
■「20世紀少年」(2008年・日本)
監督=堤幸彦
主演=唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 香川照之 石塚英彦
映画を観た時点で、僕は浦沢直樹の原作コミックは読んでいなかった。 大長編のコミックだし、予習してからでないと辛いかな・・と思ったが、予告編のもったいぶった見せ方にソソられてしまい、劇場へ足を運んだ。いやはやどうして、面白かった。素材の良さというか、ストーリー自体の面白さに夢中になって観ていたし、長さもまったく気にならなかった。原作を読んでいると、きっとディティールがわかるだけに省略が気になるんだろうけど、知らないだけにそこに隠された別な謎を紐解くことになるだろうから、これから原作に挑戦してみようかな。
世代的には僕よりも少し上だろうけど、子供の頃のエピソードは共感できる部分が多い。河原で秘密基地なんて・・・それだけでこっちも思わず頷いちゃう。全編に漂う昭和の空気を懐かしむのも一つの映画の見方かもしれない。でもこの映画はそんな世代限定の映画ではない。正義のヒーローに自分たちを見立てたような空想、世代を問わず経験あるのではなかろうか。純粋にミステリー的要素、クライマックスのサスペンス描写、それに友情物語として楽しむことができる娯楽作になっている。ディティールを言い出したらきりがないのだろうけれど、それを抜きにして身を任せるのがよいだろう。
銀幕に向かう自分がわくわくしたのは物語のせいだけじゃない。それはおそらくT-Rexのせい。夢中になって聴いていた世代ではない(むしろ冒頭で投げ捨てられるポール・モーリアも好んで聴いていたけど・恥)。けれど、あのギターリフは思わず体が反応してしまう。唐沢寿明を始め同世代俳優をずらりと揃えたキャスティングが見事。常盤貴子だけはちょっと世代が違う?気もするが、久々に堂々とした彼女の演技が見られたのはよかった。ちょっと惚れ直したかも。あー、早く続きが観たいよ。
