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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

007/慰めの報酬

2009-03-07 | 映画(た行)

■「007/慰めの報酬/Quantum Of Solace」(2008年・イギリス=アメリカ)

監督=マーク・フォースター
主演=ダニエル・クレイグ  オルガ・キュリレンコ マチュー・アマルリック ジュディ・デンチ
  
 ダニエル・クレイグがボンドを演じる第2作目。 前作「カジノロワイヤル」の1時間後から始まるという、シリーズ初の正当な続編となる趣向も面白いが、逆に「カジノロワイヤル」を観ていない人には説明不足な点も多々ある。だが「カジノロワイヤル」を少なくとも”悪い”と思わなかった人々にとっては、この「慰めの報酬」はきっと満足いく出来だったに違いない。

 前作同様に賛否はあるようだが、それはやっぱり青い眼のボンドは・・・だとか、ボンドガールの露出が・・・だとか、ユーモアがないだとか、従来の「007」映画イメージを引きずっている人々の発言が目立つ。忘れてはいけない。これまでの エンタメ趣向のボンド映画は「ダイ・アナザー・デイ」で終わったのだ。ポール・ハギスの脚本によるこの2作は、ジェームズ・ボンドという人間に迫るドラマだということを忘れてはいけない。

 この映画のテーマは、いかにしてジェームズ・ボンドが 「復讐」という私情を捨て任務遂行ができるスパイに成長したか、ということにある。前作にもあった破壊の限りを尽くす荒々しさ、上司Mの言うことになかなか従わない生意気はそのまま。前作で愛する女性ヴェスパーを失ったボンド。なんだかんだ言っても未練を捨てきれない彼の様子は、映画の随所で描かれる。そこに「復讐」を遂げるために行動するカミーユが絡んでくることで、物語は一層深みを増してくる。復讐は復讐しか生まない。たとえそれを遂げても残るのは空しさ。これまでも様々な映画でそれは描かれてきた。ボンドはカミーユの姿を見て、そのことに気づいていったのかもしれない。結局カミーユとボンドは最後にキスを交わすだけ。それはお互いに孤独な戦いをしてきたボンドが、「復讐」の意味を気づかせてくれたカミーユに対してした感謝のように感じられてならなかった。

 「007」を愛し続けるオールドファンにとっては、お約束のオープニングがなかなか出てこなかったり、ボンドガールとベッドを共にしないなど、アクション場面は細切れカットの連続で何が起こっているのかわかりにくいなど、不満に思うことも多かろう。しかし、タイトルバックに女性のシルエットが復活したり、「ゴールドフィンガー」のシャーリー・イートンを思わせる死に方をする英国大使館職員など、昔からのファンだからこそ「オッ」と思える部分も。金を塗られて殺されたのに対して、今度は石油。資源こそが金に変わるものである現代を表現しているようにも思えた。東西冷戦後の現在。どこの国も国益を最重要として、利があるならば相手が悪人だろうと手を組むことを拒まない。そんな現代的な描写が実にリアルにみえてくる。見事だ。

 カミーユを演じたオルガ・キュリレンコ綺麗だね。他の出演作も是非観てみたい。惚れました。



コメント (2)
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