Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

マッチポイント

2008-01-23 | 映画(ま行)


■「マッチポイント/Match Point」(2005年・イギリス=アメリカ=ルクセンブルグ)

監督=ウディ・アレン
主演=ジョナサン・リス・マイヤーズ スカーレット・ヨハンソン エミリー・モーティマー

久々に観たウディ・アレン作品。アレンと言えばニューヨークなのだが、これはイギリスで撮った新作。新境地だ何だと騒がれているけど、正直言うとそんなにいいか?というのが感想である。野心家青年の”玉の輿”、不倫の上の犯罪、テニスプレイヤーの主人公・・・ジャック・クレイトンの「年上の女」、ジョージ・スティーブンスの「陽のあたる場所」、ヒッチコックの「見知らぬ乗客」、ルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」・・・とあれこれ連想してしまうけっこう古くからある題材。確かにこれをソツなく構成して演出したウディ・アレンの腕前はさすがだ。でも、ウディ・アレンの持ち味はそっちじゃないだろう。上流階級一家それぞれのドロドロした心理状態をベルイマン調に描くのか、殺人に至るところももっとコミカルにいっちゃうのか、と僕は思っていたけどすべて裏切られた。確かにテンポもよくて飽きさせないし、楽しかったけど、それはアレン映画でなくてもできることじゃないのか。

89年のウディ作品に「重罪と軽罪」というブラックコメディがある。これも不倫のトラブルを様々な方法で解決しようとする男達の話だけど、アレン映画らしい毒と笑いが、そして贖罪への苦悩が描かれた傑作だった。それだけに、「マッチポイント」は「重罪と軽罪」を半分だけリメイクしたようなどうも中途半端な印象が僕にはあるのだ。ラストに二人の幽霊と会話するところも、そこまでわかりやすく視覚化して見せてしまうことが必要かとさえ思った。

従来のアレン映画にない新たな魅力は何と言ってもスカーレット・ヨハンソンだろう。お話の上では何とも気の毒な女性ではあるが、主人公のみならず銀幕のこっち側の男達も確実に虜にしたはずだ。ピンポンラケット片手に「次は負けたいのは誰?」と逆光の中で登場する場面は、きっと映画史に残る。上目づかいの表情だけでもクラクラなのに、Tシャツ引き裂かれたり、ネクタイ目隠しプレイなんて・・・ここまで見せられちゃたまりまへん。それにしても映画のラストのオチは、言ってしまえば「重罪と軽罪」まんまでもあるのだが、上流階級に対する一種の皮肉ととれば従来のウディ・アレンらしさ、とも言えるのかな。

コメント
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