に冷めた。きっと観ることはないでしょう。ますます僕はハリウッド映画離れになってしまうのか(でも「スターウォーズ」だけは別)。

それにしても近頃の映画の宣伝、本当にヘタクソだ。映画のよさ、物語のよさを伝えようとする努力は皆無である。ハッキリ言うゾ。宣伝部の職務怠慢だ!。「アカデミー賞最有力!」もういい加減この文句を使うのをやめるべきである。これまでだってこの文句がデカデカと書かれた映画でひとつの賞にもひっかからなかったものは山ほどある。ロビン・ウィリアムズの「パッチ・アダムス」だってそうだし、トム・クルーズの「バニラ・スカイ」だってそう。オスカーの威厳に頼らなくても伝えるべき魅力はたくさんある映画なのにそれは何ひとつ伝えようとしていない。つまり外部の威厳や権威に頼り切っている訳だ。それは映画の宣伝じゃない。アカデミー賞の宣伝でしかない。まだそこがわからないのだ。

今劇場に行くとこの文字が乱舞している。「アビエイター」は問題ない。だって主要賞は逃したものの、本当に有力候補だったからね。2部門のノミネートである(祝・チャーリー・カウフマン脚本賞!)「エターナル・サンシャイン」にもこの文字が。これは許せる。ところが「ロング・エンゲージメント」のポスターにもこの文字が。しかもこうある。
「あなたは「アメリ」の監督・女優だから観ますか?それともアカデミー賞最有力だから観ますか?」
ときやがった!。実は僕は「ロング・エンゲージンメント」を観に行ったのさ。オドレイのファンでもあるし、ジュネ監督のファンでもあるから。フランス映画(国の問題はいろいろあった映画だけど)にオスカーを宣伝文句にすることがまずミスマッチだし、この映画の魅力はそんなところじゃないはずだ。映像美やヒロインの一途な思いやミステリーとしての面白さ、人間味・・伝えるべきことはもっともっとあるはずだ。正直言って劇場であのポスターを見た瞬間、感動が冷めた。これはかなりマジだ。

口コミの良さは認める。だってそれは本当によいと思ってくれたから観客はよいと言っているのだから。「スウィングガールズ」や「下妻物語」はこれでヒットした。でも他人が認めているから観よう!賞をとりそうだから観よう!、これでは映画の宣伝ではない。「泣けました」「よかったでぇす」と観客が答える宣伝が近頃多いけど、なんで?どこが?には何ひとつ触れていない。これだけタレ流すのはバカのひとつ覚えだろう。”みんなが観ています、あなたは観ないの?”と迫っているだけ。映画評論家を名乗る人物を宣伝に使うのも邪道としか思えない。オスカーに頼る宣伝と同じで、権威にすがっているだけなのだ。映画会社の宣伝部は売ることだけ?に専念している。しかも商品のよさに触れずにだ。これは間違っていないだろうか?。
コメント
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