恋恋シネマ―早起きアナウンサーの、シアワセの素。集英社このアイテムの詳細を見る |
フジテレビのアナウンサー佐々木恭子さんが書いた映画感想文&エッセイ集。映画番組の司会を担当することになってから、”1食抜いても映画が観たい”人になっていく様がなんとも面白い。この気持ちすごくわかるはずです、映画ファンならば。取り上げられているのは「「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」から「深呼吸の必要」までややミニシアター系寄りの近作が中心。韓流ドラマが他の国でどう受け入れられているか、という話題も登場します。この本の魅力は、単に映画の感想文が面白いだけじゃないのね。まず30代女性がこんなふうに映画を観ているんだという視点が、男性読者としては興味深い。「死ぬまでにしたい10のこと」の感想は、特にオンナの本音が見えてきます。自分を重ねて映画を観ることってありますよね、これは男性も同じだろうけど。佐々木アナはこの本で、女子アナとして仕事している自分の思いを素直に活字に出している。だから重ねている”自分”がリアルに感じられてとても好感が持てるんです。どうしても映画評はかっこつけた文章になりがち。佐々木アナの文章は、仮に半分近く”自分”の話になっていても、その映画への思いがきちんと伝わるのです。評論家センセイの文章に毒されている方、たまにはこういう本もいかがでしょ?。
番組を担当するようになってから、映画の話を局内でもインタビューでスタアともするようになる佐々木アナ。そこには映画を愛している人々の姿がありありと書かれています。かくいう僕もネット見知りの映画ファンがどんどん増殖しているけれど、やはり映画や音楽を肴に飲める友達が今以上もっともっと欲しい!と常々思っている。これまでも、堅そうでとっつきにくいなぁ・・・と思っていた方と、映画の話題をきっかけに人間関係が深まったこともある。趣味ってやつは人生の潤滑油、映画は人生の参考書だな。